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付き添い その2

 前回のおさらい!

 フルー、レッタ、イロエが仲間になったよ!

 テレレレッテッテッテ~♪

 みんなでゴブリン退治だよ!

 …これレベルアップの音楽だな。



 ってことでカマクラで寒さを凌ぎつつ夜…ゴブリンが現れる時間を待つ。

 向こうは多少夜目が効くとはいえ掘り返された地点からは遠く、多少大きな雪山程度にしか見えないから大丈夫だろう。


「ほわぁ…オースからほど近いとはいえ野営先であったかいお鍋とは…アダム様、様様っすねー」


「本当にそうですね…芯から温まるようなお味で……あ、イロエ! あんた野菜も取りなさい!」


「フルー…言っても無駄だって」


「分かってても言わなきゃいけないでしょう、唯でさえアダム様のご厚意に甘えているんだから…!」


「あ゛~お出汁が染みるぅ~」


「まぁまぁ気にせず食べてくれ。だが食べ過ぎには注意してくれよ、それと声はもう少し抑え気味にな」


「「「はーい」」」


 三者三様であるが賑やかな食卓がは楽しい。

 会話もごうごうと吹く寒風に遮られ聞こえるはずもないがゴブリンに聞かれる可能性がゼロではない…がまだマップには影も無いから安心して食べられる。

 うん、白菜美味しい。

 だが、そんな団らんも長くは続かない。

 まだ他の4人は気づいていないが私は気づいてしまった。

 マップの端部に点が1つ、2つと出てきていることに。

 まだ締めの雑炊を作ってないのに!!


「…お客さんが来たようだ」


 その一言に和気藹々とした空気が一瞬にして張り詰める。

 たかがゴブリン、されどゴブリン…私の一言がその開始の合図であることを察し、命のやり取りの空気がカマクラの中を満たす。


「…何も聞こえませんが…?」


 外の音に耳を傾けるフルーとレッタ。

 しかし、吹雪く音しか聞こえないのは当たり前だ。


「音を頼りにしている訳じゃない。いろいろと内緒の技が沢山あるんだ」


「すげー…アダム様ぱねぇ…」


「さっそくバリバリしにいくの?」


「少し待ちなさい…アダム様、数は分かりますか?」


 目を閉じ、集中するフリをして見えているマップに意識を向ける。

 円形のマップの端にあった点が少しずつ、数を増しながら迫ってきている。

 数は5匹で進行速度は徒歩より少し遅い程度だろうか。


「5匹だな…見立てよりも少ないが…」


「私の見立てが甘かったようです。申し訳ございません」


「いや、攻めている訳ではない。最初は10匹だったかもしれないし、今回は訳あって少ないという事もある。単純な独り言が漏れ出たに過ぎない」


「そう…ですか、では少ないという事は伏兵の可能性もありますね…全力で対処致します!」


 仕事で上司と部下という関係は…部下はいなかったがある程度分かっている。

 フルーの満面の笑みを見るにこれは尊敬を越えた崇拝か何かだ。

 マルダと違って加減が掴めないせいか遣りにくさを感じるが、もうちょっとフレンドリーな方が私も肩ひじ張らずに楽になるんだが、それは今後の課題に置いておこう。

 今後の課題がいっぱいある事は触れないで欲しい…。






― ― ― ― ― ― ― ― ― 






 目線の先にはマップの通り5匹のゴブリンが雪を掘り、野菜を探しているようだった。

 それを遠巻きに、かつ囲むようにフルー、レッタ、イロエ…更に後方に私とマルダがいる。

 全員雪と闇に紛れるように白のマントを羽織り地に伏せている。

 マルダには少々遠すぎる事と暗過ぎる事から見えてはいないだろうが私にははっきりと見える。


「ゴブリンの身なりは酷い物だが…」


「この暗闇じゃアタシには見えないですが、むしろ綺麗なゴブリンが居たら会ってみたいっすね」


 私は暗視に遠目とスキルを重ねているから見えるがその辺を持っていないマルダには無理な話だろう。

 視界内のゴブリンはぼろ布で股間を隠す程度の装いにやせ細った体躯…元々小柄ではあるがそれでも骨と皮と形容できるくらいにガリガリに見える。

 それと籠を背負い、掘った野菜を持ち帰る算段だろうか?

