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1563年-3

誤字報告有難うございます。

神の一手を現実にする為に、次の一手も大変であった・・・


「村井様お話があります」


普段と違う小一郎の雰囲気に、只事ではないと感じ取った義父は場所を変えて落ち着いた雰囲気のある部屋に場所を変えて、お茶を飲みながら話す事としたのだ。


「義父様、養子を取らせてください!」


勿論、土下座です。しかも板間に額が付いています・・・

表情が一変する義父!バーサーカーモード発動!

義父の頭の中は、小一郎が浮気をして子供を授かったと思い(さき)可愛さで、怒りモードなのだ。


「どごて遊んできた!こいちろう-!」


感情が爆発している!

小一郎も負けてはいない。

気迫で押し返す!


「浮気などしていません!今日の明け方僕の夢に、観音様が現れて僕に語り掛けたのです。小一郎、三好家から養子を貰いなさい。その事が今後、木下家と織田家と三好家の繋がりを強くするでしょうと語り掛けてくれたのです」


(ごめんなさい嘘です)と心の中で謝りながら、義父の余りにも凄い怒りに仏様と観音様の間違いにも気が付かず語り続ける。


「さきにも正直に話して(ズキ!と胸が痛む)了解を得て、それから義父に話しているのです。

 浮気で出来た子供を引き取るのではありません」


浮気はしていない大事な事なので2回言いました。

小一郎も必死に話している。

そして、ここから約半刻ほど話し合い義父の了解を得たのであった。

(ふぅ~義父怖かった~ 二つ目の山を越えたぜぇ)



「殿、お願いがございます」


休憩中の殿に面会を求めたのだ・・・

ただ殿も僕と村井様の雰囲気が違う事を察して私室に・・・


「殿、お願いがございます。

 三好家より養子を迎えたく思います。お口添えいただけませんか?」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」


驚きすぎて、口があんぐりと開いていた。


「もう一度申し上げます。

 三好家より養子を迎えたく思います。お口添えいただけませんか?」


落ち着きを取り戻した殿の目がギロリと光る。

恐ろしい雰囲気だが六天大魔王モードではない、頭の中が恐ろしい速さで回っているのが分かる。

平伏したまま待つ僕。


・・・

・・・


「小一郎、詳しく話せ。

 何がどうなってこうなったのか?」


「はい、実は今日の明け方僕の夢に、菩薩様が現れて僕に語り掛けたのです。小一郎、三好家から養子を貰いなさい。その事が今後、木下家と織田家と三好家の繋がりを強くするでしょうと語り掛けてくれたのです」


いっぱいいっぱいで今度は菩薩様と間違えてしまう。

村井様もあえて其処は突っ込みを入れない。


・・・

・・・


「うむ分かった、この件三好殿にお願いしてみよう。

 ただし、佐久間の仕事が落ち着いてから三好家に使者で赴いてもらう。良いな!」


「はっ、ありがたき幸せ」


これで良い、人事を尽くして天命を待つとしよう。

しかし、佐久間様の仕事がなかなか落ち着かずに、使者で三好家に赴いたのは文月の終わりの頃であった。





「殿、失礼いたします」


「織田殿はどの様な用件で、佐久間殿を使わされたのかな?」


落ち着いた雰囲気で三好長慶殿は松永殿と話し出す。

今、三好家では大変な事が起こっており、探りを入れて来たのかと疑った為に松永殿が面会をしたのだ。

"実は"と松永殿は話し出す。

織田家から家臣の木下家に、三好家一族の男子を養子に迎えたいとの申し出があったと。普通なら何を言っておるのだと織田方で諫める処だが三好家まで話が来たのは・・・。事の起こりは木下殿の夢枕に菩薩様が立たれて"三好家から養子を貰いなさい。その事で三好家と織田家と木下家の繋がりが強くなるだろう"と告げられたそうでお願いに参った次第であると、おっしゃっていました。


