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珈琲小噺 一杯目
ーとあるカフェ店員の独白ー
私はこじんまりとしたカフェに勤務している。
常連で来てくれるあるお客さんがいる。
私は彼に一目惚れしてしまった。
彼はいつも隅の席に座るため声を掛けるタイミング見つからない。取っ掛かりがないし、なにより内気な私が声を掛けること自体難しい。
だから最高の一杯を提供しようと心掛けている。
今日のラテにはハートを浮かべて手渡した。
……これが私にできる精一杯。
ーある漫画家ー
俺は絵を描くのが得意だ。
それもそうさ、俺は漫画家なのだから。
けれどそんな俺にも描けないものがある。
俺が足繁く通うカフェ。
そこで出るラテアート。
これだけはいくら練習しても描けない。
今日は綺麗なハートがカップに浮かんでいた。
今度コツでも聞いてみようか。
なんて考えていると、ふと店員さんと目が合った。




