異世界転生した件。
はじめて書く小説なので、多目にみてください。
「――か。―殿下。クリスタル殿下!」
誰かに呼ばれて、ハッと目が覚めた。
辺りを見回してみる。凄く豪華で、広い部屋だ。
―――いや。どこだよ。ここ。
「殿下?どうなさいました?」
俺がキョロキョロしているのが不思議なのか、誰かが話しかけてくる。
―――いや、誰か、じゃない。彼女は、俺の侍女だ。
よくわからないけど、とりあえず。
「いや。なんでもないよ。」
俺は大丈夫だよ、と。なるべく自然に、微笑むことができた、ような気がする。
◇◇
あれから侍女には、一人にしてほしい、と退がってもらった。
情報の整理がしたかったからだ。
まず、ここはどこだ。
俺はこんなところ知らないぞ。えらく豪奢な部屋から察するに、お偉いさんが住んでいそうな場所だ。
次に、あの侍女。
いや、どなたですか。多分こんなこと言ったら傷つくだろうから、触れなかったけども。
そして、俺自身。
先程部屋にあった鏡を見て、驚いた。
最初に浮かび上がった言葉。
誰だこいつ。
鏡には、金髪で青い瞳の、整った顔立ちの、幼児が写っていた。間抜けな顔で。
―――うん、まあ。少し取り乱したけれど。
この豪奢な部屋、敬語を使われる幼児。どうもその幼児は俺らしく。思い至った結論は。
これって、今はやりの、異世界転生ってヤツではなかろうか、というもの。
まず、異世界と断定した理由。俺の記憶だ。
俺はどうやらこの国の王子様らしい。しかも、この世界、魔法なるものが存在するらしい。
思わず、キタ━(゜∀゜)━!と、叫んでしまった(小声で)のは、仕方ないと思う。
おっと、話が脱線してしまった。
とりあえず、俺は。魔法が存在する世界の、アルステラ王国、という国の。
―――第二王子、クリスタル・アルステラ、という名の幼児。である、らしい。
ん?まてよ。
この名前、どこかで―――。
思い、出した。思い出して、しまった。
国の名前。俺の名前。他にも、当てはまることがある。ありすぎる。
俺の前世に、この世界に関する、思い当たるモノがある。
となると、ここは。この世界は。
―――乙女ゲームの世界。という設定がなされた悪役令嬢モノの小説の世界、ということ、か?
いや、ちょっとまってほしい。そんな、転生しただけでもお腹いっぱいなのに。
ここが、小説の世界、だって?信じられない。でも、思い当たるものが多すぎる。
話は、少し変わるが。
俺は、極々平凡な、人間だった。日本という国に、平和な時代に生まれた人間で、普通極まりない中企業の、普通のサラリーマンとして。生きてきて。なのに。
俺は、趣味で所謂オタクなる者だった。この世界によく似た小説だって読んだことあるけど。でもまさか、こんな非現実的なことが起こるなんて。
―――いや、嬉しいけど。だってオタクだし。
まぁ、でも。
ここにいる、ということは。
俺は、いつの間にか死んでしまった、ということだろうけど。
どんな風に死んだ、とかは覚えてない。
逆に良かったかもしれない。死の記憶があるとか、ちょっと怖いし。想像したくない。
―――と、とりあえず。第二王子は。
乙女ゲームの攻略対象者という肩書きを持った、悪役令嬢モノの登場人物で。
問題、なのは。
俺が、悪役(?)であるということ。
よくあるざまぁものの、大勢の前で婚約破棄を堂々と宣言する、マジキチ。
婚約の背景も、王子の発言力も、婚約者の素晴らしさも知らない阿呆。
お馬鹿王子。ダメ王子。
それが、俺の役割である、ということ。大問題。
しかも、断罪()後の、俺の扱いがヤバイ。
王族の名を剥奪され。国外追放され。そして、国境辺りで盗賊に殺される。適当か。
いや、いやいやいや。
ッ死活問題じゃねえか!!!!!