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1557年-2

誤字報告ありがとうございます。

感想ありがとうございます。


長月に入り、仕事もやっと落ち着いて来たので今日は、ある事を相談に乗っていただく為に平手家にお邪魔しています。

「ご無沙汰しております」と堅苦しい挨拶から入り、今年は大変だったなぁとご隠居様と話していると。

「して、今日来られたのは何か相談があるのではないかな?」図星を突かれて頭をかくしかなかった。


「では、平手様・・・・・・殿に上洛して頂けないかと思い相談に来ました」


流石の平手のご隠居様も、驚きで言葉に詰まる。


・・・・・・



「上洛だと」


「はい、上洛です!」


「当家の安泰と販路拡大の為に」

「そして国友より鉄砲鍛冶を尾張に連れて来たい」


「その為に山科様を通じて帝に尾張の産品を献上、それから将軍様にと考えております」


「・・・・・・」


「どう思われますか・・・?」


「お主、どこまで先を見て・・・・・・いや、中央との繋がりか・・・・・・」

「でだ、この年寄りに何をさせたいのかな?」


「山科様に手紙を書いて頂きたいのですが、お願いできますか!」


しっかりと頭を下げてお願いする。

平手様は仕方ないなぁと顔にかいてあり「暫し待っていなさい」と手紙を書き上げてくれるのであった。そして手紙を貰ったその足で殿の下に!





「殿、ご提案があります!」


何時ものようにビクッと反応する殿。

今日は柴田様がいらっしゃるので、一緒に話を聞いて頂く。

「おぅ、申せ」と動揺が見え隠れする。


「殿!上洛しましょう」


「なにぃぃぃぃぃぃぃぃ」


「〆※‘][^&£$£&[^€」


大声で反応する殿と何を叫んでいるか判らない柴田様。


「殿、驚く事でもないでしょう!尾張をほぼ平定したのですから」


「小一郎が提案して来る時は何時も驚かされる、困ったものだ」と思いながらも「京かぁ」と思いを馳せるのである。


「そうです、京に上洛して(おだけ)の特産物を献上して来てください」

「因みに、帝と山科様と将軍様、余裕があるなら三好様と面会して家の特産品を売り込んできて下さい」


「・・・・・・小一郎?ワシは何をしに上洛するのだ?」


「はい、特産物の販路拡大です!」

「殿しか出来ない営業活動です」にこり!


「ハァ~・・・小一郎、ワシは・・・いや」

「ワシがイヤだと言ったら?」


「あっ、決定事項です。村井様と平手ご隠居様に許可を頂いて準備を始めています!」

「それに、数日後には山科様からの返事もあるでしょうから、行くか行かされるかです」

(手紙は出していません、悪い奴です)


「それに、これが上手くいけば尾張に益々人・物・金の流れが出来て尾張全体が豊かになるでしょう!」


「こやつ・・・よきにはからえ!」


「ハッ!」


はっきり言って殿は諦めモードです。

「では、今回献上して頂く物を試飲して頂きます」そう言ってその後出て来た物に柴田様と共に度肝を抜かれるのであった!






「殿はもう都に着いた頃だろうか?」


殿には色々とレクチャーした。

これが成功すれば、次に弾みが付く!後は殿の帰国待ちであった。

信勝様も無事新居に到着して、新しい生活を始めたと木村屋さんから連絡を受けているし一安心だ。

そして、信勝様の旧領地も落ち着いて来て、再出発をしたところであった。

でだ、かねてより計画していた農業試験場の用地を確保して次のプロジェクトを始動させる。春からの田植えに備えて田畑を長方形に区画整理をして給排水の段取りも整える為に、常備兵の皆に頑張ってもらっている。

また、牧場を作る為の柵や牛舎に鶏の鶏舎、馬小屋なども工作兵の皆に無理を言ってお願いしている。

材料は美濃から木材を購入しているのでどうにでもなっている。

そして僕は今、親方と一緒に石臼の最終調整をしているのだ(これ欲しかったんだ)


「試作品はこんなもんか」


「ですね、親方お世話になりました」


「大将がまた面白い事を言い始めたと思ってね」

「これは確かに便利だ」


石臼を作り、使っての感想だ!

次は、備中鍬と千歯こきの試作をお願いする事になっている。

それと、弥七殿には三河の天竹神社に行ってもらい綿花の種を買いに行ってもらった。見つかったら良いなと思っている。

あと、六郎殿の焼酎造りも本格始動しているし、隣に酒蔵を作り酒造りも始めた。饗談の中に杜氏がおりお任せしている。

あっ勿論、落ち葉の肥料も制作しております。はい。




そして霜月に入ったころ、殿御一行が帰って来た。

帰って来た殿の顔は晴れ晴れとしていて、僕は正直に言ってほっとした。なんだかんだ言っても根拠のない話を信じ込ませて、旅立たせたからだ。

献上品には、絶対の自信が有り後は殿がミスしない事を祈っていた。


それから数日後。


「殿、お帰りなさいませ、都はどうでしたか?」


殿は見て来たことを色々と教えてくれて、尾張をもっと良くしなければと思っているとお言葉を頂いた。

そして、献上品は気に入ってもらえて、帝のお墨付きを貰う事が出来た。

(良し!)

それから、御代様から山科様の所に美人水を分けて貰えないかとお願いの使者が直ぐに訪れたとか。山科様は清み酒のおいしさ、焼酎のおいしさに心を打たれた帝にお褒めの言葉を頂けたと上機嫌で話してくれた。あと、足利将軍様は朽木の城におってな、わざわざ出向いたので感激してくれたのう。小一郎からお願いされていた、国友の鉄砲鍛冶の尾張への移動を認めてくれた(良し!)大友様が献上した火薬の作り方の写しも持って帰って来れたぞ!

そして、来年もよろしく頼むと言われ気前良く尾張守を認めてくれた!

これで尾張を正当に治める事が出来ると殿は喜んでいる。

あと、三好殿ともお会い出来て商人をやるから良しなにと通商を行う事となった(良し!)


ただ、良い事だけでは無かった。

日ノ本の国の都があれだけ荒廃しているのだ、どうにかお助けが出来ないか考えてくれと宿題もしっかりと頂いたのであった・・・(これは大変だな)


こうして、激動の年は殿にとって飛躍の年となったのであった・・・




つづく。




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