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2日目の仕事と実験 その2

一部にエロやグロ、個人の主義主張があります。

ご注意下さい。

エログロ、キツイと思われる描写がありますので行を下げて記載します。


























『転移』したのは先は真っ暗な…所々に松明が置かれている洞窟のような場所だった。


うめき声のような声が聞こえるが松明が少なすぎて良く見えない。


『暗視』を発動した。





正直、見なければ良かった…と本気で思った。


自分の周りに広がるのは死体と緑色の体長が1メートル程の小人、緑の表皮とほとんどない頭髪を除けばまるで小人間だ。


この世界のゴブリンだろう…それらに凌辱される複数の女性。


うめき声の正体は犯されている女性達の声。


ゴブリンたちの住処…そしてここは奴らにとっての遊技場、女性達にとっては忌むべき拷問部屋。


ゲームマスターの能力故か、状況を事細かに把握出来てしまう。


死体となっているのはほとんどが女性だ。


どれも傷だらけ…酷い物は腕や足など何れかが欠損し、まともな状態のものが1つも無い。


挙句には頭部や腕…胴体など人間『だった』ものでオブジェまで作っている。


まだ作られて間もないと思われる血が垂れているもの、腐敗が進んで頭蓋が見えている頭、


遊んで遊んで壊しながら遊んで…壊して捨てたのが目に見える。


今生き残っている女性は4人、遊んでいる・休憩しているゴブリン合わせて15匹。


もう幾らゲームとはいえ胸糞の悪いものを見せられて我慢出来るほど聖人ではない、1匹たりとも生きて返すものか。


怒りに任せ神刀を抜き放ち一番近くで女性に自分の一物を咥えさせていた奴の首を飛ばす。


数秒遅れて緑色の血が噴き出す。


攻撃を行ったことで『透明化』『非接触』『消音』が解除され鎧武者の姿現れた。


まだ周りの奴は犯すことに夢中か、談笑でもしているのか、気づいていない。


次の獲物をしとめるべく駆けだす――跳ぶと言ったほうが正しいだろうか。


第3者からすれば消えたと同時にゴブリンが死んでいるというような見た目だろう。


10メートル程の移動に1秒かからず、一物を突っ込んでいた奴を背後から脇差で頭部を一刺し、ビクンビクンと痙攣しながらも腰を振っている。


本差で頭を一突きした奴と馬乗りになっていた奴を一薙ぎにし、2体を4個に分割した。


流石に何か起きていると気付いたゴブリンが声を上げ始めるが、許すつもりは毛頭ない。


一駆け、一刺し。


一跳び、一薙ぎ。


一刀、一殺。


ギッ…ギャッ…そういった叫び声を上げるたびに1匹ずつ数を減らしていくゴブリン達。


最後に残った1匹は訳も分からず逃げ出そうとし、出口と思われる部分に向けて駆けだしたがもちろん逃がすはずもなく、駆け、速度を付け裏拳で殴り飛ばす。


過剰なステータスのせいか殴った頭だけが壁まで飛びシミを作る。


残った体は数歩先で倒れた。


ゴブリンの殺戮が行われている間、女性たちは動いていない。


一番近場にいた――冒険者と思われる女に声をかけた。


「娘よ、生きているなら我が問いに答えよ。」


「…こ…して……ころ…して…」


「…死にたいのか」


「こ…ろ…して…」


壊れたオルゴールのように、同じ言葉だけを繰り返している。


ゴブリンに慰み者にされていたせいで心を壊してしまったのか。


確かに"状態:心神耗弱"だが、これではハードな世界感というレベルではない。


あまりに『リアル』すぎる。


そもそもAIが死を選ぶということが起こり得るのか?


死にたいほどの苦痛、死んだほうがマシなんてことは現実に『人間』には起こり得る。


いじめ、失恋、挫折、喪失、失望、悲観…人によりけりだろうがいろいろな理由により死を選ぶ人は存在する。


性犯罪の被害者になりその結果、死を選ぶ人もまた同様だ。


自殺は『正しいか』と問われれば正直に言って答えられない。


なら目の前で「殺して」と求める人を殺すのは『正しい』事なのか。


現実ならば『正しくない』、いくら求められたからといって人を殺めることは法に触れる。


しかし、ここは『ゲーム』だ。


いくらリアルでもゲームの世界であり、自分の『正しい』ようにして良い世界だ。


ならば、私の選択は――――ガァン!



