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市場と久々に会った人と…誰?

「アダムさまあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 数日ぶりのオース…正確にはまだたどり着いていないが――出迎えてくれたのはマルダの大きな呼び声だった。

 私がいるのはオースの北部にある森の切れ目、まだ街は歩きであれば結構な距離にあるし直線距離でも数キロは優にある。

 そんな距離で私を見つけるとは彼女はマサイ族並みの視力を持っているのか?

 土煙を上げて迫ってくる姿はまるで以前に討伐したダッシュボアの…いかんいかん、女性を猪に例えるなどセクハラ以上に酷い扱いだ。


「アダム様!お帰りをお待ちしてたッス!!」


「こんな離れた所まで出迎えなくてもいいんだぞ…?」


「なんの、アダム様の従者たるもの例え火の中、水の中、ドラゴンの腹の中っすよ! ハチさんもいる以上負けられません!!」


「意気込みは買うが…まぁあまり無理はしないようにな…」


「はい!…と今日はハチさんは別行動ですか?」


「あー…友達が来ていてな、少しの間暇をやったんだ」


「へぇ…そうなんすねぇ………(ってことはしばらくはアダム様とふたりっきり…ニヒッwww」


 ん?後半はよく聞こえなかったが…まぁいいや。

 本人もやる気があるようだしハチの代わりにちょっと手伝って貰おうか。


「ではマルダ、冒険者ギルドの支部長にちょっと用事があるから約束を取り付けておいてくれ。時間は任せる」


「畏まりっす!それでは早速!」


 そう言い切ると踵を返し街までダッシュして行く。

 マルダが戻るまでは市場でも覗いてみようか、もしかしたら掘り出し物…目当ての素材なんかもあるかもしれないしな。

 はい、「この世界の素材やらアイテムを網羅したアイテムボックスあるんじゃないの?」とか突っ込まないように…。

 幾千種のモンスターが存在し、それぞれに素材がある。

 以前に倒したダッシュボアは牙、毛皮、肉が主な素材となるが大物になればなるほど…まだ敵として出会ったことは無いがドラゴン種であれば体のあらゆる部分が素材として使われるらしい。

 目玉から鱗、内蔵、血に至るまでどれも使いみちがあるとなっている。

 ここまで言えば何となく察してくれたと思う。

 素材が多すぎるんだよ!

 ウィンドウショッピングや装備なら「へーこんなのもあるんだー」と楽しめるかもしれないが何が悲しくて毛皮や牙…場合によっては内蔵を種類ごとに検閲しなければならないんだ…。

 ということで素材の方はあまり確認が進んでいません…はい、すいません。

 自戒はこれくらいにして…一介の冒険者に戻ってみようか。





― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 




 2度目の訪問となるオースの市場、1度目は視覚だけで見ていたので立地は把握できている。

 ここで探すべきは情報だ。

 モンスター素材、武器や装備の質、後は市政の食糧事情に物価などなど…把握しておいて損はない。


「やはり賑わっているな」


 時刻は昼時、食事を求める人から売る人、食事ついでに買い物に歩く冒険者らしき人々、仲買の商人達のやり取りという騒がしくも活気のある様子だ。

 錆びれた郊外のシャッター街にはない古き良き商店街といった所だろうか…その商店街も地元には無かったがな。


「そこの銀髪のカッコいいおにーさん!名物の挟み肉どうだい?」


「1つ頂こう。いくらだ?」


「銅貨10枚だよ! まいどあり!」


 前に見たときに気になっていたハンバーガーもどきだ。

 こういうのはマナーなど気にせずがぶっと大口で頬張るのが美味しい食べ方だ。

 うん…うん…中々捨てたものではない。

 肉の種類までは分からないが弾力の強い、噛み応えのある肉と柔らかい部位か種類の合い挽きだと思う。

 味付けはちょっと辛みの効いたスパイスに塩……味自体は極めてシンプルだがその分肉の旨味が感じられる。

 パティの他に具材は無く上下の少々固めのパンのみだが、そのパンが肉汁を吸う事で手を汚すことなくさっと食べられる。

 総評65点といった所かな、不味くはないのだが如何せん単調な味なので食べて行くにつれ若干の飽きが出てくるのでもうちょっとアクセントが欲しい。

 ならばちょっとアレンジしてみようか。


「お嬢さん、非常に美味しかったのであと2つほど包んで下さい」


「あらま、お嬢さんだなんておにーさん嬉しい事言ってくれるじゃないの!サービスして2個で銅貨18枚にしちゃうよ!」


「ありがとう。また寄らせてもらいますね」


「まいどあり!またよろしくねー!」


 やはり露店のおば…お姉さんにはこの手に限る。

 ハンバーガーとしては葉野菜にソース、ピクルス的な漬物にチーズも見つかれば最高だな。


「お、前にみた焼きそば的なもの見ーっけ。おっちゃん!1人前頂戴な」

 