「夢枕に菩薩様が・・・・・・菩薩様のお話では無下にもできないか・・・・・・

 でだ、養子先の木下殿とは?」


「はっ、報告によると織田家の吏僚として仕えており、上司の村井殿が娘婿にと臨んだ人物だそうです・・・・・・」


「それだけか?」


三好殿の疑問に。


「はい、ただ念には念を入れて草の者を放った所です」


「ではその報告待ちで今後の対応を決めるとしよう」


と話が纏まり、翌日、松永様殿が佐久間殿に話をして終わっていたが・・・後日・・・




「殿!よろしいでしょうか」


急ぎ足で報告に訪れた松永殿、先の話から2週間以上立って報告が上がって来たのだ。


「殿、先日の織田家からの養子の件で調べておりました木下殿、只者では御座いませんでした」


少し興奮気味に話をする松永殿に"まぁ落ち着け"と小姓に白湯を用意させる。


「殿、木下殿は只者では御座いませんでした!」


そう言って報告を始める。


「只の将来性のある吏僚ではなく、現時点で織田家を支えて、いや儲けさせています!まず、殿もお好きで嗜まれる清酒は彼の発案で織田家で作られていますし、焼酎もそうです。それに奥方が愛用している美人水これも彼の手で世に出されたものです」


「うむ、そうか・・・」


「それだけでなく、織田家では種子島の製造もしており木下殿が監督していますし。また最近流行りの歯ブラシや舌磨きなどの尾張発の商品も木下殿が作って現在も監督しているとの事です」


「ほぅ~それほどの逸材か・・・だからこそ織田殿がこんな無茶な話をして来るわけだ・・・

 この話が纏まれば、両家は増々強固な関係になれるだろう」


ニヤリと笑う二人の男、三好家の為ならどんな手でも打つ男達であるが・・・一人の伝令が訪れるとこの話は立ち消えて急ぎ部屋を出るのてあった。






「木下殿~」


潮風が似合う強面の漢が声を掛けてくれた。

殿に呼ばれて登城していたのだ。


「これは九鬼殿」


久しぶりの再会を喜ぶ二人に、いきなり頭を下げる九鬼殿が居た。


「木下殿、ありがとう殿に分家を進めてくれたのであろう。

 それと澄隆を推挙までしてもらいたら、木下殿にあたまが上がらんは」


ワハハと豪快に笑いだす。


「ワシで力になれる事があったら何でも言ってくれ!」


「では、お言葉に甘えてお願いしたいことが・・・」ニヤリ


ゾクッと悪寒が走る九鬼殿。


「九鬼殿、倭寇とつながりはないですか?」


" おぅ、 あ あ 有るにはあるが・・・・・・豪快な九鬼殿にしては歯切れが悪い。

あっ・・・


「大丈夫ですよ、倭寇を雇うことは無いですから、ある作物の苗を購入してほしいのです。

 それは明では甘蔗という作物で、南方で栽培している植物なんです。

 お金がかかるのは此方で支払います、伝手でお願い出来ませんか?これも織田家の為なんです」


そう言ってお願いモードだ。だがチャンスは逃せない!

“しかたないですなぁ、どうにかしましょう”と頭をかきながら了承してくれた。(九鬼殿ありがとう!)

