表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/47

1566年−3

誤字報告ありがとうございます。

「これが錦の御旗か!」


殿達は本陣に掲げられた真新しい菊の御紋の入った旗を見上げているのだ!そして自分達の行動を朝廷が支持してくれたのも非常に良い影響が出ていて、全員がやる気に満ち溢れていた!

そして誰も疑問に思ってないが、許可を得ただけで誰も見た事の無い御紋入りの旗を一体誰が持ってきたのやら?悪いヤツがいたそうだ。

また、山城国での本陣に定められた、勝竜寺城は今後増築して一国人領主の城から山城国一の城に生まれ変わる事になっている。此方の増築のお手伝いも小一郎の仕事の一つで社畜道と極める為に日々頑張っているのである。


「全軍!出陣!」


そして山城国を平定後、錦の御旗を掲げて(国人領主達を引き連れて)摂津国に出陣して行く!

この事が、全国に激震を与えた!朝廷は次の天下人を織田家だと認めたと!

その為に進軍先では、国人領主達が我先にと降伏その対応に追われて織田本隊迅速な作戦が行えずにいたのだ。国人領主達からすれば、三好家の家臣ではあるが戦をして朝敵にされてはたまらないので、戦の前に降るのである。此方も生き残る事に必死であった。

この頃になると、早くも浅井家・斎藤家・武田家から援軍が到着、京の治安維持を始めて頂き治安が回復して行く足掛かりを掴む、またその事に帝は非常に喜び各部隊長に手紙を送った程であった。

(なお上杉家は2週間後に到着して、治安の維持に当たっている)


殿達が山城国を離れたタイミングで、関白様が山崎の関所の建築現場に顔を出す様になった。

雅なお育ちの筈だが行動的な方だ。


「小一郎、相談があるでおじゃる」


そう言って、相談に訪れた時に対応できるのが小一郎しかおらずその時に致命的な失敗をしたのだ。お茶と大福餅をたまたま作っていた物を出してしまったのだ。


「ホホホ、これが食べたかったでおじゃる!」


大福餅をニコニコ笑顔で頬張る関白様が「おかわりを所望致す」と作り置きがない為に「次のお越し頂く時までにご用意させて頂きます」と答えるしかできなかった。

その後、仕事の話をしっかりした後に・・・


「では、小一郎先の件宜しく頼むでおじゃる」


「はっ、かしこまりました」


小一郎は仕事の話と思っていたのだが・・・関白様の中では大福餅の事であり。


「では、また明日!」


そう言って帰って行く。

小一郎は和かにお見送りをしたが(明日も来るから大福餅を作れって事かぁぁぁぁぁぁ)と心の中で怒鳴りながらも、表情には出さない腹芸を身に付ける。

関白様は毎日のように通って来た。表向きは美味しい物を食べる為に!

本音は「この機会を掴んで見せる!」と鎌倉・室町時代に権力を失い困窮してきた公家はこの好機を逃さぬと、関白様を中心に動き出したのだ。


「ホホホホ、今日も来たでおじゃる」


関白様は一人で来る事はなかった。

常に摂家や清華家に大臣家の誰かを連れて来て、織田家の窓口と認識されて行くし小一郎にとっても公家衆と繋がりができるが、山城国関連の仕事の上に仕込みの仕事も増え社畜道を極めんが為に邁進するのであった・・・(´Д⊂グスン





「停戦だとぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


殿が激おこである。

それは、三好軍(御当主+三人衆)対織田軍・松永軍・畠山軍が今まさに決戦が行われようとしていた時であった。和泉国で対陣して睨み合い、戦機が高まって来た時の出来事である。

今回の停戦を仕組んだのは、三好家重臣篠原殿が三好派の公家衆に働きかけ畿内より撤退する事を条件に朝廷と和睦を結んだのだ。その話の中には大和国での松永家対筒井家の戦も含まれていた。

この動きは小一郎にも入っていない、寝耳に水の和睦であったし関白様も出し抜かれた格好である。

そして、錦の御旗を掲げている時点で朝廷が終わりと言ったらそこまでだった。

ただ殿も「はい分かりました」といって終わりではない。使者に来た公家に六天大魔王モードを発動して撤退期限を決めさせたのだ。ダラダラと撤退されてはたまらない、2週間以内に撤退しなければ、撤退の意思なしとみなし総攻撃を掛ける事を飲ませて、霜月に入る前に全てを終わらせたのであった。


また其れとは別に、史実と異なり三好三人衆が兵を率いて阿波国に渡った事で質量共に戦力に余力が生まれ、結果として長宗我部家対三好家の戦いは現状維持で土佐国の2/3を支配するに留まる事になるのである。


