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1563年-2

誤字報告有難うございます。

弥生に入ったが、戦いは続いていた。

木造城を包囲して一月以上が経つが士気は高いままで、木造殿の統率力の凄まじさを物語っていた。ただそれは、此処を抜かれると北畠家が終わるとの想いだけで、奮い立っていた!

事実北畠家はまとめる人材が不在で、留守居役の藤方殿一人では意見の割れた親族集をまとめる事が出来ずに押せば倒れる程ガタガタになっていたのだ。


「佐久間様、殿より書状が届いております」


“この書状を木造殿にお渡しせよ、そして返事があるまでは停戦する様に”と指示が来た。

指示通りに木造殿に書状を届けると、木造殿はワナワナとふるえながら崩れ落ちるのであった。

ただそれでも従わない男がいた。長野具藤殿である。手勢を率いて長野御所にて籠城して戦う姿勢を崩していない、大した物だが今の現実が見えていないのだ。いや、北畠家の後継者を夢見たのかも知れない。

佐久間様は木造城から兵を率いて包囲、再度北畠殿の手紙で降伏を勧めるがそれを拒否して城に篭るが援軍の来ない籠城など自殺行為でしか無い、巻き込まれる兵士達は溜まった物ではなかった。

しかし、一週間がたった頃だ城方より降伏の使者が訪れ当主の長野殿は死亡しましたと?そして事故死として処理されたのであった(袈裟斬りのある事故死、戦国時代恐ろしや)

その後、城の受け渡しは雲林院殿と細野殿主導で速やかに行われたのであった。





「信包頼んだぞ!」


「兄者お任せください」


そう言って信包様は側近を率いて北畠家に旅立っていく。

北畠具教殿との和平交渉で養子となり跡を継ぐ事に、また一族の女性を養女として婚姻をする事で合意したのだ。婚姻後には北畠具教殿達は尾張に屋敷を構えて生活をしてもらう事に・・・(護衛という見張りはいるが、軟禁よりましだよね)

当初は史実通りに、茶筅丸様が北畠具教殿の娘と婚姻をして北畠家を継ぐ話で纏まり掛けたのだが、年少を理由に殿に直談判(史実でもあまり良い扱いをされたと聞いた事が無いから性格がひねくれたのかも、これを機会にしっかりと教育してもらいたいものです)殿を説得して信包様に。それに史実では信包様も長野家に養子に入った事があるから、5年ほど早いし家も違うが問題ないだろう。多分。うん。そう思う。思いたい。ですはい!




「では、織田家・北畠家の雇用説明会を行いたいと思います」


村井様と小一郎は、前代未聞の雇用説明会を開いている。

霧山城の大広間に集まった北畠家の家臣達に織田家の雇用形態を説明して、嫌なら無職になってもらうのである。渋々了承しても三か月の研修で反逆心を折ってしまうのだが・・・

「では、まず織田家では身分に係わらずに基本、給金制で雇用します。ですから信包様も家臣になるので給金です!そこからご自分の家臣を養ってもらいます。次に、これはああで、そうで、こうで、こうなります」と約半刻の時間を使い説明して質疑応答に・・あれは・・・それは・・・これは・・・と話をし終わった後に。


「この条件が気に入らなければ、出て行ってもらって結構です!」

「お引止めはしません、ご自由にどうぞ!」


皆、困っている今までは領地を持ち治めて来たのが、此れからは管理人の立場になり異動もあると言っているから、一所懸命頑張って来た今までが否定されたみたいでやりきれないのだ。


「即答も難しいでしょうから、明日中に仕官を希望される方は申し出てください」

「以上で説明会を終わります」


そう言って会を終わると別室の待機の事務員が矢継ぎ早に報告に、全村々に領主が変わる事と三公七民に徴兵制度が無い事を伝えて後は、検地に訪れる事と"隠田は許しまへんでぇぇぇぇ"と取り敢えず伝え村人達に喜ばれたと報告が上がる着実に支配して行く為に!それと北畠家の家臣達と農民達の心が離れるように、また役人を送り織田家の方針を各村々に伝える日を雇用説明会と同じ日にしたのも偶然では無く、代々統治して来た名門北畠家に対する忠誠心に思いっきり蹴りを入れる為であった!


「では、現地説明会を始めます」


翌日には大湊と松阪をはじめとした商人に対しての説明会だ。

此れから如何なるかわからない為、軒並みに代表者が参加している。


「では、始めます」


そう言って始まった説明会は、質疑応答をしながら半刻で終了する。


「ご苦労様でした、以上でおわ・・・言い忘れが一つあります。織田家,新生北畠家の庇護下に入ると、来年から作付け生産が始まる美人水の独占販売権を与えようと思っています。」ニヤリ


「では、おつ「「「「「「「ハイハイハイハイハイハイハイ」」」」」」」かれ・・・えっ」


恐ろしい勢いで商人達が詰め寄って来る(計算どぅぅぅぅぅり)と心の中で叫ぶ!

”お世話になります”とか“織田様について行きます”とか“独占販売権は是非うちに”と全員が手を上げたのだ。美人水の力恐るべしである。

それで結局は来年度迄に平等に販売できる様な方法を考える事で何とかその場を収めたのであった。


“お疲れ様でした”大広間を後にして別室に・・・


「どうだ」


気になる、旧北畠家家臣の士官状況が・・・・・・

一部が去る見たいだが、ほぼ士官してくれそうだと。

それと一部のバカが高待遇を得ようと画策するも、逆鱗に触れ伊勢志摩から一族を連れて落ちて行くのであった。



そして、何時もの無茶ぶりが始まる。

それは説明会の報告が終わった後の事だった。


「殿、ご提案が御座います」


「えっ」殿にいつもの様に動揺が走る。

「い い 今、清洲にいる重臣を呼べぇぇぇ」言葉も震える。

何時もの事だが・・・解せぬ!

