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1553年

誤字報告、ミスの指摘、感想ありがとうございます。

「で、どうするんだ」


清洲城のあるひと部屋に集まる男達、膝を突き合わせて話している。

「う~ん」と全員が唸っていた。

メンバーは若様、平手様、佐久間様、内藤様、蜂屋様、村井様である。


「驚いたな、此処まで圧勝してしまうとは・・・」


今回の戦は大勝であった。

若様が率いた常設軍は敵軍を発見後、後方より奇襲を掛けた。すると敵軍は予想外の攻撃を受けて混乱、指揮系統が回復する事なく一方的にやられたそうだ。

それで、今回が初陣の常備軍はスパルタ訓練の鬱憤を晴らす様に恐ろしい程の破壊力を見せたのであった。


また、清洲城に向かった平手軍は、敗残兵を受け入れる為に開いてる大手門に平手家家臣が敗残兵のふりをして近付き確保、死守している間に全軍にて突撃し混乱している城方を横目に清洲城を攻略したのであった。


「これからどうする」


「急ぎ、清洲織田家の支配地2郡(その他)を確保しましょう」

「「「「「うむ」」」」」


全員の意見が一致して、行動に移ったのであった。





「小一郎さん殿が呼んでいます」


「はい、分かりました」と城内を迷いながらも、若様の元へ。

若様は、本拠を古渡城から清洲城に移し、それに伴い、僕も前日に引っ越しをした。


「若様、小一郎参りました」「さっさと部屋に入れ」その言葉に部屋に入っていくと・・・難しい顔をした若様と5人の重臣方が・・・


「小竹、いや小一郎、この度の働きに褒美を取らせる」

「吏僚に任ずる、村井の下に付け良いな!」


「謹んでご辞退いたします。このまま小者で"ゴン"いたぁぁぁぁ」


「馬鹿者が楽などさせぬ、領地が広がり人手が足りん!有無を言わさん!」


「ありがたき幸せ」


「それで、つぎはどの様にするつもりだ」

「さっさと話せ」


「お聞きしたい事が」と聞く、新しい領地の大半が直轄地で(褒美を与える前で)助かった。


「では、この度の戦の恩賞は全て現金か物品でしてください」


「「「「「えっ」」」」」」と全員が驚いている。

そして、ここから独演会が始まった。

基本理念は、尾張の民の衣食住の充実!他国の民が移住したくなる国を目指します。一つ、村井様が鍛え上げた役人達で新しい領地の維持・管理・運用です!二つ、道の整備と田畑の開墾と畑の作付けの種類を増やす。常備軍には屯田兵となって貰いましょう!民が足りぬのなら商人を通じて奴隷を尾張に連れて来てもらう。道の整備に工作兵をあて動きやすい国をつります。これだけでも民や商人は喜ぶでしょう。三つ、関所の廃止・・・訂正します。関銭の廃止です。「「「「「えっ!」」」」」1・2が出来て3が出来ると人物銭の流れが出来て、尾張の国(信長領)は一気に裕福になるでしょう。


「いかがでしょうか!」


6人の反応が面白い。

頷いている村井様、チンプンカンプンな佐久間様、内藤様と蜂屋様、何となく形が見える若様と平手様。


「よし、任せる。存分にその手腕を発揮しろ」


「村井、管理は任せる」


「はっ、承りました」


その後、細々とした質疑応答をした後にお開きとなり、新しい領地経営にまい進する事となるのであった。





「村井様、ご相談が有ります」


役人の皆さんに頑張ってもらい、検地が順調に進みだした頃を見計らって相談を持ちだした。


「何かな?」少し身構えている。多分平手様に聞いたのだろう。

小一郎から話が有ると言われたら、大事になると!


「人材が欲しいです」

「商人を通じて勧誘したいのですが」


「技術を持った人達を」

「当家で召し抱えてもらいたいのですが・・・いかがですか」


「どんな人材か此処で話せますか?」


周りを見回して・・・「無理ですね」と城に帰ってから相談する事に・・・


「小竹がまた何か言い始めたのか!」


平手様の言葉に、頷く村井様。

すると若様まで出てきて"今度は何をする"と興味津々である。


「若様、技術を持った人材が欲しいです」

「例えば、若様が購入された×××を作れる鍛冶とか」

「×××を作れる×××とか」


途端に若様が乗り気に!

平手様も良い感触だ。


「では、良いですね」


若様が、スカウトを派遣してくれた。

目的地は、近江、紀伊、薩摩、堺などだ。

後は結果待ちだ、果報は寝て待とう!


そして、村井様と新しい領地の管理に忙しく走り回るのだった。


年が明けて、織田家に衝撃が走る。

平手様が平手様が・・・隠居の願いを殿に出したのだ"ほっ"

齢62才、人生五十年以上第一線を走り続けて来た。

それは勿論若様が心配だったからだ。しかし、他者を欺くのを止めてから安心でき、しかも清洲城まで手に入れた。

そして、自分の役目は終わりだと、後進に道を譲る決心をしたのだ。


殿は中々許可を出さなかったが、相談役になる事を条件に隠居を認めた。

これからは、筆頭家老は佐久間様に。

そう、退き佐久間である。


これから平手様の存在の大きさに直面していくのである。

ただ、歴史が変わってくれて"ほっ"としている小一郎であった。


そんな中、美濃から一通の手紙が届く。

内容は、マムシです。時間があったら会いませんか?

