人の闇
胸糞?+R15程度(当社比)です。
真ん中あたりにありますので改行いっぱい入れときます。
何か下からの振動を感じたような気がしたが…気のせいか。
おそらく隠し扉なり階段なりがある部屋にたどり着いた私は部屋にあるものを物色していた。
「家具や調度品は特に怪しいものは無い…地図からも隠し部屋は無さそう…」
外観からすればこの上に塔があるはず、であれば何かしらあっても良いと思うが…。
定番であれば本棚の本を動かす、机の裏のスイッチ、人形の位置…何かしらの隠し要素が扉を開けるためのキーになりえるが『探索』では罠は分かっても隠しスイッチなどは知らせてくれない。
「はぁ…自分で見つけるしかないか…」
幸い部屋の中にある物はそこまで多くない。
テーブル、椅子、調度品の壺や絵画、暖炉、甲冑…しらみつぶしに探していくしか無いな。
ともあれ数分後にあっさり答えにたどり着けた。
「絵画の裏にレバーなんて古典的な…」
レバーを下げるとカコンッと思ったよりも軽い音が鳴り、天井が開いて階段が現れた。
なんとも男心をくすぐられる趣味だ。
「鬼が出るか蛇が出るか…出来たらうれしい誤算であることを祈りたいな」
この世界には自分が祈る神すらいない(はず)なのに何に祈ればいいんだろうか。
とりあえず自分をこの世界に追い込んだアイツに祈るのは癪なので祈らない努力をすることにした。
隠し階段の先は螺旋階段になっており、半周毎に覗き窓が設けられていてそこから月の光が入ってきている。
明かり無しでも見えるぐらいには明るく窓から見える景色は中々壮観だ。
大半が森の中であるが、森を抜けた先には大きな街…景観から察するにエネキアの王都かな?
だとすれば今回の目的地は王都の近隣という事になる。
「王都の膝元に殺害対象か…」
元の世界だって隣人や親を手にかける話はそれなりに聞いた。
日本以外ではもっと無差別だったり宗教による殺し合いのニュースも後を絶たない。
比べるまでもないがこっちは科学力こそ高くはないが魔法という比較的誰でも扱えるメジャーな『武器』がある。
権力や金で強引に事を成そうとする輩も見受けられた。
「簡単にみんな仲良く――なんて難しいよなぁ…」
最上階は目と鼻の先だ。
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アダム達が仕事に向かう1時間ほど前に少しばかり遡る。
最近噂…いや現実として話題になっていることがある。
エネキア王国が奴隷制度廃止に動き出しているという話だ。
まったく余計な動きをしてくれるものだ…と口に溜まった苛立ちを琥珀色の液体で流し込む。
奴隷制度があるから我ら権力者が楽出来るというのにそれを辞めるなんてとんでもない!!
『合法的に』楽しめるというのに…まったく偽善を振りかざしおって…。
しかも主立って動いているのが公爵だから尚のこと止められない。
それほど広くは無い薄暗い部屋…周りにはいろいろな器具が並んでおり、その真ん中にある豪奢な天蓋付きベッドは一際強烈な違和感を放っている。
「まったく…こんな楽しみを捨てるというのは神に対する冒涜だと思わんか?」
男の股でぴちゃ…ぴちゃ…と水音を立てているのは亜人…それも猫型だろう。
頭にある垂れ気味の耳に体を覆う茶色の体毛に尻尾、首輪が示すのは彼女が奴隷であるという事。
「……もっと積極的にやらんかぁ!!」
怒声と共に彼女の頬を拳で殴り飛ばす。
「ギャッ!」と声を漏らし、絨毯の上に横たわる。
殴った衝撃でグラスから酒が零れてしまったではないか。
部屋に不釣り合いなほどフカフカの絨毯に横たわる彼女の顔には既に青あざがあり、包帯が所々に巻かれている。
傷は真新しいのか血が滲んでいる場所も複数あった。
「チッ、もういい。“そのまま動くな”」
そう言ってその男は女性の後ろから伸し掛かる。
歳はそれほどではないが権力か、財力の証か…そのでっぷりと太った腹は彼女にとって非常に重荷となっているだろう。
だが動くな、と命令されればそうするしかない。
何も奴隷根性でそうしているわけではなく、彼女の名誉を守るために語るなら奴隷の首輪には強制力が働くからだ。
命令に従わなければ耐えがたい苦痛が走るような呪いが掛けられた呪具なのだ。
屈辱に耐えせめてもの抵抗として嬌声など上げるものかと歯を食いしばり、血が滲むほど拳を握る。
「……抵抗のつもりか、気に食わん…なっ!!」
首輪に付いた鎖を引っ張ると当然首が締まる。
「あ゛っ…ガッ…」
「苦しいか? ん? 私は大変気持ちがいいぞ?」
強制的にエビ反りのような体形にされ呼吸が苦しくなり少しでも呼吸を楽にしなきゃと首輪のスキマに指を入れ込もうとする。
しかし、残酷な事に首輪は肌に密着するようにピッタリと一部の隙もなく張り付いており指は首輪をなぞるだけ。
