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1561年ー2

誤字報告ありがとうございます。

"う~ん"囲炉裏を前にして考え込んでしまう・・・

敵はあの六角家だ。

まともに戦っても勝機は無い・・・相手は大国だしな~ぁしかも将も揃っている・・・

弱点は・・・当主とご隠居+弟+重臣との関係かな・・・

かの国の敵は・・・三好と浅井(+朝倉)と織田か。

味方は?北畠家?畠山家?、此れも不確定だな、北近江の朽木家や京極家は?気にする事ないか・・・

もし、六角家が攻め込んでくるとしたら・・・斎藤家と武田家は問題が無い(たぶん)今川家は・・・雪辱を果たしたいと思うだろうなぁー、しかし現実的には無理だと気が付いた時の今川殿の地団駄を踏む姿が想像がつくそんな事を考えながらも思考は続く。


そもそも、小一郎の構想は尾張統一後周辺国と経済的につながりを持ち尾張を戦の無い平和な国にするつもりだった。だから、美濃を取れるチャンスよりも超現実的に対応したのだ。

美濃を取っても、朝倉や浅井と小競り合いをしたり(それで済めばよいが)姉小路家とトラブルを抱えたら意味が無いからだ。だから今回の村ごと織田の傘下にと村々の申し出は"ヨソウガイデス"と言いたいのであった。しかし、賽は振られたのであった!


「みつ、弥七殿に連絡を取ってくれ」


女中のみつ(忍びです)に頼み、また一人考え込むのであった・・・





其れは水無月を迎えた頃であった。

六角氏が治める領地ではある噂が囁かれる様になる。それは「尾張の国では年貢が三公七民だって聞いたか?」とか「あの噂本当か?」すると「北伊勢の年貢も三公七民だって聞いたぞ!」と話す人もいて尾張の国の年貢が安いと囁かれる様になる。その上徴兵もされないと聞いて「羨ましいな」と語られる。

すると、六角家の家臣達はたまらない。トラブルの元だからだ。もし問題が起こり最悪死傷者が出ようものなら六角領全土で領民の反抗が起こるかもしれない。そんな事になれば対三好どころでは無い。


「やってくれる!」


この話を聞いて一人の重臣がギリギリと歯軋りをしながら、怒りに打ち震えたとか。

「やられたらやり返す倍返しだ!」と言ったとか、言わなかったとか。


その頃、織田家では対六角家の対策が考えられていた。

それは常備軍を5000人増員、六角軍が攻めて来た時の対策が練られるのである。

その情報は織田家に入り込んでいる草の者を通じて六角家に届けられると、重臣に伝えられ???が並ぶのであった。(噂は織田家の企みと疑っていたから)

そしてその噂が下火になった頃に別の噂が・・・・・・「新しいお館様と重臣方は不和だと」今度は今度で六角家の上層部には頭の痛い問題になった。





葉月に小一郎は志摩国の山の中のある場所に来ていた。

滝川殿に案内を頼み、親方と増田君も一緒にだ。


「初めまして、織田家家臣、木下小一郎です」


「九鬼嘉隆だ単刀直入に言おう、態々こんな所まで来て頂いたのだが今の我々には何の力も無い、ただの落ち武者だ。

 貴殿や、織田様の力にはなれないだろう」


強面の海賊がここまで弱気に成るのも無理もないのだが・・・・


「いやー困りましたなぁ、九鬼殿がここまで凹まされているとは・・・」


「何だと!」


即座に叫び瞬間湯沸かし器が発動!

海賊の強面に・・・

それに合わせて、滝川殿と親方にもスイッチが入る。

その横で、ビビりまくった増田君がいたのはナイショだが、一触即発の事態だ。


「九鬼殿よぅ、今の織田に凹んでいる奴はいらねぇ、これから六角に売られた喧嘩を買うんだ中途半端な奴はいらねぇ、邪魔したなぁ」


ちょいワル小一郎も発動だ。

殿の第六天魔王モードよりかわいい?から余裕がある。


「お主、本気か!」


「あぁ、滝川殿に蜂須賀殿も一緒だぜ!」


戦人の顔になっている、3人を見て“こいつら、まじか!”と思いながらも海賊九鬼家に光明が見えた気がした。


「その話乗った!」


その大きな声で、弱気な自分を奮い立たせ戦人の顔になった九鬼殿がいるのであった・・・!

その後、今後の事を少し話してから、滝川殿と九鬼殿(一族も)は一緒に尾張に。

僕達は、志摩から伊勢そして伊賀を目指す為に別れるのであった。




そして・・・・・・「何者だ!」首筋に刃が当たり言葉には殺気が。

忍びの存在に全く気付いて無かった小一郎に恐怖で声の出ない増田君。

気配に気付いていたが敢えて何もしなかった親方、戦士としての実力の差がハッキリと出た。


「織田家家臣、木下小一郎と申す、伊賀惣国一揆の代表の方とお会いしたい」


流石、伊賀の忍び!心の中では驚きで動揺しまくっているが表情に出ていない。これも殿の第六天魔王モードに慣れたからか?と思いながら返事を待っている間に屋敷までは案内してくれた。




