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お小言


「いいですか、貴方は特色なのですよ? 特色と言えば人種や亜人種を問わず、単騎の強さであれば並ぶもの無しとされるほどの猛者達…戦いを生業にする者のみならず民衆からは英雄視され、貴族からの信頼も厚く、過去には王族に婿入りした例もあるとか」


「はい…」


「私だって公爵である前に男です。子供の頃には剣1本で何処まで強くなれるのかと妄想したことも多々あります。もちろん嗜み程度に学ぶうちに自分の限界は思い知らされましたがね…っと話が逸れましたが簡単に言いますと、注目の的ということです。世界に10人と居ない特色が増えた知らせは即座に広まりました…まぁ、あのプライドの高い『金』が自らあちこちで喋っていましたからね。『僕に匹敵する程の剣士が北の田舎に眠っていた。是非とも次は全力で立ち会ってみたい』などと吹聴されれば広まるのも早いものです」


 あの野郎…負けた腹いせか知らんが逃げ道を絶ったつもりか、それとも私を持ちあげる事で自分の傷を少なくするつもりか。

 どちらにせよ次はコテンパンに…じゃない。

 対立するよりは和解した方が―――ってそもそも喧嘩状態なのかも分らんしとりあえず保留。


「つまりはですね、大陸広しと言えども余程の秘境でもない限りアダム様の名と外見は広まっていると見て良いでしょう」


「それほどですか…」


「それほどです。私の情報網を使うまでも無く既に王国内では既に知らぬものは居ないレベルです。そしてここからが肝心です」


「…はい」


「大陸の北端にあるオースにいる新たな特色冒険者アダムが当公爵家を訪れていた…これだけなら特段不審な点はありません。ですが拠点をオースから移した訳でも無いのに頻繁に王都に現れるアダム様…これでいかがですか?」


「んー…コーウェルさんの所に入り浸り過ぎということですか?」


「…もう少し砕きましょうか…。オースから王都まではどれだけ早馬を飛ばしても1週間程度かかります。馬を潰しながら、昼夜を問わずに走りながらでも…です。これでお分かりですか?」


「ああ、なるほど!」


 管理者の力に慣れて失念していたが通話できる魔道具はあれども移動、特に転移に関しては失われたものであるとか言ってたな。


「ご理解いただけたようで…私に限らず大小、上位下位問わずに権力者は独自の情報網を持っています。当家に帰属する衛士も身元調査から制約まで取付けて情報が漏れる事には細心の注意を払っていますが……世の中には力ずく、抜け道…いくらでも情報を集める手段があります」


「…拷問とかですかね」


「非常に分かり易い手ですね。その程度であれば可愛い物です」


 拷問が可愛いレベルってちょっと引く。


「一番難しく、厄介なのは洗脳系の手段に出られた場合です」


「…ほう?」


「例えばですが、『当家で知り得た情報は外部に漏らさない』と制約します。ですが洗脳、催眠、魅了…精神に干渉する手段は数ありますがそれは一先ず置いておきます。外部の人を内部と認識させられたら…どうでしょう?」


「制約に抵触せず情報を抜き取れる…」


「そうです。その程度はこちら、恐らく抜き取らん側も想定済みなので情報の出所はかなり厳重に隠しておりますがね」


 魔法の華と言えば攻撃、次いで防御や補助といった戦闘に関する部分が目立つ。

 洗脳、魅了…この辺りは力isパワーな脳筋プレイしかしていなかった昔の私には手を出さなかった部類でもある。


「では私が転…アレを使っているという話も既に?」


「確証はありませんが疑問は広まっている可能性はありますね。私に入った噂では『王都にアダムのそっくりさん説』や『アダム双子説』、『模倣説』など…あの技術自体が失われていますので真相にたどり着く事発想自体があり得ないと思いますが」


