1556年
誤字報告ありがとうございます。
感想、アドバイスありがとうございます。
参考にさせて頂きます。
歴史考察は難しいです。ウッ頭が・・・
天文24年睦月、殿は荒れていた。
昨年の暮れに弟の信行が改名して、織田弾正忠信勝と名乗り後継ぎは自分であると宣言した。
それは、殿に宣戦布告したのと同じであった。
「信行ィィィ」
それを知ってからは怒気が凄まじく、小姓達が近寄れない程である。
「殿、「待っていた戦るぞ」およ はぁ?」
話が見えない僕に矢継ぎ早に話を進める。
話を理解するのに暫くかかり、殿がイラついていたがお構いなしに確認する。
「殿、宜しいのですね!」
殿の顔が歪み、苦悩する表情を見せながら・・・
「是非に及ばず」
絞り出した声に、殿の覚悟を感じ僕の身も引き締まる思いがした。
・・・
・・・
・・・
「殿、ひとつお願いがあります」と殿が落ち着くのを待ってお願いをする。
「忍びか与力でも良いので、ほしいです」と願い出る。
"カッ"と目が見開かれ鬼の形相になりながら。
・・・
・・・
・・・
「饗談より数名使わす、自由に使え」
「ありがたき幸せ」と額を板間にこすりつけ感謝を述べる。
「召し抱えても良いですか」と恐る恐る訊ねて「好きにするが良い」と了承も得た。それで僕の部署に配属しよう。
「こんな時だけ殊勝だなぁ」
大声で笑われしまった。
そして「では、しかと申しつけたぞ」その言葉を残し殿は部屋を出て行った。
「皆の衆、今日はよく集まってくれた」
そう、僕は村井様の許可の下で動き出した。そして今は津島の商人達を集めて説明会である。
前回、激怒して出て行って後悔した商人達もいた。
「では、皆の者に申し伝える」
「如月よりここに居る全商店は関銭を免除とする」
「よっしゃー、やったー」と大喜びだ。
「美濃との商売でしっかりと儲けてくれ」
「「「「「「へい!」」」」」」
嬉しそうな声が響く、それもそうだ関銭免除の商人達が独占状態で美濃との商売を積極的に進め、身代を大きくしていたからだ。
「それと、ひとつお願いがある」
「熱田と末森での取引で、取引量がいつもより明らかに多い物があったら教えてほしい、ただ商売の邪魔はしない」
「よろしく頼む」
これだけしか言っていない、しかしこれで商人達は戦の匂いを嗅ぎ付けて先程までと表情が一変したのであった。
そして、ある男が訪ねて来た。
「御免、弥七と申す。奥方殿 木下様は御在宅か」
"お お お おくがた・・・"しゅぅぅぅぅぅぅ・・・ボン
さき殿がフリーズ!
「木下小一郎です宜しくお願いします」
「早速だが弥七殿、上がってくれ」
フリーズは見て見ぬふりをしてくれた・・・
硬い挨拶は抜きに本題に入る。
弥七以下10人は、織田家の家臣として仕えてもらうと第一声で伝えると「それは本当ですか」と忍びが表情を崩すほど驚かれた。
この時代の忍びは・・・止めておこう。
必要なら家も支給するし、毎年給金の支払いは僕が責任を持って対応する旨を伝えた。そして僕の給金も現金払いだと言ったら驚かれた。解せぬ。
今の織田家は給金で雇い入れていて、例外は古参の家臣団ぐらいであったからだ。
それから、色々打ち合わせをしたら早速取り掛かってくれると言い残し、帰っていった。あっ勿論経費は先に渡した事を付け加えておこう。
そしてさき殿が再起動したのは弥七殿が帰ってしばらくしてからであった。
「あぁどうしよう、奥方殿だなんて」と一人でぶつぶつ言いながら顔を真っ赤しているのであった。
弥生に入り入って来る情報は抜き差しなら無い事を表す、弥七殿の情報も商人から上がって来る情報も明らかに信勝様は戦の用意をしている。
「もう、避けようが無いか・・・」
