表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/47

1550年

楽しんでいただけたら幸いです。

ガサゴソ・ガサゴソ明け方に枕元でいったい何をして居るんだと目を覚ます。


「あにじゃ?」


小竹(こちく)、元気でな」


眠気眼で見つめる僕に、こちらを見ないで猿に似た兄者が荷物を抱えて家を出ていった。

原因は昨日の、おとうとの大喧嘩だ。

兄者とおとう(異父)は最後まで気が合わなかったのだ。

普通の兄弟なら兄者の家出を止めたはずだが、兄者が家を出るのは(歴史的にも)決まっているから何も言わずに見送った。

そして、僕は兄からの解放と言う自由を手に入れた。

「フフフ」と布団なのかで笑いが漏れる。これで色々な事が出来るからだ。

これから、衣食住の改善に勤めて猿回(あにのせわ)しをしないで済む様に頑張れる土壌が出来たと喜ぶ僕がいた。

ちなみに、おかあにはバレバレで拳骨(げんこつ)と一緒にお握りといろんな物を渡されて涙ながらに家を出て行ったそうだ。

兄者が出て行った木下家は、現在は父母と僕、妹の4人家族での新しい生活が始まった。



この時、10才の僕!小一郎は衣食住の充実の為に、前世の知識(某農業アイドルのTVなど)を活かして動き出したのである。

何故、今かって?それは明るい未来の為に(それは兄者にパクられる事を防ぐためだった)


「おとう、この瓶貰っていいか?」

「それと、今度(今は長月)から小さい田んぼでお米を育てて見たい」


「おっ、どうした小竹」

「瓶は好きに使え、田んぼはなぁ・・・?」


考え込むおとうに、おかあが・・・


「やってみるか?」


「うん、ありがとう」


おとうはおかあを見て「おい」と言いたそうだが、そこは母親の貫禄で押し切った「頑張るんだよ」と優しい笑顔で背中を押してくれたのであった。

そして、善は急げで早速行動に移す。

手始めに、落ち葉を使っての肥料づくりだ。

某農業アイドルのTVを参考に葉っぱを集めて肥料づくりにかかる。


「ふぅ」


頑張って葉っぱを集めるも、10才の体では沢山集めるのも一苦労だったが、思わぬ幸運に恵まれる。


耳元で"ブゥゥゥン"と音がして首をひねるも、ハチはお構いなしに飛んでいく。

(あれって、ミツバチ?)

集めていた、落ち葉をほっといてハチの後を付けていくが・・・見失い再び探して発見そして、また見失う。

しかし、諦めずに探していると、ミツバチの巣を見つける事が出来た。

"よっしゃー!これで春から養蜂ができる"

ひとりで吠えているおかしな子供がそこには居た。

前世で養蜂を趣味でしてみたいと思い色々調べて見たら、都道府県に登録してうんたらかんたらで諦めた事があるが、この時代には登録の必要も無ければ養蜂の技術は無い。

確か養蜂の始まりは江戸時代だったと思うので、成功したら一人勝ち状態になるし、この時代のハチミツの扱いは薬だったと思う(全てがうろ覚え)ので買い取って貰えれば現金収入が見込める。

すると全てが良い方向に進む様な気がしてきたのであった。


翌日には、準備をしてハチミツを取りに行くが、全ては取らない。

ミツバチの為に、そして僕の為に三分の一は残すつもりである。

おかあから鍬を借り、ハチは黒い物を攻撃すると前世の某国営放送から得た知識を基にダミー小竹君(少し平たい木の棒にすすを付けた物)を用意それに、手ぬぐいで頭、顔を出来る限り守り掘り出しにかかった。

あっ、勿論火を起こして白い煙を浴びながら(ケホケホ言いながら)一刻ぐらいかかり採取完了!大きなミツバチの巣を三つ取る事が出来たが採取で疲れ切ってヒイヒイ言いながら家まで帰っていくのであった。

次の日は朝から大忙しだ。

おとう達は、「まぁがんばれ」と言って畑へ...

僕は、すり棒とザルとハチミツを入れるツボを用意してお湯を沸かして煮沸殺菌をし乾かす。

その間に、巣に付いている花粉と幼虫を取り除き準備完了だ。

ツボの上にザルを乗せ、ザルの中にハチミツの巣を入れたら作業開始、ひたすら巣を潰して行く。

ザクザクザク、ザクザクザクとひたすら潰してミツ濾しが終わる、ただ初めての事ばかりで無駄に時間を取りその上、子供の体では1日仕事になり後片付けが出来ずにおかあに叱られるのであった。トホホ




「いってきます!」


朝早く出発する目的地は津島で距離は4から5里ぐらいだ。

昨日のハチミツを売りに行くのだが、買い取ってくれるか?は解らない。

因みに、ハチミツは二升半とれて、半升をおかあに渡してある(買収済みだ)

勝手をしているからね。


“ありがとうございます“道を聞きながら歩いて行き、お昼前に津島に着く事ができたのだが...


町中をキョロキョロしながら。


「どうしよう」


お店がありすぎて困り果てていると。


「おい、そこのガキ」


声を掛けられたのに気付かない。


「そこのガキ!」


キツイ言葉に振り向くと。、織田木瓜を背負った若武士が目を吊り上げて立っている。

ギロリと睨みながら...