「「「う~ん」」」


関白様と殿と小一郎は頭を痛めていた。

今回の畿内平定の論功行賞の草案作りが難航したためだ。

困ったのは、松永家の扱いである。将軍弑逆にご子息が絡んでいたからだが、その後は三好家と手切れをして戦っている事から上京を促し、申し開きの機会を与えて功罪が有る為に現状維持で決着させることで何とか落し処を見つけた。そこからはトントン拍子で話が進む畠山家には、褒美として大鳥郡を除く和泉国の領地が与えられ河内国半国からかなりの勢力を取り戻した。それより別の意味で大変だったのは、武田家・斎藤家である。海に面した領地(3万石から4万石)が与えられ・・・「海、海、海」と非常に興奮して大盛り上がりで関白様の前だと言うのに、落ち着くのに時間がかかったほどであった。またその事が本国に伝えられると、ご当主を始め家臣団全員が阿鼻叫喚の世界で大盛り上がりをしたと後の歴史書に書かれたそうだ・・・因みに、浅井家と上杉家にも海に面した領地(3万石から4万石)が与えられたが淡々としたものであった。あと、北畠家にも内陸部だが同じぐらいの領地が与えられている。

そして、残りの摂津国と河内国半国と山城国の半国は織田領で話が付き、公家として朝廷としても復活?の足掛かりを掴んだのであった。(これで朝廷の運営が(予算的に)上手いこと行けば良いのだが)

それらとは別に、同盟国の北条家と今川家には帝からの感謝状が贈られる事となった事を付け加えておこう。






「木下殿・・・これはどうしようもないな・・・」


「親方、無理を言って申し訳なかった」


何故、親方に小一郎が謝っているかと言うと山崎関所(仮)に空堀&土塁を複数設けようとするも淀川の水が滲み出てどうにもならないからだった。小一郎はここの防衛の柱に鉄砲隊による新戦術を考えていたが断念するしか無かった・・・

そして空堀&土塁は諦め近江国の職人集団に仕事を依頼するのであるが、とりあえず仮の関所の建築に方向転換をしたのである。

関所の建築が始まると、今度は尾張、伊勢志摩、近江から宮大工御一行様が到着!流石村井様タイミングがバッチリで本能寺を拠点に京の町の復興計画も始まった、また尾張から義理の兄(貞成殿)と役人達も到着、早速打ち合わせの後に新織田領に出発!何時もの様に3公7民に徴兵をしない事を各村に伝えながら検地をしていくのだ。各村々の反応はいつもの様に大喜びだ。


ただし「隠田は許しませんでぇ!」


役人達と義兄の到着で内政の仕事が本格的に動き出す。小一郎は無理をせずに義兄に仕事を任せて、何時もの雇用説明会を国人領主向けに数カ所で開催、此処で始めて自分達の置かれている立場を認識する国人領主達であった。


「三好家とは違うのだよ、三好家とは!」


この時代は、領地を治める為には国人領主の協力が不可欠であったが、織田家では役人がその役目をする為に国人領主を配下に加える必要は無く、どこにでも移動させる事ができた。そして何時もの様に、激怒発生!そして小一郎の一言で即鎮火!偉そうな事を言っても結局は織田家に雇用されるのであったのだ。

ただ、問題が無いわけではない、特に厳しいのが農業試験場の人手が圧倒的に不足していて来春の田植え前に、人手の派遣が出来そうにないのだ。今現在は伊勢志摩で手一杯の状況であった。いつになれば摂津国や山城国・河内国に正条植えに塩水選が広まるのだろうかと思う小一郎であった。


「木下様」


物静かな声で、声を掛けてくれたのは服部殿であった。


「お耳に入れたい事がございまして」そう言って現場まで来てくれたのだ。

親方と木造殿に挨拶をして席を外す・・・


「先日の撤退する三好軍の将兵の中に六角殿(親子)が含まれていたとの事、そして、皇軍となった織田軍に最後まで徹底抗戦を主張していたと報告が上がっています」


「そうか、三好家を頼って復権しようと・・・でも無理でしたね」


そう言って考え込む・・・


「服部殿、畿内に三好家の影が無いか調べては頂けませんか?」


言葉ではなく、深く頷いて服部殿はこの場を後にした。

そして、仕事の追われてしまう小一郎達は尾張に帰る事が出来ずに、新年を山城国で迎えるのであった。







それは少し前の事であった。

勝竜寺城前の戦に足軽で参加していた猿顔の小男が必死に叫んでいた。

足軽頭が討死、足軽組頭も負傷して大混乱に陥った時の事だった。

才幹を発揮して、部隊をどうにかまとめて全滅を防ぐことに成功しする!

ただ、我が岩成軍は惨敗で多数の戦死者をだして山城国から退却する事に・・・すると。

指揮官不在ではまずい為に、残存兵を纏める為に暫定的に猿顔の男を足軽組頭任命!残存の30人を束ねるように殿より命令を受けたのであった。

猿顔の男はここに来て初めて出世の糸口を掴むのであったが、その後の活躍の場はなく阿波国に落ちていくのであった。




つづく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