「ゲッ…ぜひっ…ガ……ぁ…」
「ははははは!なかなか良いぞ!その調子で私を楽しませてくれ!」
男が一方的に楽しんでいるとやがて彼女の体がビクンビクンと痙攣し目が白目を向く。
さっきまで隙間を求めていた指はだらんと垂れ下がり口からは涎が垂れている。
「…チッ…気絶しては使い物にならん」
鎖を離すと彼女は顔から絨毯に倒れる。
その男は象徴は物足りぬと言わんばかりに行き場所を求めて自己主張を繰り返していた。
「誰かある!」
そう叫ぶとドアが開かれ、黒い服を着た者が入ってきた。
恰好から察するに執事のように見受けられるが男が裸でいること、奴隷が倒れている事にまったく動じている様子はない。
いつものことですねと言わんばかりに主人の発言を待っている。
「こいつを片付けて次だ。次は…そうだな…確か蛇がいたな。それを持ってこい」
黒服は一礼すると、彼女を担いで出ていく。
「まったく…同じ人相手ではすぐに壊れてしまうからな…」
どかっとベッドに体重を預けると煙草に火をつけ燻らせる。
ぷかー…と吐き出した煙は天井付近に溜まり、部屋を若干ではあるが曇らせた。
煙草1本が灰に代わる頃、ドアがノックされると男は「入れ」と一声かけ入室を促す。
入ってきたのは蛇型の亜人…俗にいうラミアという種族だ。
一説にはモンスターとされていたがそれは上半身は人種の女性そのもの、下半身が蛇というや他の亜人種からもかけ離れた姿ゆえの弊害だ。
「お前は…確か初めてだったな? 早くこの生活に馴染めるように私自らが手ほどきしてやろう…」
ベッドからゆっくり立ち上がりと男が近づいてくる。
既に執事は退室しており、自分の背後には開かない扉があるだけ。
彼女はすでに臨戦態勢に入った男を見て自らの未来に怖気したが真に彼女を絶望に至らせたのは部屋に置かれている数々の機器だ
博識な彼女は知っていた。
それが…焼き印を付ける。
例えば、爪を剥ぐ。
例えば、磔にする。
例えば、股を裂く。
例えば…女性を女性たらしめんとする場所を破壊する。
人種と違う彼女に使えない機器も多いだろうが、上半身は違う。
それにどの機器も錆など無くじっとりと何かに濡れているように見えた。
「ッッ!!!? 出して!!お願い!助けて!!!」
「うるさいな…"黙れ"。」
「…!…!……!!!」
「その首輪がされている以上、お前らは私には逆らえん。素直になることだな…!」
「…!!…!!」
「ずっと無言というのもつまらんか…本番になったら喋れるようにしてやるから存分に私を楽しませろよ…?」
しばらくの間、ドアを叩き続ける音が聞こえていたが……今はもう聞こえない。
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時はハチが地下に侵入したときに戻る。
「階段の下には何があるのやら…ん?ん~…」
人種の軽く数百倍、特に匂いに敏感な犬型亜人種にも匹敵する我の鼻は良からぬ匂いを感じ取った。
血の匂い…。
それも細かく判別出来るわけではないが少なくとも数種から数十種のものが地下の冷たい空気に混じっている。
匂いが歩を止める理由はなりえず、薄暗闇を更に下ると仄かな明かりが見える。
階段の下ると終点が見え、そこには小部屋があり、大きな扉が見える。
明かりは魔法のランタンか?
「ふんふんふ~ん…ん?」
我は階段、残り2段というところで足を止めた。
微かな、ほんの違和感程度に感じる殺気を感じるぞ。
「そこの隠れている奴、殺気を抑えたつもりだろうがまだまだ甘いぞ」
我の呼びかけをブラフと思ったのか、出てこなかった。
こっちの殺気を狙って少しだけ当ててやったら少々のうめき声が聞こえた後に当人が姿を現した。
黒い服を着た初老…老人?
人種の歳は分からんがあの公爵の所の執事さんと同じような空気を感じるぞ。
「…これはこれは当家へお越しいただきありがとうございます。失礼かと存じますが当主様へのお約束はおありでしょうか?」
「もちろん無いぞ!」
「そうですか…お約束の無い方を通す訳には参りませんが…私では足止めにもなりませんな」
「素直に通してくれるのであればそれでも良いし抵抗してくれても構わんぞ」
「主に仕える身ではありますが所詮は金での主従、命を懸けるほどの忠誠心は持ち合わせておりません。どうぞお通り下さい」
「うむ、よきにはからえ!」
抵抗が無いのは少々興ざめだが主からも殺すなと言われているしな。
扉の向こうにいるのは恐らく主が探している相手だろう。
我が役に立つ事を証明して何としても食後のおやつを取り戻すのだ!!
「ふぅ…何処の間者かは不明ですがこれで伯爵も終わりですね。今のうちにお暇しましょうか…命あっての物種です」
次回もきっと胸糞というかグロかも