そんな時だ「木下様」と大橋屋が訪ねて来た。
「例の物、ご用意出来ましたしアレも少量ですが購入出来ました」
「この度は、無理を言った。ありがとう」
そう言って頭を下げると何故か大橋屋もあわてて頭を下げるのであった。
前世の習慣が咄嗟に出たのであった。
また、信勝様の戦の準備が着実に進んでいると報告をしてくれた・・・そして・・・
「村井様」忙しく走り回る中上司に声を掛ける。
僕の目を見て「暫し待て」とその後密談をした後、村井様は殿の下へ向かうのであった。
「戦るぞ」
「それと、小竹!」
「ワシと一緒に出陣しろ、初陣じゃ!」
「ハッ、有り難き幸せ」
片膝を付き頭を下げるのであった。
でだ、佐久間様が立案した作戦は岩倉城に常備軍で攻城戦をすると見せかけて、相手側の援軍に出て来た部隊を強襲!壊滅させると言う作戦である。
それで、敵勢力の援軍が無ければ攻城戦をすると言う二本立てだ。
また、準備中と分かっている他勢力が援軍に来れるか?援軍が無ければ城を落とすだけなのだから。
ただ、敵が援軍に来なければ、国力の差が開き磨り潰されるのを待つだけになるのだが・・・
因みに、村井様の提案で城を囲んでから援軍の依頼を信光様と信勝様に出したが双方共急過ぎる援軍要請に体制が整わないと言って断りの使者を寄越していた。
実に嫌味が効いているのである。
「大将、終わったよ」
「親方、おつかれ様でした」
本陣でのやり取りに”・・・・・・“殿と重臣方は目が点になっていた。
小一郎が親方にお願いして、岩倉城の正門と裏門から奇襲を掛けられなくする空堀と土塁とその他色々を築き上げてもらった。
これで城方は打って出てもまずこの障害物を越えなければならなくなった。
それで何故指揮を執っているかと言うと、殿の無茶ぶりで城攻めの作戦を考えて見よと言われ、出した作戦が一発採用、指揮を執るに至るのである。
「殿・・・殿・・・」
・・・
「お おぅ どうした」
「次の作戦も任せて頂けますか?」
「おぅ、任せた」では、用意があるので席を外しますそう言って本陣外に・・・
「木下様」
振り向くと”弥七殿“が報告に現れて一言。
「敵方は、岩倉城を見捨てる方向で話が纏まりそうです」
「決定してないのか?」
「柴田様が頑強に反対しているのですが、林様が見捨てると押し切りそうです」
「そうか・・・」
「では、引き続き警戒を頼む」
「ハッ」
”そうかと改めて、末森勢は唯一の勝機を逃すのだな“戦国の習いとは言え・・・いや考えるのはやめよう、そう思い直して常備軍に攻略の指示を出すのであった。
10日後・・・
降伏の使者が本陣に訪れた。
使者の顔色は非常に悪く目の下の隈も酷い位で疲れを現していた。
降伏の条件は城主の切腹で兵士達400人の助命を願い出る。そこに城主一族の男子の仏門入り(国外の寺)が条件に付け加えられ、織田伊勢守家が軍門に降ったのであった。
そして、僕が何をしたかって?それは、シフトを組んで24時間岩倉城の将兵を精神的に戦わせたのである。
可哀想とは思いながらも、昼・夜関係無く半刻毎に種子島を一発又は二発撃ち、矢を射かけ、鬨の声を上げさせて相手の心の消耗を狙ったのである。
そして10日目に心が折れたのであった。
だって、攻められても守れる状況では無くなった、士気はガタ落ちで戦って全滅するよりは降伏の方がマシと・・・
降伏の後、村井様と僕は怒涛の2ヶ月だった。
文官達をフル動員しても上尾張4郡は広かった・・・
「殿、人手が足りません!小姓を借りて行きます」
「ちょっと 「借りて行きます」ちょっと」
「何か言いましたか!」
有無を言わさぬ迫力を纏い、ギロリと小一郎が見るとフルフルと首をふる殿が・・・