大きな音が部屋に響き、扉――といっても板を立てかけただけらしいが…それが吹っ飛びガランガランと転がっていく。


先ほどまでのゴブリンが標準とするなら、それの2倍程度の大きさのゴブリンが入ってきた。


遊びに来たのか、はたまた戻ってこない部下を連れに来たのか。


ずいぶんでかいやつだな、後ろから数匹のゴブリンも出てきた。



種族:ゴブリンリーダー

階級:ノーマル

性別:オス

レベル:18

状態:健康



念のため確認してみたがモンスターは情報は表示が若干違うらしい。


「ニ゛、ニ゛ンゲン!?ナガマゴロジダ!!」


モンスターでも知能が高いと言葉を解するし、状況ぐらいは把握できるようだ。


後ろの取り巻きっぽいやつらはギャッギャッと喚くだけだ。


「私は今非常に気が立っている。邪魔するな。」


「ヲ゛マエ゛ゴロズ!」


ドスドスドス、と若干の地響きを鳴らし棍棒を振り上げながら向かって来る。





…遅い。


たどり着くまで10秒は掛からずといったところだろうが、果てしなく長く感じる。


「お前は論外…だが実験台にしてやる。」


剣神・建御雷神乃神刀を向け、技名を呼ぶことで発動できるスキル。


「雷神招来・鳴神」


刀身がバリッっと光った―――と思ったら閃光が走った。


後から大きすぎる轟音は音そのものより衝撃が強いのだと初めて知った。




― ― ― ― ― ― ― ― 




技を放った本人が放心していた。


技――刀身を向けた方向が消えていた。


物事は正確に表現するべきだ。


技を放った方向に居たゴブリン、壁、その先を数キロに渡って超高温のプラズマで焼き尽くしたらしい。


らしい、というのも後でヘルプで技を確認した事と、赤く焼け溶けた洞窟の壁面を見たからゆえの推論である。


これはいけない。


少なくとも地形を簡単に変えるほどの技は容易に使ってはいけない…。




しまった、ゴブリンにかまけすぎて被害者たちを忘れていた。


振り返ると心神耗弱とはいえ、文字通り天地を揺るがすような衝撃を目の前にしては放心するしかないようだ。


最初に話した冒険者、名前は何だったかな?



名前:マルダ

種族:人種

性別:女

年齢:19

状態:軽症、心神耗弱Ⅰ

職業:戦士


そうそう、マルダだった。


「マルダよ、汝の…いや汝らの敵…ゴブリンは一掃した。命の危機は無くなったがそれでも死にたいか?」


「…」


「死にたいというなら止めはしない。だが私は手を貸さない…だが生きたいと言うならこのポーションを取れ。」


アイテムボックスから上級ポーションを出し、マルダに差し出す。


上級であれば体の傷の完治と軽度の状態異常にも効果が出る。


「…正直に言えば死にたい気持ちは変わらないよ…でもここまで助け船を出されて拒否するのも、礼儀知らずだからね…」


表面上はしぶしぶといった様子だが、彼女の中にも生きたいという気持ちがあったのだろう。


奪い取るようにポーションを取ると一気に飲み干すと効果はすぐに表れたようだ。


「なんだいこれ…すぐに痛みが引いて、傷が治ってる…骨折も!?」


体の各所にあった擦り傷、切り傷だけでなくゴブリンに折られた指も治っているらしい。


「騒ぐのは構わんが他の者にもポーションを飲ませてやれ。」


追加で3本の上級ポーションを渡してやる。


「あぁ、それとこれも使え、目のやり場に困る。」


追加でマントを4枚出す。


「あ、あぁ…」


治った喜びか、ポーションの効能か戸惑いながらポーションとマントを受け取り他の被害者を回っている。


にしても上級ポーションであの驚き様は少々気になる所だ。


もしかすると冒険者の水準は予想より低いのかもしれない。


そんなことを思案しながら報酬の貰い方をどうするかを棚上げしている私だった。

読んでいただいてありがとうございます。

ブックマークや評価を頂ければやる気に直結します。

よろしくお願いいたします。



2018/3/11 冒険者の名前を修正しました。

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