(簡略化し過ぎですごめんなさい)

若様から相談があったので、返信の手紙に良いですね、ただ義龍殿も一緒にお会いしたいです。ではどうですか?と答えておいた。

そしたら、帰蝶も一緒が良いですと返事が来たのでOKでーすと返事をして、国境の正徳寺で親睦を深めたのであった。


「殿、どうでしたか?」


義父(まむし)も義龍殿も一筋縄ではいかないなぁ」


「ですか。殿、佐久間様ご提案があります」


二人は“ギョ”と目を見開いた!

僕の提案は何故か恐れられている。


「おっ...少し時間をくれ!」「スーハー・スーハーうむ、良いぞ」

「あっそうだ!村井も呼んできてくれ!小一郎の提案だと言って!」


そしたら、恐ろしい勢いで走って来る村井様が...


「では、物納の塩を斎藤家に売りませんか!少し安めに」

「座との調整が必要ですが、一定量だったら大丈夫だと思います」

「塩だけでは勿体無いですね、他の海産物も一緒に」

「あと美濃の特産品も買いましょう」


「良い関係を築いて、互いに助け合う関係を義龍殿とも築きましょう」


わざとらしい笑顔でニッコリと話すが・・・


「その心は?」


「市場原理を使って、他所の塩を追い出し美濃の首根っこを抑えます」

「それと、物納の塩を尾張で売るより高く売れるので実入りがいいんです」


「恐ろしい事を思い付く・・・気付くかなぁ」


「斎藤道三殿は多分・・・」

「取り敢えず、手紙を出して見て下さい」


殿は納得、村井様は頷き、佐久間様は???であった。





「殿、木下小一郎参りました」


「おう、美濃から返事が来たぞ」


せっかちな殿らしく、直ぐに本題に入る。

手紙を読ませてもらい「では、進めます。それと美濃までの道の補修を行うので連絡して下さいね」と。


「あと、商人達を納得させる為に関銭をこの機会に廃止しますね」

「あとは・・・・・・」


「良きに計らえ!」


「持つべき物は部下を信頼して任せてくれる殿ですな、では」


次の段取りの為に席を立ち小一郎が帰った後で。


「村井、あやつは何者なんだ?」


「・・・わかりません・・・ただ、小一郎がしている事は全て織田家の為になる事ばかりです」

「・・・信じてやりましょう!」


優しく語る村井様がいたのである。

持つべき者は、理解のある上司に限りますね!






ガヤガヤと商人達の話し声が聞こえる。

各商店の代表が集まっているからだ。

用件の説明も無しで、不安を語る者もいた。


「忙しい中、集まってもらい済まない」

「自分は木下小一郎で、今回の件の責任者に任命されました、以後よろしく頼む」


場の雰囲気は思いっきり悪い。

それもそうだ、自分の子供かそれより幼い子が責任者など、と思っている事が顔に出ている。


「早速だが、決定事項を伝える」


「織田家は美濃斎藤家に、物納の塩を、美濃市場価格より安く販売する事となった」


ざわっざわざわざわざわと騒めきが。

塩を扱っている商人は怒りに震えている。


「木下様、何を考えているんや、うちらの商売上がったりや」


我慢出来ずに声を上げ、それに同調する者もいる。


「これは決定事項だ」


ピシャリと言葉を浴びせるも、相手は子供!塩商人も食ってかかって来るが、他の者が抑えているので、場の雰囲気は増々悪くなっていく。


・・・

・・・


「次に要請だが、他の商品も尾張の値段で美濃に販売して欲しい」


何人かの商人の堪忍袋が"プチッ"ときれた!

頭から湯気が出ている者もいる。


「そんな事出来るか、商人を舐めやがって」罵声が飛び交い、大半の者が出て行った。

そんな中「あらあら、短気は損気ですよ」と冷ややかに見送る者も。

結局残ったのは、5人の商人代表だった。


残った5人を見回して・・・


「これを実行してくれる商人には、領地内の関銭免除の特権を与える」


5人の商人達の表情が変わる、ソロバンを弾いているのがはっきりと分かるのだ。


「そして、まだ私見だが国境沿いに大きな市を開き、そこで取引してもらいたい」


5人の商人達の目が光る。


「「「「「この話、謹んでお受けいたします」」」」」


その後、やり取りをしながら一人の代表が質問してきた。


「木下様、何をお考えですか?」


ニヤリと笑いながら聞いてくる。

それに対して、ニヤリと笑いながら。


「津島(織田家)による美濃市場の独占」


・・・・・・・・・


「木下様もお人が悪い」


「いやそうでは無い、全員同じ穴のムジナであろう」


ワハハハと笑い声がしたとか、しなかったとか・・・。

結局残ったのは、大店の木村屋・橋本屋・鈴江屋・加藤屋と以前から取り引きのある、大橋屋であった。

これは後の事だが、出て行った商人達が話に噛ませてくれと泣きを入れて来たが、相手にされなかった事を付け加えておこう。





「木下様、村人揃いました」


「ありがとうございます」

「皆さん」今日は、ある村に来ています。

衣食住の充実の為、この村から付加価値作物(へちま)の増産に乗り出そうと動き出しました。


「奥様方、この商品は美人水と言い肌の調子を整える商品です。試して見て下さい」

「この様に、手に取って優しく肌に塗って下さい」


こんなのがとか、そんな物でとか、疑っていた奥様方は・・・・

「うそ、ほんとに、しっとりとした」と先程の評価と全く違い絶賛してもらった。


そして。


「この、美人水を作りませんか?」

「はいはいはいはいはい」と乗り気の奥様方のパワーで、作付けが決定!


また、別の村で「養蜂どうですか」と皆さんに食べて貰い、賛同頂ける方だけ弥生迄にこれを5組作っておいて下さいと見本と費用を渡して、此方もスタートしたのであった。

因みに、買取は引き続き大橋屋さんが対応してくださるとの事でした。





つづく。










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