そして、ここからは死地である。自然と身が引き締まる。


「お待たせしました。伊賀惣国一揆12家の一人、百地正永と申す」


確か上忍3家の百地家の当主だ。

物静かな雰囲気で所作仕草にスキが無い。

それに板間を歩いているのに、足音がしない・・・”化け物だ”と正直に思った。


「初めてまして、織田家家臣・木下小一郎です」

「しかし、今日は大衆食堂織田屋の代表の木下小一郎の立場でお伺いしました」


「では、木下殿はどの様なご用事で伊賀までお越しくださったのかな?」言葉は優しいが何をしに来たと疑いの目で見られている。


「はい、今日伺ったのは嵯峨天皇時代に伊賀に植えられて、献上の為に作られたお茶を分けて貰えないかと思い寄せて頂いたんです」


「は~ぁ」と流石の百地殿も予想外からのアプローチに一瞬気が緩む。

そして、先程よりもっと疑いの目で見出した。


「実は、織田屋の新商品に絶対に必要なんです!」

「帝に献上出来ない分を分けて貰えないでしょうか」


百地殿の目を見てしっかりと話す。

無表情で僕を刺すように見つめて来る。


「木下殿、この度のお話しは当家だけでは判断しかねる、その為12家での話し合いの下、判断したいと思う。如何だろうか?」


「はい、宜しくお願いします」


そして面会は終わったのである。


「親方・・・」


「うむ・・・取り敢えずは命拾いしたかな」


「やっぱり」


何の事か一つも判らず目を白黒させる増田君に説明し一服してから「すみません、お勝手を使わせてくだい!」と頼み小一郎は動き出したのである。



翌日。



「皆様初めまして、織田家家臣の木下小一郎と申す!」


「木下殿の申し出に対してお伺いしたいことがある」と皆が申して12家の代表が集まっている。

そして、代表して上忍3家による質疑応答がはじまり、大体半刻ぐらいで終わりを迎えた。


「では、木下殿の申し出をお受けするかどうか話し合いたいと思う、木下殿は別室でお待ちいただけますか」


「はい、分かりました。でもその前に・・・お願いします」


大部屋に女中さんが、お茶と織田屋の新商品を12家の代表に配って行く。


「皆さんの質問ばかりではなく、私達の意見を聞いていや食べて頂きたくご用意させて頂きました。この新商品を食べて頂いてからご相談頂きます様お願い致します」


にっこり笑いながら「毒味済みです」と伝え女中さん達が頷くのを確認してから退席をした。


「ありがとうございました。余ったら皆さんで食べてください」


と女中さん達は大喜びだ、味見をしているからだ。

しかし・・・・・・


「おかわりを持って来てくれ、お茶も一緒に!」


その言葉に恨めしそうに大部屋を見たのは秘密である。

新商品あんこ餅は好評のようだ(ニヤリ)

この時代は塩餡の時代で、甘いあんこ餅は驚いた事だろう!

しかも、砂糖を使わずにあんこを作ったのだ!米麹様々である。

そして初めてあんこ餅とお茶のハーモニーを体感すると・・・・・・・答えは自ずと決まって来るのである。

まぁ、お茶は他の地域でも献上品にする為に植えられているから、伊賀が絶対ではないが繋がりが欲しいのだ。

後は天命を待とうか?



「皆さん、お世話になりました」


「お気を付けて」と女中さん達が見送ってくれる。

「再びお会い出来るのを楽しみしています」とか「お元気で」と声を掛けてくれた。

ただし、その言葉の後に”甘味の為に“が付くのだが・・・


「どうにかなりましたね」


「生きた心地はしなかったけどな!」


そんな事を話しながら、帰国の途に着く。

(勿論、タダでは帰りません、伊勢国を廻り地形を確認しながら帰りましたよっと!)


その頃、六角領では御当主とご隠居・ご次男の不仲が噂されていた・・・




「殿、ただいま帰りました!」


「うむ、そしてどうだった?

やっぱり無理だったか?」


前のめりになりながら訪ねてきたので、「繋がりを持つ事には成功しました!」と報告すると。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


殿の驚きように・・・解せぬ!

そして、全てを報告すると。


「では、直ぐに持ってまいれ!」えっ!

「先程話した!ほれ、あんこ餅じゃ!」


「殿~むりです~ぅ!作るのに時間がかかります~」


「なんだとぉぉぉぉ」叫びながら、ヤング第六天魔王モード発動!結局それから何時間もかけて作らされるのであった・・・トホホ





「お疲れさまでした」といって親方と増田君が出ていく。

長月に入り先日歩いた伊勢志摩の地図を作っている。

どの国も地図は国家秘密で精巧なものは無い、今後の作戦の為に歩いた場所や村、城、関所などわかる範囲で書き留めていく、すると・・・「お呼びですか」と人知れず人影が、弥七殿である。

伊賀の忍び達も凄かったが、弥七殿も凄い彼が敵の忍びなら命は無いですね。はい。


「これを見て頂けますか」


伊勢志摩の地図を見せて「ほぅ」と感心されるのだ。


「弥七殿達が知っている事を書き足してもらいたいのですが、お願い出来ますか?」


「わかりました。この地図はお借りできますか」


「はい、大丈夫です。

 それと、六角家の内情はどうですか・・・」


「その件ですが・・・」と密談を始めるのであった。

因みに地図は一週間後に帰ってきて、完成した伊勢志摩の地図を見ながら戦術を組み立てていく悪い男が居たのである。





「殿、お待ちしておりました」


殿に来ていただいた、ただ予定の訪問ではなく脱走して逃げて来た様に見せかけている。

六角家の草対策だ。


「うむ、では始めてくれ!

 いや、先に言っておこうか5000人増員と謳っていたが、8000人増員しているぞ」ニヤリ


とのぉ〜助かります。


「では、ああで、こうで、そうで、いつもの様に籠城戦をして城を落として行けると思います。

 ただし、条件があります」


「条件とは?」


「六角家に波風が立つ事です!」


「・・・・・・立たなかったら?」


「・・・・・・立たせるだけです!」ニヤリ


「         」


ダーク小一郎を見て言葉が出ない殿であった。





つづく。




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