「…分かりました。今後はもう少し気を付けて来ます」


「そうして頂けると指摘した甲斐があります…」


 どうやらかなりの覚悟で私に意見したらしい。

 額に滲む汗と何事も無く終わったことからの開放感が感じられる。


「コーウェルさん、今回の件に限らず私に対しての意見はいくらでも仰って下さい。以前も申し上げたかもしれませんが私は良くも悪くもこの世界に関しての知識は未だ乏しい…特に貴族や王族などの事は学ぶ師すらおりません。これからも是非私に色々と師事して頂きたい」


 これは率直な、心からの想いでもある。

 現代であれば学ぶすべは本でも先人でもネットでも、意欲さえあればなんとかなる。

 こちらでも本はあるだろうがこそこそと隠ぺいや無音等で隠れながら読むというのは精神的にクる。

 それに仕事をこなすという意味では相談できる相手がいれば効率は倍にも、結果はそれ以上になるものだ。


「いやはや、私がアダム様の師ですか…何とも恐れ多いですな」


「では仕事…としてなら如何です? 報酬は私が出せる物に限定されますがね」


「……………いえ、アダム様からはこれ以上頂けばそれこそ当家が稼ぎ過ぎてしまいます。国のバランスを崩しかねず、下手をすれば…先ほどの奴らにも関係性を疑われかねません。当家としてもあそことだけは敵対したくありませんので」


「そうですか…」


「ご心配なく、師事というのは少々大げさですが今まで通り私がご教授できる事はお教え致します。アダム様のお陰で国さえ無くならなければ次代…メリーベルには苦労を掛けずに済みそうですから」


 そう話すコーウェルさんの顔は実に父親らしい逞しさと自愛を兼ね備えたような顔だった。

 …親父のこんな顔はついぞ見た事なかったなぁ…







― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 






 コーウェルさんのお宅を後にした私はギモンさんの元へ向かった。

 流石に察してくれているとは思うが全てマルダに丸投げというのも流石にちょっと怖い所もあったしな。

 そしてギルドの扉を潜ると私を見つけた受付嬢が早々に裏へ使いを出した。

 その対応の速さたるや…嫌な予感しかしない。

 カツカツと奥からやや急ぎ気味な足音が響いてくる。

 奥まった裏側へのドアから現れたギモンさんはこれ以上の無いほど笑顔…だがこめかみに青筋が若干見えるのは気のせいか。


「アダムさん!! 今すぐ! 支部長室へお越しください!!」


「アッハイ!」


 僕知ってるよ。

 こーゆー時は流れに身を任せるんだ。


「流石ギルマスだよ…相手が特色だろうと容赦ねぇな」

「笑顔なのに背筋に寒気を感じる」

「俺ぁ知ってるぞ、あの状態のギルマスは大体切れてる時だ」

「…そういや長年いるけどギルマスの切れた場面なんざ見た事ねぇな」


 ガヤの皆さん解説ご苦労様…怒られるというかお小言は予想の範疇さ。






「ガミガミガミ!ガミガミガミ!おまけにもう一つガミガミガミ!!」


 長いので要約すると、

 1つ、予想外の事態発生の場合には不測の事態に備えて1人は連絡役として走らせて欲しい。

 2つ、特別指定モンスター…この場合はガルムの事だが、これを発見した場合は何よりも即ギルドへ連絡。

 手遅れになる前に対策を講じるそうで…。

 今回は例外とも言える私が居た事、既に退治済みであることから公けにするつもりは無いが事後でもいいので直接の報告を念押ししてお願い(強制)された。

 3つ、同じく捕虜にした野盗らに対する処置も相談してほしかったそうな。

 曰く「冒険者は衛士ではありません。裁くのは国です。まぁ、情報漏洩を封じた事は私としても助かりますが」とのこと。

 今の私の立場はあくまでも冒険者としてのアダムだ。

 救済者ではない。

 少しTPOを弁えて活動せねばと気を引き締めたのだった。


しかし、いくつになっても自分のせい、もしくは為と思っても怒られるという行為には慣れないなぁ…。


やばいやばい、投稿間隔がやばい。


あと地理関係整理してないのもちょっとやb(ry

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