「あいよ!銅貨15枚だ」


 見た目はソースを使わない塩味の焼きそばで、具は種類も余り無く彩りが不足気味…点数としては50点か。

 味は……良く言えば素材の味を生かしているというべきか、悪く言えば塩味が弱い。

 現代風のソース味に慣れすぎたのか、もしくはこちらの調味料が高価ゆえの薄味の為か…。


「うん…貶すわけじゃないけども物足りない感がついて回るな…腹ごなしはこれぐらいにして食材になるものを探しに行くか…」


 飯系の屋台街を抜けるとそれまで周りに漂っていた香ばしいやら濃厚な脂の香りが鳴りを潜め、変わってまさにフローラル…いや、フルーティな香りが鼻を抜けていく。


「青果市場…うん。行ったことはないけどこんな感じなんだろうな」


 個人ごとに仕切られたスペースに野菜から果物、花に加工品と実にカラフルだ。

 キャベツ、レタス、トマトなど良く見知った物も多いが日本ではほとんど見かけない南国っぽいフルーツ…初見の野菜や花もある。

 違いを確かめる意味でも少し調達しておこう。


「おーい!そこの銀髪のあんちゃんよ!」


 やたら銀髪銀髪と呼び止められるがそんなに特徴的かな?

 さっと見える限りでは黒、茶、金に白髪にスキンヘッドに亜人の体毛はノーカンで…うん、銀はいないみたいね。

 声を掛けてきたのは…見覚えはあるが名前が出てこない。

 頭に巻いたターバンにタバコは覚えている。


「貴方は…えぇ…と以前は門の前でお会いしましたね。確か…えーと…」


「エビンだ。名前はともかく憶えていてくれて嬉しいよ」


「エビンさん、ですね。今度は忘れないようにします」


「頼むぜ? 前に会った時は旅姿だったが今は…冒険者か? 結構値の張る装備を見るに…やり手に見えるが…」


「ご明察、今はこの街を起点に冒険者稼業をしています」


「ふむふむ…それに良く見れば耳には緑色のピアスってことは…緑ランク、ベテランじゃねぇか」


「ちょっとしたコネがありまして、特例スタートなので腕っぷしはあっても冒険者としての経験は初心者とさほど変わりませんよ」


「適材適所だ。知識とか技能は他のメンバーで補えばいいのさ…っとそんな話をしに来た訳じゃないんだ」


「?」


「当方、赤い狐の行商団という大陸、国々を渡り歩く商会でございます。是非とも良いお付き合いをして頂ければとお声かけした次第でございます」


 少々大仰な仕草と丁寧な言葉、何のことは無い売り込みか、うどんも扱っているだろうか…というのは冗談で大陸を渡り歩くという事は離れた国の情報、食物、装備品etcと握っているアドバンテージは大きい。

 大方、以前に情報量として銀貨1枚を提示したことから金を持ったカモとでも思われているかな?


「何、警戒しなさんな、何もカモにしようって訳じゃねぇよ。 冒険者をカモにしたとあっちゃいろんな所で商売がやりにくくなっちまうからな」


 ニッと白い歯を見せる姿とこちらが思っている事を想定している辺り同じやり取りが幾度かあったのだろう。

 少なくとも敵意は無いしオースの市場よりは有益な話が聞けそうだ。


「丁度こちらも欲しい情報がいろいろとありますので、どこかでお茶でもどうですか?」


「それならいい場所がある。着いてきな」


 はてさて鬼が出るか蛇が出るか…はたまた棚から牡丹餅でも落ちて来ないかな。




 あ、マルダと落ち合う場所とか決めてなかったな…ギルドか宿屋で合えれば良いが…。

お待た生存報告。

まだ肋骨がまだ若干痛みますが生活に支障のないレベルにまでは回復しました。

やはりカルシウムは大事ですね。



…ギャグ系っぽいのも書きたいと思う今日この頃。

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