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音のない歌詞

透明だから

作者: 渋音符



 硝子(ガラス)の様に透明だから、私は夕焼けに映るのです。



 透き通る様な冷たい水を、飲んで居なくちゃ死んで仕舞うのです。

 染み入る様な冷たい風を、吸って居なくちゃ死んで仕舞うのです。

 人間と云う箱の中で、生きて居るのが私なのです。

 人生と云う家の中で、死んで行くのが私なのです。

 絹の様な布の上で、染み一つも無い私で。

 何も知らない貴方(あなた)で、在りたかった。


 硝子の様に透明だから、私は夕焼けに映るのです。

 貴方の様に濁って居たら、眩しいのでしょう。

 硝子の様に透明だから、夕焼けが透き通って行くのです。

 眩しく無いのです。美しく無いのです。



 色の付いた汚い水を、飲んで仕舞えば死んで終うのです。

 色の付いた汚い風を、吸って仕舞えば死んで終うのです。

 人間と云う病床(ベッド)の上で、死んで居るのが私なのです。

 人生という病室(かんおけ)の中で、生きて行くのが私なのです。

 色の在る空の先で、色一つも無い私で。

 何もかもを知る貴方で、在りたかった。


 硝子の様に透明だから、私は夕焼けに映るのです。

 貴方の様に色付いて居たら、眩しいのでしょう。

 硝子の様に透明だから、影も生まれ無いのです。

 何も無いのです。生きて居ないのです。



 硝子の様に透明だから、生きて居るのです。

 色を付けて仕舞えば、死んで終うのです。

 硝子の様に透明だから、生きて居るのです。

 色を付けて仕舞いたい。貴方の様に。

 生きて居たいのです。

 生きて痛いのです。



 硝子の様に透明な私に色を付けて。

 夕焼けに映る私に影を付けて。

 硝子の様に透明な私を打ち壊して。

 夕焼けが乱反射して眩しいのでしょう。


 貴方の隣で、死んで終うでしょう。



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