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1004年12月17日 メルケル
「それでノコノコ帰ってきたのかよ!!
コビは!!!どうなる!!!!」
バキィ!!!
一夜明け防御線から戻ったトニから一部始終を聞いたジャンは、激高しトニを殴った。
バキィ!!!
トニもすかさず殴り返す。
「僕だって・・・好きで見捨てたわけじゃない!!
相手は並じゃなかった!!!
メルケルを守るためだ!!!!」
ちぎれよとばかり歯を食いしばる。
歯の隙間から、血があふれる。
「畜生・・・・」
ジャンもトニも、泣きそうな顔でその場にへたり込む。
周りの人間も、かける言葉が見つからない。
空気が澱む。重い。
息が苦しい。
もう、どうにもならない。
せめて生きていてくれと、願うばかりだった。