佐久間様は南勢と志摩の安定の為に不在、蜂屋様と内藤様も定期便で他国に・・・詰めていた柴田様と平手様が呼ばれたが、意外なゲストが訪れた。


「三郎、何があった!」


部屋に入って来られたのは織田信光様であった。

“よいよい”と畏まりそうな面子に声を掛けて座る。


「小一郎が提案があると・・・」


「ほぉ、此れは楽しみだ、どんな無茶を言うか楽しみだ!」


ニコニコしながら一人で楽しんでいるが、その他のメンバーはドキドキで落ち着きが無かった。


「では、改めて・・・殿・・・将来の為に出島を作りましょう」


「「「・・・・・・?」」」


「出島とは・・・・・・?」


皆んな解っていない・・・あっ気が早すぎた。


「巨大で、水深の深い人工島の湊を作りましょう」


伊勢志摩を領地にしたばかりなのに早くも次の一手だ。


「小一郎、湊など既にあるのだ今更湊を作る事は無いのでは?」


柴田様の無難な意見に全員が頷くが。


「柴田様のご意見もっともだと思います。が、此れからの事を考えたら今から湊を作るのが良いと思いまして」


「此れからとは・・・」


信光様の問いは何か期待していると思われるが、敢えて気が付かない事にして。


「はい、琉球・南蛮との交易とこれから創設される織田水軍の旗艦船の母港にl」


「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」


全員が呆れている,考えがぶっ飛んでいるからだ。

しかし・・・


「南蛮船は堺迄来ています。尾張(伊勢志摩)迄来るのは時間の問題と思います。それと、いつ琉球との交易が出来る様になるか分かりません。お気持ちだけはお持ち下さい」


「では、続きまして!」


“まだあるの?”信光様以外の人達の目線が痛い。


「殿、九鬼嘉隆殿を分家させて頂きたく存じたます」


話が飛んで、参加者はついてこれない。


・・・

・・・


「小一郎、その心を聞いても良いか」


「はっ、九鬼嘉隆殿には分家して頂き内海と化した伊勢湾の入り口の防御を担当してもらい、ご当主の九鬼澄隆殿には村井組に入って頂き、将来は内海と化した伊勢湾の管理全てを担う人材になって頂きたく思っております!」(あっ織田水軍の旗艦の艦長も兼任です。それと内海内の守りは佐治水軍です)


九鬼澄隆殿の死亡説も色々あるから、この方法で九鬼嘉隆殿と九鬼澄隆殿が良い距離感を掴めば、お互いが不幸になる事は無いだろうと思い提案する。


「よし、分かった」

「その件は、早急に手配する」


殿の目がキラリと光り即断即決すると「はっ、ありがたき幸せ」とに感謝を述べて僕の無茶ぶりは終わったのだが・・・


「小一郎"はっ"南蛮と交易をすると言ったが、何を売るのだ。

 尾張に南蛮人が買いに来るものなどあるのか?」


「信光様のご懸念もっともだと思います。

 もしもの為に、用意しております。お願いします」


"失礼します"と女中さんが一つ目を持ってきてくれた。


「これは、果樹酒です。

 これを売ります、ただ大量生産はこれからですが」


「まぁ一献、味を聞いていただきたいです」と杯を全員に渡して注いでいった。

殿には少量ながら献上している。後は帝と関白様と山科様ぐらいしか味わっていないと思う。(あっ・・・身内は別です)


「うむ、面白い味じゃな」とおおむね好評な果樹酒(本当はワインです)で「後は、これです」とお願いすると。


「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」」」」


全員が驚き、大声を張り上げるのであった・・・ニヤリ

その後、信光様に果実酒を催促され後日お届けする事となり報告(むちゃぶり)は終わったのであった。


皐月に入り、田植えの準備のお手伝いに来ています。

農業試験場のメンバーも塩水選にも慣れて安心して任せています(田植えは来月)また肥料(鶏糞、牛糞や落ち葉の肥料)などを見て回り、皆の働きに大変満足満足そして、例の物の所へ・・・結果から言うと失敗です。何が原因か判らないが硝石生産の試験は失敗しました。諦めることは出来ないが引き続き研究対象となる。最初からうまくいく筈はないよねと納得している。(ノд-。)クスン

その夜は、久し振りに体を使い深い眠りに・・・ガバッと明け方に目が覚めた。

僕は夢を見ていた。そして夢の中で僕は神の一手を指していたのだ!

さきが目をこすりながら"旦那様・・・"と僕の方を眠そうな目で見ていたら。


「さきすまん!」


布団の上で土下座をし出す僕。

一体何が起こったか分からず驚くさき。


「さき、養子を取らせてくれ!」


「     」


パクパクと口を開くもさきは言葉が出ない。当たり前だ明け方に、いきなり亭主がこんな事を言ったのだから。

ただ目は覚めて落ち着きを取り戻すと事の起こりを話した。

「夢の中でな、仏様が現れて三好家から養子を迎えなさい、その事で木下家と織田家と三好家は深く繋がる事となろう」と言葉を頂いたのだ(さき、ごめんなさい嘘です)その言葉を聞いて飛び起きたのだ。

夫婦仲は悪くない、ただ子宝にはまだ恵まれてはいないのだが・・・


ジトと向けられる目線、疑われて・・・なかった。


「仕方ないですね」


困ったかあきれたか、何とも言えない複雑な表情をしていた。

(さき、ごめん本当にごめんなさい)と心の中で平謝りの小一郎であった。




つづく。




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