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特産品 その2―1

 例えるなら日曜日の朝、目覚ましに強制起床させられることのない自然な目覚め。

 目を開けるとそこは…


「知らない天井…ではないな」


 こちらの世界に来てから実際に寝たのは数度だが、思案の為にベッドに転がることは多々有ったので自分の家の天井を見間違うはずもない。

 紛れもなく管理者の間に用意したコテージだ。

 どうやらこの管理者としての生活が夢ということは無かったらしい。


 何日寝たかは分からないが体がガチガチに凝り固まっている。

 筋肉痛の朝のような、病み上がりのような漠然とした重さが付きまとう。


「んっ……ん゛ん~~~……!」


 とりあえずその場で伸びをして一息つく。

 関節が伸び血流が良くなったことで心地よいしびれと暖かさが広がっていく。

 

「……ハチとシロはどうしただろ?」


 特に外からは前のような世紀末染みた殺し合い(じゃれ合い)の音も声も聞こえない。

 寝巻き用のジャージでベッドから出ながらボリボリと頭をかく。

 それは20代そこそこの……歳相当の青年の姿だが絶対に信仰対象に見られたら幻滅される事は必至だろう。

 管理者の間には私とハチとシロしか居ないのが分かっているからこそではあるが…。

 ここ、管理者の間は設定を変えない以上は常に晴天で雲ひとつ無く、夜も訪れない。

 そうと分かっていてもドアを開けたときに飛び込んでくる青い空は気持ちを清々しくさせてくれる。

 太陽の光は目蓋越しでも明るさを感じられまだ若干の眠気を感じていた脳を覚醒させてくれた。


「さて…ハチとシロはどこかなーっと…」


 燦燦と照り付ける太陽の下、干物になっている2匹を見つけた。

 爽やかな陽気の中で陰鬱とした空気を発しており何故かそこだけ陰って見えるようだ。

 人化しているハチは若干やつれたような気配すらするし、シロも耳が垂れ、尻尾も地面に伏したままだ。


「……おはよう2人とも…何やら元気が無いがどうした?」 


「おぉ…主よ、ようやく起きたか…今や遅しと待っておったぞぉ…」


『戻ったかぁ…早く…早くぅ…!』


「??」


「菓子を!!」

『飯を!!』


 どうやら私が寝ている間に…と用意した飯やら菓子を食い尽くして絶望に打ちひしがれていたらしい。

 優に4日か5日は余裕で食べる分だけ出したつもりだったが…現代日本の食事はこいつらにとってそこまで中毒性のある物なのだろうか。

 

「はぁ……しかたないな…」


 ハチにはカ○ビーのポテチ(パーティサイズ)を、シロにはカツサンドを。

 まるで私が折れて与えるのが分かっていたかのように陰鬱とした空気があっという間に吹っ飛び、餌を貪るおっきな犬が2匹だ。

 あっという間にペロリと平らげご満悦と言った風体だ。

 

「まったく…あれだけ落ち込むならもっと計画的に食べればいいものを…」


『いや、ご主人よ。あれは仕方ないぞ。 最初は俺もハチのいう物がどれほどの物かと思っていたがあれは確かに…うん、あれは良いものだ。 ハチが帰らないと言ったのも頷ける』


「やはりシロちゃんもそう思うか! 向こうに帰ってしまえばこれらを味わう事は叶わんし、まして主以外に異界の食物を出せる者はいまい」


「なんやかんや言ってもお前ら2人とも食い気優先じゃねーか!」


『「はっはっは!」』


「はっはっはじゃねーよ!」


 我が家の食欲魔人が増えた瞬間である。






「私は何日寝ていた?」


「ん~ここは夜にならんから体感だが…丸2日ほどでは無いか?」


『そのくらいだな』


 確か前に耐性解除した時の不眠期間は1週間ほどだったと思う。

 その時は丸1日程度、今回は約1か月で2日ぐらいとなれば比例しているようなしていないような…今のところ1か月は動きっぱなしでも問題ないというのが確認できれば僥倖。

 それにしても1か月(24時間勤務)で休みが2日だけとかブラック過ぎでは無かろうか。

 こっちには労基も上司も居ないから完全に自業自得なんだけどね。


 参考までに夜は暇なのでヘルプを読み漁ったり、アイテムボックスの中に何があるか、魔法効果があるアイテム・装備の確認、あとは信仰ポイントで購入できるもののウインドショッピングをしていた。

 そんなことしているなら寝ろよ!という意見があるかもしれないが一応補足するとこの世界で私に勝てる者は今のところ居るとは思えない。

 しかし、元はゲーム設定を元にした管理者…となれば良く有りがちなのは『耐性無視』や『防御貫通』『種族特攻』などの特殊効果を用いれば殺すまではいかなくても瀕死にさせられる事はあるかもしれない。

 どんな性能、特殊効果のある装備やアイテムがあるか把握することは私の生存に直結する事だから無理をしてでも進める必要があったのだ。


「そうだな…今日はまず公爵邸に行って追加の馬車を回収。 その後はビルドの様子を見に行って…オースにもそろそろ顔を出さないとまずいかな?」


「主よ、冒険者としての活動がある時は呼ぶようにな!」


「はいはい、シロは悪いがお留守番だ。さすがに街中を連れて歩くのは目立ちすぎる」


『仕方ないな』


 伏せ状態で尻尾で地面をぺしぺし叩いているのが不満の表れだろうか。

 だが、人化していない状態のシロ…全長6mほどの狼を連れて歩くなど最悪モンスター扱いされる可能性もあるし、短い期間ではあるが冒険者アダムとしての基盤も壊しかねない。

 代わりに管理者としての仕事にはなるべく連れて行ってあげよう。


「シロには別の場所で活躍の場を作るから、少し待っててくれ」


『思いっきり走り回れる広い場所がいいな!』


「分かった分かった…」


 確約は出来ないが、善処はしよう。

 そんな政治家のような曖昧な事を思いつつ私は転移した。

大変おまたせしました。

生存報告がてら短いですが上げておきます。

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