「そこのガキ、何をキョロキョロしている、迷ったか?」


少し甲高い声で、少しだけ怒気が含まれているが親切で声を掛けてくれたのだろう。


「えっと、迷ったかとでは無くて解らないんです」


「何がだ」


「物を買い取って貰える、お店が・・・」


困った顔で答える。


「そうか」そう言って考え込むと、お付きの武士に耳打ちをして走らしたあとに。


「ガキ、わしが紹介してやろう付いて来い!」


こっちの話を聞かずに、勝手に歩き出す。


「お武家様、僕はガキですが木下小竹と言います

ガキ呼ばわりは、こらえて下さい」


「若様に向かって」とお付きの武士が言い出したが「よいよい子供の事だ」と嗜めてくれる。


「では小竹、お主は何を売りに来たのか教えてくれるか!」


興味深々に聞いてくる、断れる雰囲気では無い。

仕方が無い「お耳を」と言って耳元でゴニョゴニョと伝えると。


「なにぃぃぃぃ!」


「失敗した、先に聞いて居れば、直接買った物をと」一人小声でぶつぶつ言っているとお店に到着する。


「ここだ、行くぞ」


若武士を先頭にお店に入ると、店主一同がお出迎えだった。



「若様、今日はどの様な御用件で」


奥の部屋に一緒に通されて僕は目をシロクロさせていた。

なぜ?って、余りにも豪華で身の置き所が無かったからである。

流石、津島の商家の部屋であった。


「この者が、道に迷っていてな此処まで案内してきたんだ」

「それをすべて買い上げる、家に持って来てくれ」


「えっ」と商品を見る前に購入先が決まるのに店主は一瞬驚いたが、直ぐに平静に戻ったら。


「それでは商品を」


「小竹、ほら」


「はい、よろしくお願いします」


「では、失礼して」とツボを受け取り中身の確認をした途端☆キラと目元が光る。


パンパンと店主が手を叩くと、柄杓とお皿が用意されて品物の確認に入る。

鋭い目でハチミツを見ている、色合い、不純物、匂い。

部屋は緊張感に支配されていた。


「良い物ですな、不純物も無い是非買い取らせて頂きたい」


「よろしくお願いします」


頭を下げる僕、にっこり笑う若武士。


「若様、味見されますか?」


店主の毒味の後、若武士が味見をして。


「甘い!」


にっこりとした目元がさらに垂れていた。

「では、後は頼んだぞ」そう言って若武士は僕を置いて帰った行った。


その後に教えてもらったのだが、若武士は織田信長様で織田家の跡取りで若様がこんなサービスをする事は滅多にない事も教えてもらった。

因みに、ハチミツは3貫文で買い取って貰える。

(困った確か、おとうの年収の倍だ!)と一人で悶絶する。

そして、もう一つの問題に...


「しまった。持って帰れない」


お金を丸見えで持って帰れない。

店主さんに相談して、壺を分けてもらい持って帰る事が出来た。

そして、ここでも出会いが・・・


カラカラ

カラカラ

風にあおられて何かが落ちる音が...


「あれは...へちま?」


「いえ、あれは糸瓜です」

「種を頂いて観賞用に植えてみたのですが・・・」


会話の歯切れが悪い。

日除けにしかならなかったとの事。

しかし物を見て僕の目がきらりと光ったのを、店主さんは見逃さなかった。


「あの種を(こうにゅう)く事は可能でしょうか?」


「是非、ご入用の分お持ち帰りください。お代は結構です」

「ただし、次回も私共にお願いしますね」とにっこり。


「ふふふ」と二人が笑う。

そう、二人がwinwinの関係になった瞬間であった。





あれからは早くも半年がたって、家の手伝いと落ち葉での肥料作りに蜜蝋づくりにミツバチの巣(重箱式)作りにと試行錯誤しながらなんとか、弥生月に間に合った。

"これからが勝負だ"分蜂の時期に何とか間に合ったので蜜蝋を塗り必勝体制を敷く。勿論この前の場所には忘れずに設置した。

設置したのは10個で後は入居待ちであるが、ミツバチの分蜂群を見つけられたらラッキーだろう。

人事を尽くして天命を待ち、家の手伝いをしていると...


「あれは?」


畑へ通う道端の林に見慣れない何かが、蠢いている。

“もしや“と駆け出し確認だ・・・ラッキー分蜂群だ!!!


「おとう、おかあ、用事ができた」


そう言って急いで家に帰るのだった。




そして結果から言おう「女王蜂ゲットだぜ!」そして未入居の巣箱を斡旋して、入居して頂けました!今から、秋が楽しみです。

それとは別に新居に2組の女王蜂にご入居頂き、養蜂初心者のスタートにしては大成功だった。

ここからの養蜂はひたすら見守るのであった。


女王蜂にご入居頂いた後は、「おりゃぁぁぁぁ」と声を張り上げながら田畑の鳥達を追い払っています。なぜって?それはお米の裏作の小麦によって来る鳥達を追い払っています。裏作大切だよねぇ〜!それと家の手伝いをしながら収穫の時期を待つ。

しかし、此処にも問題が!小麦を挽く石臼が無いんです!

中村の村人宅でも見ないので、まだ存在していないと思われる。

“だったら作ろう!”某アイドルグループも作っていたしね!

ただし、来年の収穫迄にwww

(多くの事をしすぎて、どれも中途半端にしない為)





それは、ハチミツの納品に織田家に訪れた時の話だ。


「若様、先日の商品の納品に参りました」


「うむ、ご苦労!」

「代金はいつもの様にな」


「はい、かしこまりました」


「所でだ、先日のガキ...「小竹殿ですな」そうそう面白そうな小僧であったが、其方はどう思った」


「そうですなぁ......商売の種になりそうな...そんな所でしょうか」


少し考え込んでから答えている。


「そうか...」

「・・・中村の木下小竹か」


ニヤリと笑いながら、新しいおもちゃを見つけた子供の様な笑顔であった。

また、“お可愛そうに”と顔に書いてある商家のご主人がそこにはいたのは秘密であった・・・





つづく



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