「いやいい」失礼しますと言葉を聞きながら殺気だった小一郎を見送るしか無かった。
それでも、人手は足りず家にもほとんど帰れず、それでも何とかやり遂げた。
そんな状態の僕を、さき殿が心配して押し掛け女房とかして生活をサポートしてくれるも、この騒動が終わるまで気が付かなかった。
ただ、秘めた社畜の力で何とか乗り切った?のであった・・・
「木下小一郎、此度の働き誠にあっぱれであった」
「褒美を取らせたいと思うが、希望はあるか」
「ハッ! ではお言葉に甘えて申し上げます」
「税率の3公7民の御許可を、褒美として頂きたい」
すっと首を垂れて・・・プリーズとお願いしてみる。
・・・
・・・
・・・
全く予想外の褒美に殿と村井様と佐久間様はあきれている。
「なぜ其処に拘る」との殿の問いに。
「これは民の衣食住の充実の為、国内敵勢力の力を削ぐため、寺社勢力との戦いの為の布石です」
「この話が広まったら、我が領内で住みたいとやって来る農民や職人・商人が増えるでしょう」「人・物・金を動かし領内を富ませ圧倒的な力の差を見せつけて尾張を統一する為の一手です」
「佐久間、村井、意見を述べよ」
佐久間「・・・・・・」
「では私から」と村井様が。
「小一郎の提案は、非常に敵勢力に攻撃的であり領民には非常に歓迎される事とおもいます」
「また、領地が広がった今なら予算はどうとでもなります」
「それより、この年貢で領地を運営すれば日ノ本に類を見ない名君として長く語られるでしょう」
"""""名君!"""""殿の頭の中はひとつの言葉で埋め尽くされてしまう。
すると途端に機嫌が良くなり。
「小一郎!此度の初陣誠にあっぱれであった」
「そちの願い通りの褒美を取らせる!」
「ハッ!ありがたき幸せ」それと殿が・・・
何か嫌な予感が・・・殿がにやついている。
「村井より申し出のあった、木下小一郎と娘さきの婚姻を認める」
「はぁ?」
「それは・・・ちょっと・・・待って・・・いただきたいな・・・と」
(さきさんは良い、だが上司の娘と結婚したら後が大変だ)
(なんとかやり過ごす方法は無い物か?)
動揺しながらも、頭の中はフル回転でこの突発事故を無かった事に・・・
「聞いておるぞ、尻に敷かれていると」
小一郎がしどろもどろに、いつも冷静沈着な小一郎が動揺しまくり墓穴を掘りまくる。他の者は微笑ましく眺めているが・・・
「では、しかと申しつけたぞ」
その言葉と笑い声を残し、殿は席を後にしたのであった。
その後、仕事が落ち着く秋の終わりに両家だけで婚礼を上げたのであった。
そして、そこから始まるラブラブ(死語)生活が・・・一人の使者が訪れて崩れ去る。
「殿がお呼びです」その使者は結婚式翌日の朝一番でやって来た。
そう、僕は殿に有給休暇の申請を忘れていた・・・いやこの時代には存在しなかった。
後ろ髪を引かれつつ、清洲城へ出社・・・
「おう、待っていた」
悪びれずに出迎えてくれる殿と見慣れぬ武士が脇に控えていた。
「では呼んでまいります」無駄のない所作でお客人を迎えにいく。
「六郎と申します」
「宜しくお願いします」
場違いで緊張しているし、訛りがあるし震えている・・・
「殿!」
「そうだ、小一郎が求めていた人材だ」
「後は任せた!」
「はっ」と今までの不機嫌が一発で吹き飛び頭のスイッチが入る、社畜モード起動!
「小一郎が六郎の上役になる」「六郎期待しているぞ」そう言って殿の呼び出しが終わると。
六郎殿と挨拶&打合せをして住む所から手配をしたり、計画していた事を一気に進める為に馬車馬のように働くのであった・・・
因みに、鉄砲鍛冶のスカウトは無理だったそうだ・・・
そしてその後・・・さきに怒られた事も記載しておく・・・トホホ
つづく。