これが手に入ったら、農業試験場で生産開始だ!ヤッホー





「暑い・・・」


そんな言葉がつい出てしまう葉月末に、伊賀に向かっています。

仕事が落ち着いた、親方と増田君の三人でお茶の葉の買い出しと根回しの為に久し振りの出張です。

伊賀に根回し?と思われるだろうが北畠家を後ろ盾としていた国人衆もいる為の訪問だった。

今回の戦で、伊賀衆が六角頼りなしと思ってくれたら最高なのだが・・・中々そうはいかないだろう。


「木下殿、蜂須賀殿、増田殿お待ちしておりました」


伊賀街道で数人の武士が出迎えてくれた。

連絡はしていない・・・しかし行動は筒抜けだ・・・忍び恐るべしである。

そして、大きな屋敷に案内をされたのであった・・・


「ご無沙汰しております」


「久しぶだな、2年ぶりか」


"はい、二年ぶりですね"そんな感じで始まった。

会談の相手は、上忍三家の服部殿だ。雑談に始まり今年のお茶の品質などを取り引きの話などをして話は終わった。


「あっ、忘れておりました。織田家の伊賀国との窓口を自分が拝命致しました。何かございましたら木下までご連絡下さい」ニコリ


「織田殿と親しくお付き合いさせて頂くと、何か良い事があるのですかな?」


「いやぁ、これはあくまで独り言ですが・・・・・・織田家をご贔屓にしてくれると尾張と伊勢志摩の商人達がその地域の産物を優先して購入していく事でしょう。

 まぁ、独り言ですが」ニヤリ


「いやぁ~其れは大変ですなぁ。

 木下殿、今後とも良しなに」ニヤリ


腹黒い男達が駆け引きをしながら不気味な笑顔を見せ合うのであった。




「木下様!」


伊賀からお茶を仕入れて帰って来るのを待ち侘びている男がそこにはいた。

弥七殿の表情が硬い、何か大事が・・・・


「木下様、三好家ご当主が遠行されました。

 葉月の末頃だそうです」


伊賀に出張している頃だそんな事を思いながら報告を聞いた。

ただ、当主が亡くなったのに微塵も揺るがない。未だ三好家の大黒柱はご隠居の三好長慶殿と言う事をが判るが、御子息はお一人だけの筈、今後どうなる事やらそんな事を考えながらも続報が入り次第の報告をお願いしたのである。

急ぎ登城して殿に報告すると、既にご存知で今後の対応を検討していた。

丁度良いと言って、対策会議に参加させられ・・・解せぬ。




「お初にお目にかかる」


そんな時に、いやそんな時だから状況が動き出す。

浅井家から、浅井3将の一人重臣の赤尾殿が清須を訪れたのだ。狙いは1560年以降続く膠着状態の解消で、敵の敵は味方と言う考え方の下で接触を図ったのだ。

ただ、問題もあった。同盟国の斉藤家とは仲が悪く小競り合いが度々発生しているのだ・・・

浅井方の提案は、同盟を結び共同で六角と戦っていく事だ。


「う~ん!」


重臣方が頭を痛めている。共同作戦が取れると六角家相手も非常に有利に戦えるのだ。先日やられた二面作戦である。これを織田家・浅井家で是非ともやりたいと考えるのが普通である。

ただ、斉藤家と浅井家の仲を取り持つ良策が浮かばないのであった・・・

取り敢えず、佐久間様に接待役を命じてその場は収まった?のである。


「邪魔するでぇ!」


「邪魔するんだったら帰ってぇ」


「あいよ・・・てっ帰るかー!」


“ボコ”という鈍い音と共に拳骨が降って来る。

パワハラだーとアピールしたいが時代が・・・(ノд-。)クスン

殿は農業試験場の執務室まで押しかけて来たのだ。


「聞いているな!」


「浅井家より使者が来た事は・・・内容まではまだ・・・

 増田君、すまないが席を外してくれないか・・・」


早く席を外させろと訴えてくる目線が痛い。

"実はな"と言っても話し始めた。内容は軍事同盟を結び共同で六角家に当たる事である。当家としても渡りに船で合った。戦以降も弥七殿にお願いして様々な(うわさ)を広げて精神的な攻撃を続けているのだが、此方から先手を打てない状態なのだ。戦を起こしても先の戦で織田家がしたように峠の難所で防御を固められたらまず抜けないからだ。この同盟はどうしても必要だと考えた殿はワザワザ訪ねて来たのであった。


「小一郎、知恵を出せ!」


無茶ぶりである。

殿からのプレッシャーが半端ない。

“う~ん”頭を捻る。知恵を出せと言われて出るものでも無い・・・困った!

”同盟“などとブツブツ言いながら、頭の中を整理して行く。


・・・

・・・

・・・


チーン!


「殿!三国同盟にしましょう! 

 織田家・斉藤家・浅井家で婚姻を結び纏まりましょう!」


「小一郎、良くやった!褒めて遣わす!」


その言葉を残し、善は急げで走り去る殿がいたのであった!




つづく。




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