11月4日 深夜 ビルト城下町 診療所
「なんてこと・・・」
ビルトの城下町。
とっくに診療時間が終わっているにも関わらず診療所に突然訪れた黒い肌の男―ダリからの報告を受けて、ミーナ・メイダスは絶句した。
「間違いないの?リーヤだったの?」
「ああ・・・顔ははっきりと見た・・・
死体は見ていないけど・・・」
「・・・」
ミーナが顔を覆う。
目を真っ赤にしたダリが、興奮気味に語る。
「浅はかだったよ。やっぱり戦争は戦争だ。
敵同士になれば友達とだって殺しあわなきゃならない。
オルドナと戦う事をわかってたんだから、オレは多分あんたの依頼を受けちゃいけなかったんだろうな。
そうすればあいつと顔見知りになる事も無かったのかも・・・。」
ミーナは両手を顔を覆う。
「・・・ごめんなさい。私のせいね。
あなたの事を、敵方・・・少なくともオルドナの人間でないことを解ってて、それでも利用した。
リーヤたちに聞かれても、あなたの事はただの旅人だってずっとごまかしてきたわ。」
「あんたに罪は・・・いや、わからないな。
もう、なにもわからない・・・・
あいつらにも合わせる顔がない・・・
チャイとジョバはどうしてる?元気なのか?」
「・・・
ジョバは元気よ。相変わらずここで毎日働いてるわ。
・・・チャイは、しばらく軍務を休んでるの。
体調を崩して・・・・」
ミーナが一瞬言葉に詰まったのを、ダリは敏感に感じ取った。
前のめりになって質問する。
「体調?病気か?」
「病気ではないの。ただ・・・」
「はっきり言ってくれ。なんなんだ?」
「・・・おなかに、子供が居るの。」
ミーナの声が震える。
「おい・・・めでたい事じゃないか・・・
なのになんでそんな顔・・・・」
そこまで言ってダリは黙った。
そして、殆ど放心状態で、頭に浮かんでしまった最悪の推測を口にする。
「父親は・・・・リーヤなのか・・・・」
ミーナは、こくりと頷いた。





