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1564年-2

「木下様、柴田隊が山中城に到着しました!」


「其れで、戦況は・・・?」


「甲賀郡中惣は、約定通りに敵対行動は見られません。

 滝川殿がかなり頑張られています」


「そうか」


ほっとする小一郎、どんなに準備をしても予想外の事は起こる物だから気が気で無いのだ!


「殿や佐久間隊は?」


「多少の抵抗はある物の、問題無く進軍しています」


「今川家の様子は・・・?」


小一郎の心配は尽きないが「動きは無いです」と聞き安心してから。


「では、六角殿を思いっきり揺さぶろうか」ニヤリ


“では”と言って消える弥七殿、その後、観音寺城内には裏切り者がでる!出陣したら最後だと噂が立った。六角殿はその噂を信じ込み宿老達の言葉にも耳を貸さない。急遽徴兵で集めた兵士9000を城の守りに配置、援軍を待っている味方を見捨てたのだ。その行動を見て蒲生殿は観音寺城に詰めていた手勢を率いて急ぎ出陣!居城の援軍に向かうのであった・・・・・・





「殿! 六角軍蒲生隊が此方に近づいて来ています」「兵約300」


「敵の本隊は?」


「確認出来ません」


「可成!迎撃の準備だ!」


「はっ」


森殿は殿の命令を聞き一番に走り出す。迎撃の準備をさせて相手の出方を待つ為に。

街道を大きく封鎖するように、匠である蜂須賀殿(おやかた)が監督し作った砦だ、簡単には抜かれない。しかも相手方は約300人に対してこちらは6000人、まず抜かれることは無い安心感があった。


「これはどの様に対応しようか・・・

助言を頂けますかな・・・三雲殿」


「はっ」


四日市の織田本陣には、六角家宿老の一人の三雲殿が控えていた。


「殿、では、拙者が出向いて蒲生殿と話をしてきましょう」


そう言って飄々とした何食わぬ顔で、蒲生隊まで歩いて行く。


本陣を出て行く三雲殿だが、実は滝川殿が小一郎達と一緒に甲賀郡中惣と接触を持ってから秘かに三雲殿に接近して、裏切らせることに成功していたのだ。

ただ、同盟関係に近いとは言え君主である当主を打ち取って手柄にする事は躊躇されたので、この様な形での合流としたのだそうだ。観音寺城内の情報をお土産に。


「殿、蒲生殿をお連れしました」


「・・・・・初めてお目に掛かる・・・蒲生賢秀と申す」


「信長だ!」


「「・・・・・・・・・」」


しばらく、見つめ合い・・・・・・(これでは、相手にならん訳だ)

蒲生殿は当主である六角義治殿と目の前にいる敵将織田信長との器の違いを感じていたのだ。


「手向かいは致しません、どうか妻子や家臣には寛大な処置をお願い致します」


そう言って平伏する蒲生殿に。


「では、この戦が終わるまで三雲殿預かりとする。

 三雲殿、よろしく頼む!」


「殿、どの様「好きにせよ」に。

 はっ、では蒲生殿参りましょうか」


この時すでに日野城は落城、いや降伏して開城!蒲生殿の妻子などに死傷者は無い事を三雲殿が伝えていた事を付け加えておこう。

そして、三雲殿と蒲生殿は観音寺城方面に軍を引き連れて消えていくのであった。


「殿、大丈夫でしょうか?」


心配性の丹羽殿が声を掛けるが・・・


「裏切られたら全軍で踏みつぶすだけだ!」


その表情は魔王モードでニヤリと笑うのであった。



その頃、柴田隊は・・・山中城を出発して三雲城に進軍していた。

「柴田様は何処に」伝令が駆け込んで来た。


「どうした?」


「はっ、殿より伝言を預かっております。三雲殿が当家のお味方に付いて頂けた事をお伝えさせて頂きます!」


「そうか、其れは重畳よのう!」


「「「「はっ」」」」


側近達の表情も柔らかくなる。


「では皆の者、三雲城を越えて草津まで進軍致す!」


「「「「おぅ」」」」


柴田隊は士気も高く足取りも軽く、進軍して行くが・・・・・・


「柴田様、前方に敵軍の平井隊が陣を構えております」


「分かった」


「因みに敵兵力はどれぐらいだ」


「約3000から4000と思われます」


「では、殿と木下殿に伝令!我敵軍と邂逅すだ!」


「はっ!」


「では皆の者手筈通りに行こうか」


と敵を作戦通りに要地に陣を張り睨み合いに入るのであった。




「殿、只今到着いたしました」


「ご苦労」


本隊に佐久間隊が合流した。因みに内藤様が兵500と共に重要拠点の日野城の守りに付く。


「では、佐久間隊の兵達には明後日まで休息とする。

 そして、明後日の朝、新しい作戦に従事してもらう、引き続き頼むぞ」


「はっ」


"伝令"と見慣れぬ武士が走り込んで来た。

一瞬緊張が高まるが・・・


「お伝えいたします。我が殿三雲より文を預かってまいりました」


文に目を走らして・・・ニヤリ


「良くやった!

