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館の中

 壁を飛び越えた先は館の豪華さに似合わず殺風景な…もっと言えば何もない庭だった。

 コーウェル公の庭と比較するのもおこがましい程に、樹木の1本も無く池も無くただ荒れた地面が見えるだけ。

 


「思ったのと大分違う景色だな。権力者とはいっても金の掛け方は人それぞれか…おっといかん!私達を即座に発見するほどの相当な技量の集団が出てきたんだ。これは要注意しなきゃいけないな」


「……なぁ、主よ」


「ん?」


「透明化も無音も使わずにそのタケ…何とかという装備でいきなり現れれば誰だって怪しいと思うぞ」


「……あ!」


 言われてみればいつも掛けていた隠ぺい系の魔法を使っていなかった。

 緊張感を持って当たらねばと意識したせいか、はたまた久々の仕事で抜けていたのか隠れる手段無しに転移してしまったとか阿呆にも程がある。

 慎重に行くぞと話していた本人がこれだよ…砂糖の件を含め1日で2回の失敗はちょっと堪える物がある。

 

「弘法も筆の誤りだな」


私は高僧でも無ければ神でもない、中身はごく平凡なサラリーマンだ。

で、あれば原因追求し再発防止に努めるのみ…。


「もう遅いかもしれないけど一応隠れるか…」


 透明化、無音、暗視等を発動して荒れた庭を進む。

 地面には先ほど出てきた騎士達の足跡が残されており、痕跡を辿ると壁のすぐ傍に併設された大き目の小屋から出ていた。

 つまり騎士の詰め所だろう。

 もしかしたらさっきの様な大捕り物とか、侵入者を発見する目的で何もない庭にしているとか?

 考えすぎかな。

 ここから見える館にはぽつぽつと数部屋に明かりが見えることから無人ではないのは明確だ。

 それと同時に慌ただしさが感じられないこと、騎士が出ていないことからまだ壁の外での騒ぎは伝わっていないのかもしれない。


「初動では失敗したけど、まだバレて無さそうだ。今のうちに侵入するぞ」


「おうよ」







 館の入り口にも騎士の姿は無く、中から話し声も聞こえない。

 壁の外から聞こえる鳥や虫の鳴き声が響くのみだ。

 逆にあれだけの騎士を抱えながら館の管理は最低限なのかと思えるほど気配を感じないので範囲索敵で人数だけでも確認してみた。 すると1、2…5人の反応が確認できた。

 マップ上でおおよその場所は把握できるが立体ではないので何階にいるかは分からない。

 しかし2人と3人に分かれていることは分かった。

 

「おじゃましま――」


 いつものように扉を通り過ぎようとしたら何かに当たった。

 まるでそこに壁があるかのように…一応補足しておくなら『非接触』と『透明化』を併用しているので薄い壁や窓であれば通り抜けることが可能となっている。

 つまり何らかの防壁というかバリア的なものが張られているらしい。

 ちなみに周りの窓や勝手口的なところも入れずぐるっと回って1週してしまった。


「何かあるな、入れん……」


「この程度の防壁どうという事は無いではないか、壊せばよいのか?」


 準備運動のようにぐるぐると腕を振るハチ。

 分かりやすい程の挙動から察するにこれはもうあれしかない!


「まt――パリーン


 昭和のロボアニメのバリアのように、窓に野球ボールが当たる様に小気味よい音が響いて何かが割れた。

 ハチの拳は私たちを遮っていた見えない防壁らしきものを砕き、あまつさえその先にある館の玄関扉まで吹き飛ばした。

 擬音にするなら「ドーン!」からの「ガランガラン…」といったところか。

 これじゃ人が駆けつけてきて異常に気付いてしまう!

 隠れた意味が無いじゃないか!

 重厚な木製の扉はエントランスホールの豪華そうな絨毯に一筋の新しい模様を描きながら反対側の壁にめり込み近代的なオブジェと化していた。

 

「ゴルァ!こんなことしたら相手にバレるの必死だろうが!!」


「そうなのか?まぁやってしまったものは仕方がないな!」


「……ハチ、今日食後のおやつ抜きな」


「な!?あんまりではないか!」


 最初は自分の落ち度とはいえ作戦を切り替えるしかない。

 可及的速やかに対象人物を捕縛して大事になる前に帰る!

 もう騎士達に見つかって大事になっているって?

 バレてもそれが相手方のトップに伝わってなきゃ大丈夫だよ、きっと。


「…しかし、あれだけ大きな音と振動なのに誰1人として出てこないな。これだけ大きな館ならあの5人のうち1人は執事なりメイドだと思ったんだが…」


「出てこないのなら良いではないか。堂々とお邪魔しよう」


「仕方ない…ハチはこの階を隈なく調べたら念話で報告してくれ。対象人物が居たら殺さずに確保、それ以外は抵抗されない限り傷つけないようにな」


「うむ、では探検開始だー!」


 …言動はともかく能力は申し分ない。

 コーウェル公の妻娘の誘拐の時にも動けてたし少し任せてみよう。


「なら私は2階から探そうか」





 大きさの表現として敷地は東京ドーム何個分というのはよく聞くが、建物の大きさは収容人数やいくつ部屋があるか、何階建てかなど表現が多岐に渡る。

 簡単に表現するのなら学校と言うべきか、階段を上ると左右に広がる長い廊下と均等に配置された扉。

 おそらく何十部屋とあり、間取りを把握するだけでも小一時間は掛かるだろう。

 はい、そんな貴方にお勧めの魔法が御座います!

