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来客 その3

予約投稿が完全にミスっていたようなので加筆します。

細々なので大筋に関係はありません。

「いやー、アーミーアントの大群はやばかったっス!マジで死ぬかと思ったっスよ~」


「数百に上るアーミーアントの巣窟を攻略するとは…いやはや驚きですね…。っとこちらが報酬です。確認下さい」


「ひーふーみーよー…はいOKっス」


「またのお越しを~」


 オースに戻って約2週間、私とマルダは冒険者としての活動に勤しんでいた。

 指名依頼は相変わらず数件入っているがどれも緊急性が低く、かつ重要性が感じられないものばかりでギルマスにお願いし、丁重にお断りさせていただいている。

 代わりと言っては何だが2人で他の冒険者が中々手出ししない高難度、報酬が安い案件等々…人助け重視で活動している。

 先ほどマルダが報告したアーミーアントの退治も報酬の割に…の案件の1つだ。

 生態は名前の通り軍隊を成すアリのモンスターで穴を掘って地面に巣を作るか、天然の洞窟を拡張して巣にしたりする比較的メジャーな部類だ。

 私も実物を見るまではジャングル探検の特番とかで見る集団で動物を襲うあれかな?と思っていたら…全長1~2m、全幅50~70cm、全高70cm程…ぶっちゃけ人よりもデカい。

 昆虫は仮に人と同じ大きさであったなら人は絶対に勝てない。

 そりゃそうだよな、大型の肉食獣相手ですら武器を持っても対等とは言えないのに小さいながらも自分の体の数倍の相手を上げ飛ばしたり毒によって人を殺せる者だっている。


 少しだけ今回の依頼内容の回想をしよう。

 依頼主はオースからみて南西部にある開拓村、森を伐採中にアーミーアント数匹を見つけて早馬で依頼。

 どこかのゴキと一緒で1匹見たら10匹という理論があるらしい。

 早々に目撃場所に行くと、そこには10匹程度のアーミーアント…強靭な顎で木を切り倒し、運搬している。

 なるほど、黒光りして固そうな甲殻は蟻というよりコクワガタを思わせる。

 体の比率からすれば小さいながらもあの顎で挟まれたら人なんて簡単に上下がさようならだ。

 動物とは違い、複眼や触覚で人よりも余程優れた感覚器官をもつ奴らには生半可な隠れ方ではすぐにばれる。

 案の定、ひーふーみーと数を確認していたら私たちは即見つかった。

 目の前にはカチカチカチと顎を鳴らし威嚇する人間大かそれよりも大きいサイズの蟻、アリ、あり……地球〇衛軍を思い出した。

 予定外だったのはミスリルコーティングのクレイモアがまるで役に立たなかった事だ。

 甲殻を切れなかった時は、


「マジかよ!?」


 と声を上げてしまった。

 アーミーアントの甲殻は鋼鉄以上の強度を持っているそうだ。

 そして両手剣は特徴として力いっぱい叩き潰しながら切る事に特化している。

 つまりはいくらコーティングされているとはいえ、ミスリルの硬度は持ち合わせていない以上、鉄の棒でしかない。

 甲殻の隙間を狙って突く事は可能であろうが周りを囲まれている以上、そんな精神的余裕は持ち合わせていなかった。

 初撃をかました奴は地面にめり込み、ピクピクと痙攣していた。

 マルダは私よりもっと深刻な状態だ、武器にしろ能力にしろ私未満だったからな…。

 そこからはもう私1人でちぎっては投げ、魔法で焼き、拳で砕く作業だ。

 ぶっちゃけ武器を壊さないように手加減していたが、本気で素手で殴った方が強かった。

 そこからは私の無双が始まるのだがそれは予定調和なので割愛しよう。

 甲殻をぶち抜いた拳が体液でドロドロになったことを考慮しなければ…。





「アダム様、報酬っス。今回はアタシの出番は無かったんで…分け前は9:1でいいですか?」


「ダメ」


「うー…そうっすよね。全部アダム様で…」


「違うわ! 村長との交渉、馬車の手配、道案内に討伐証の回収とかお前だって仕事はしてただろ? 分け前は5:5、半分だ! いいな!」


「!! 了解っス!」


 戦うだけが仕事じゃねーっての。

 営業ありき、折衝、調整、ほうれんそう…それらを無価値にしてはいけない。

 もちろん最後の面倒な報酬の受け取りもな!







― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 






「あのー、アダムさん…」


 精神的疲労を回復するためのコーヒーブレイク中に…マルダはがっつりステーキに齧りついていたが――受付のエイミーさんがおずおずと声を掛けて来た。

 いつもの軽めな雰囲気と違いちょっと弱腰というか緊張しているというか…


「アダムさんに来客です…。支部長と一緒に応接室でお待ちなので来ていただけませんか…?」


「それは構いませんが…どちら様でしょう?」


「そのー…ちょっと私の口からは…」


「あれっすかね、指名を断り続けた小物がしびれを切らして――とか?」


 可能性として無い訳では無い。

 小さくとも権力を持っている者、持ち始めたものはその力の拡大に躍起になるものだ。

 任命されたばかりの課長が急に威張りだすような…。


「とりあえずお待たせするのも悪いので行きましょうか」


「そうっすねー」


「あ、入室はアダムさんだけでお願いします」


「えー?アタシはのけ者っすか?」


「向こうのご意思ですから…」


 ぶぅ、と口を膨らませるマルダを宥めて応接室へ向かう。

 ギルドの職員が口を紡ぐようなお客とか良い予感がまるでしないな。





 トントントン、扉を3回ノックして中からの応答を待つ。

 今更だけどこのマナーってこっちでも使えるのかな?


「入りたまえ」


 良くも悪くも反応は貰えたから良し。


「失礼します」


 応接室に入ると向かい合う2人の男、1人は良く知るキルスティンさん…ギルマス兼支部長。

 もう1人は完全に初見だ。

 年のころは20になるかもう少し若く、笑顔と輝く金髪が眩しい。

 装備している物も見目麗しいものばかりだ。

 私を…仮に、仮にね? 静の美とするなら動の美というか、少々派手な美と形容すべきか。

 支部長も丁寧に対応しているっぽいし見た目に惑わされない為にこーゆー時にこそ鑑定でも使ってみないとな。



名前:カインド

種族:人種

性別:男

年齢:21

状態:健康  >>



「へぇ、初めての相手を覗き見るなんて大胆というか油断ないというか」


 隠されてる事はあったが見ているのがバレた事は無かったはず。

 そういう罠感知じゃないけど『貴様、見ているなッ!』的な魔法でもあるのかな。


「これは申し訳ない。指名で呼ばれるとなど初めてでしたので。 警戒するのも当然…とご容赦を頂ければ」


「あぁ、いいよいいよ。むしろ落胆しなくて済んだから良かったよ」


「アダム…君は初めて会うだろうから説明しよう。彼は…金だ」


 金?かね?ゴールド?

 もしかしてキムさんではないよね?


「あっと済まない。言葉が足りなかったね」


「いいですよ支部長さん、自己紹介は自分でしますから」


 戸惑っていると金髪イケメンが立ち上がり、一種の劇を見ているかのような錯覚を覚えるほど大仰なしぐさで挨拶してくれた。

 それこそ取って付けたような、まるで馴染まない丁寧さとぎこちなさを感じる。


「名前は見たから知っていると思うけど、僕はカインド。ギルドからは『金の剣聖』の名を貰っているよ」


「あれ、金のランクあっ…ありましたか?」


「あー、そこからか…。アダム君は今、緑ランクでその上が赤というのは分かり…分かるよね? その赤の上に"特色"というランクが設けられていてね…」


 そういえば説明されたっけ…以前に支部長と初めて会った時にいた無職の……むしょく…無色?

 あの変装の達人も特色だったのか…すっかり忘れてた。


「特色というのは決められた人の枠を超え、一線を越えた人外の者…」


 まぁ、超エリートってことね。

 確か数多くいる冒険者の中で10人に満たない、本当に一芸に特化した専門家。

 そしてこの人は剣聖というのであれば剣のスペシャリストとも言えるのだろう。



頭:なし

体:朱金の鎧

腕:金蛇の腕輪

腰:体力のベルト

足:疾風のブーツ

右手:光剣ブリム

左手:なし

装飾1:剛力のピアス

装飾2:毒の指輪



 あまり覗いているとまた何を言われるか分かった物じゃない。

 装備はメモってあとで調べようと思うがどれもレア物の匂いがする装備品…そこら辺の冒険者とはそれこそ格が違う。

 これに技量が備わっているならば装備が平凡な緑ランクが100人集まろうとも特色1人に叶わない可能性だってある。


「なるほど…それでその人外の凄い人が私に何の御用でしょうか?」


「決まってるじゃないか」


 今までのイケメン面が嘘のように崩れ、獰猛で…それでいていやらしい笑みを浮かべた。

 少なくとも英雄というよりは本当に人外だと感じてしまう。

 そして…


「僕とヤらないか?」


何で修正後にコピーしなかったんだろうね…。

周回で疲れていたのかねorz

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