 籠役が2匹と掘り起こしが3匹…妙に連携が取れているが、奴らの知能はこのぐらいなのか?

 籠を使う知能はあるのに鍬や桑みたいなのは使えないのだろうか…


「マルダ、ゴブリンはどの程度道具を扱える知能を持っている?」


「えーと…小難しいことは分からないっすけど経験則でなら、簡易的な武器を使うくらいにはあると思います。統率する奴がいればもっと高度で罠とか防具とか…」


 確定では無いが重要な情報の断片を見つけた気がする。

 即座に念話で待機している3人に声を掛けた。

 念話をしなければ今にも魔法を発動しようとしていたからな。


『3人とも動くな。絶対に目の前のゴブリンに手を出すなよ』


 突然の念話への驚きよりもフルーの「何故!?」と問いかける視線が痛かった。

 自分たちを辱めた当人ではないにしろ、同種族でこれから人を襲わないとも限らないモンスター…気持ちは分からないでもない。

 むしろ屈辱を知る分だけその憎しみの深さを「分かる」と言ってしまうのは傲慢だな。

 「ちょっと説明するから集まって」と話し、マルダには監視と移動したら追跡を任せた。






「アダム様、何故お止めになったのでしょう?」


 声こそ荒げてはいないが納得できない、承服し兼ねるといった態度が表れている。

 他の2人は慣れたものなのかフルーをどうどう…と宥めている。

 それにしてもゴブリンを前にすると崇拝=憎悪が同じレベルとは…ちょっと注意しなければ暴走しかねないな。


「君たちはゴブリンに関しては私より余程専門家だろう。さっきの5匹のゴブリンおかしいとは感じなかったか?」


「…はぐれにしては知能が少々、ほんの少し高めだなとは感じましたがそれ以外には特に…」


「私はそこが気に掛かったんだ。それと頭数の読み違えも加えてな」


「………はぐれとは言っても率いている奴がいると?」


「可能性は否定できないだろう? それに籠を持っているという事は?」


「……どこかに住処があり、持ち帰る為…でしょうか」


 冷静に誘導してやれば私の意図も読み解ける。

 怒りで頭が働かないなら少しだけ時間を与えれば後はどうとでもなるものだ。


「持っていかれる野菜も農家にとっては大切だが、残党の残党を生み出して今後も被害を継続させる方が損失が大きいし、何より信頼を失う方が痛い」


「軽率な判断、お許しください…」


「だから責めている訳じゃないって…止めたのは私だし、それにまだ失敗した訳でも無い」


『アダム様~? 聞こえますか?』


「お、マルダから念話だ。少し待ってくれ」


 そう一言いうと念話に集中する。

 フルーは軽く一礼するとレッタ、イロエと何か相談しているようだ。


『聞こえているぞ。成果は?』


『上々…と言いたいとこっすけど、ちょい予想外ですね』


 予想外…この言葉は良い意味で使われることもあるが9割がた悪い方向に使われる。

 ちょっと深呼吸して次の句を口に…念話なので口にするは無いか。


『何が予想外だ? 追跡した先にゴブリン以外でもいたか?』


『……知ってたんすか?』


『いや…当てずっぽうだったんだが』


『はぁ~……えっと、ゴブリンを始めとしてオークにトロル、狼型が数匹と…野盗っぽいのが確認できただけで4人です』


 ほらー!

 『問題無い』フラグ立てるからぁ!!


ちょっとまとまった時間が取れず小出しな感じで…

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