 こちら『探索』と『地図製作』の2品がと~ってもお勧めとなっております。

 まず『地図製作』は文字通り地図を作るための魔法ですが、発動後に歩いた場所がそのまま地図として記録されます。

 自分で書かなくて良いのは楽ですよね。

 ですが!裏を返せばすべての場所を歩かなければ…例えば道が途中で途切れていたらそれだけで地図を完成させることが出来ないのです!

 そこで活躍するのが『探索』ですね。

 同種として『索敵』がありますがこちらは主に動くもの、生きている者を対象に探します。

 『探索』は自分の周りの構造、罠、お宝など動かないもの、無機物が対象になります。

 ここまで言えば察しが付くお客様も多いと思ういますが、さてお立合い!

 『地図製作』、『探索』の順で使うと…あら不思議!!

 脳内マップに自分を中心に約10メートルほどの円が広がり、小さいながらも館の構造が出来たではありませんか。


「って1人通販番組やっても悲しい…それにこれだけ大きい館で10メートルは心もとない」


 もう通販番組は無しで…『範囲探索』を追加で使用した。

 すると先ほどとは違い、一気に空白だったが埋まっていき…今いる階と思われる地図が完成した。

 全体の構造はロの字型になっており、この階だけでも部屋数はおおよそ30弱あるようだ。


「…客間とか使用人室だろうか。同じタイプの部屋が多くて判別がつかないな…怪しい反応も無いし次だ」


 次の階も大部屋が並んでいる事以外は変わった場所は無かった。

 外から見た構造では3階建てに飛び出した塔が見えたのでこの階の何処かに塔への階段があるはずだが見当たらない。

 塔があるのは…現在地の丁度、対角線上に当たる部屋の上だ。

 となれば消去法でその部屋に何かしらある可能性が高い。


「豪勢な館、秘密の塔…ここまで条件が揃えばいるのは囚われのお姫様か、はたまた世に出せない訳ありの子…大穴で今回のターゲットかな」


 変な想像をしても仕方がない。

 ちゃっちゃと行動あるのみ!




― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 



 主から1階の探索を託されたが…なかなか難しい物だ。

 部屋を見付ける端から開けてみたが人どころかネズミの姿すら無く、厨房と思しき場所には保存食と思しき食材しか無い。

 

「干し肉は…まぁまぁ…上等な物を使っているが…むぐむぐ…ジャーキー程では無いな」


 一通り部屋を見て回った限りでは怪しい場所などは無い。

 だが我の鼻はがここにいるはずのない第3者の存在を告げている。

 如何に人化して肉体に制限を掛けていようと感覚器官までは衰えていない。


「1番匂いが強いのはこの部屋だな」


 位置は廊下の奥にあり、作りは他の部屋と違い物置代わりにされている。

 確認した時は特に気にせず「何だ、物置か」で済ませたが感覚を尖らせるといろいろと新しい発見があった。

 まず1つ目は先ほどからの匂いだ。

 主でもない、いくつかの匂いが館の中に混じっている。


「主は何人いるか分かっているようだったが我にそこまで感知する能力はないからの」


2つ目は音…地下とはいえ空気の流れはある。

流れがあるという事は隙間が存在し、かすかな「ひゅー…」という音が耳に入ってくる。

最後は埃。

部屋の中に山積みにされた荷物にはうず高く埃が積もっているのに部屋の一定場所だけ埃が無いということだ。


「くっくっく…この名探偵ハチ様に解けぬ謎は無い!」


 匂いと音の出所、埃のない道…つまり答えは目の前にある。

 変哲の無い壁だが恐らく隠し扉か何かしらの仕掛けが隠されているのだろう。


「そこに隠れているのはお見通しだ!」


 ここで見せるのは我が最近よく読んでいる異界の書物…同族殺しの人種を同じ人種が追い詰めるときに使う技を模した物…。


「キック力増強パーンチ!!」


 本来の力程でないにしろそれなりの破壊力を持った拳が壁に突き刺さる。

 壁はある程度の厚さしかなく、突き抜けた腕からは隠された空間が感じられた。

 どうやら下り階段があるらしい…我の推理力も大したものだな!

 やはり異界の知識は学んでおいて損は無い。


「さて、地下には何があるのやら…あの真っ黒なモンスターみたいな人種は出てくるのかなぁ!」




取り急ぎ更新。


あれこれ書いてたら胸糞まで進めれませんでした。

次こそ胸糞にします

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