 至急後詰めをすると、三雲殿と後藤殿にお伝え下され!」


"はっ、では"そう言って、伝令は走り去った。


「佐久間、この陣を頼む!

 織田本隊、出陣いたす急ぎ準備をいたせぇ!」


六天大魔王モード発動!殿の動きが変わる、小一郎が示した作戦プランから外れてしまうが、ここが勝負と戦場のにおいを嗅ぎ分けたのだ。佐久間様は文を殿から渡されて現状の把握をしたのだが・・・三雲殿?蒲生殿?そして後藤殿?と六角家の宿老が此方に寝返ってい現状に?が付くばかりであった。

しかし、殿の動きは速かった。時間との勝負である!佐生城に六角軍が攻め込む前に後詰めをすると、観音寺城周辺の戦況が一気に織田方に傾くここは無理をしても進軍の一手である。




「殿ぉぉぉ」


観音寺城に目賀田殿の慌てた声が響いてくいる。


「うるさいぞ、何がどうした」


「はっ、後藤殿、三雲殿、蒲生殿が   お お 織田方に付きましたぁぁぁ」


「な な なんだとぉぉぉぉぉ!

 くそ・・・」


「・・・出陣する!裏切り者を成敗してくれる!

 目賀田、留守を頼む」


「はっ」


動員できる最大兵力8000人で、目と鼻の先にある佐生城を攻略に向かう。

裏切り者をこのままにしておいては、六角家の当主としての威厳が保てないのだ!


「殿、ご武運を」


そう言って送り出す目賀田殿だが、出陣が終わるとニヤリと一瞬だけ表情を変えるのであった。


「いそげぇぇぇぇぇ」


兵士達を叱咤しながら進軍して行く。

佐生城までの距離は非常に近いから、あっという間に到着する。

"攻め寄せよ"着くなり、総がかりで攻めていく。

其処には、冷静な判断は無かった。ただ裏切り者を許すまじその一言に尽きた。


一方城方の、後藤殿、蒲生殿、三雲殿は直ぐに攻めて来るのが分かっていた為、準備万端で迎え撃つが・・・

ここからが死闘の始まりであった・・・

遮二無二城攻めを敢行する六角軍、自軍の損害度外視の様だ。

半刻後・・・どうにかこうにか持ちこたえているが、押し寄せて来る数の暴力にこちら側は早くも満身創痍である。ただ裏切り者憎しで駆け引きも無く城攻めを行う兵は可哀想なもので合った。

正に消耗品扱いであったからだ。しかし戦は続く・・・


「っん?」


あれから半刻立った頃であろう・・・


「「「来たか!」」」


3人の宿老達は戦の臭いを嗅ぎわける。敵軍の後方に異変が感じられたのだ。




「殿、間に合いましたな」


「蜂屋、横槍を頼む!」


「ハッ!」



「さあ皆さん、獣になりましょう!」

「いくぞー!!!」


部隊を率いた蜂屋様は狂戦士(バーサーカー)と化して敵軍後方に襲い掛かる。

狂戦士(バーサーカー)に引き入られた500人の狼が牙をむく。

六角殿が城攻めしに集中していて相手方の後詰めの対策を何もしていない。いや裏切り者憎しで気付いていない、即ち直近まで相手に気づかれずに襲い掛かれたのだ。

六角軍は何が起こったのか解らずに大混乱、立て直しも効かずに屍の数を増やしていくだけであった・・・

そして・・・六角軍が退却いや、逃げ帰った後には敵の屍が無残にも残っていたのだ。


「殿、後詰め有難うございます」


そう言いながら、三雲殿と蒲生殿と後藤殿が城より出迎えに出て来たのだ。


「すまぬ、遅くなった」


「いいえ」


「それで、三雲殿紹介して頂けるかな?」


「これは、失礼をいたしました。

 此方におられるのが、後藤高治殿にござる」


「お初にお目にかかります。後藤高治ございます。

今後ともよろしくお願いいたします」


「良く当家を頼ってくれた、こちらこそよろしく頼む」


「はっ」


「では、お三方は佐生城にて休息と兵の再編をお願いしよう。

 我はこの勢いに乗って観音寺城を攻めに行きたいのでな!」


「殿、その心配は無用にございます。

 六角軍は今頃、観音寺城兵が矢を馳走している頃かと思いますゆえ」


「それは、観音寺城が六角軍を裏切ったという事だな」


「御意に!

 目賀田殿が今頃獅子奮迅の働きをしている事でしょう」


「では、お三方は今後どの様にしろと?」


「はっ、先ずは観音寺城に入場して、城と城下を把握してから旧六角家家臣を呼びつけ、臣従するか敵対するかを選ばせればよい事だと思います。

 六角家を此処までボロボロにしたのです敵対はしないでしょうが、何かの手段を用いて心服させる必要がございます」


「そうか、では皆の意見を採用させて頂こうか」


そう言って六角軍残党を追い払い観音寺城に入場するのであった。




つづく





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