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アダム村 鍛冶屋さん開店

この世界でタフに生きる冒険者を甘く見ていた…。

"猫の爪"のリーダー、赤ランクのジュースと情報収集がてら飲んでいたのだがまぁ…強い強い。

日付が変わってハチとマルダが寝てからも私たちは延々と飲み喋り続け、店主が「閉店だ、後は自分らで好きなように飲め」と言って休んでしまった。

火が落とされた酒場でランタン1つをテーブルに置き、勝手にではあるが酒を拝借してつまみを頂きながら過ごした。

私は管理者の耐性ゆえに酔う事は無いが、生身で有りながら本当に朝まで休むことなく飲み続けた。

暗かった屋内に光が射しこみ、鶏の声が聞こえるえ夜が明けたことを知った。


「ん~、もう朝かぁ…つい話し込んじまったなぁ~…」


「そうですね…お酒も結構やってしまいましたねぇ」


相手に合わせて若干の演技で対応するが、この時間までワイン、エール、蒸留酒と飲み続けてもまだ意識が保てるのは異常と言ってもいいだろう。

眠気も相まって朦朧としていると思うが話すと的確に回答してくるあたり判断能力はまだあるらしい。


「良い時間なのでこれでお開きにしましょうか…」


「そうだな~、いやいや楽しい酒だったし面白い話も聞けた…今度はパーティメンバー交えてやろうぜぇ~」


「その時は声を掛けてくださいね、楽しみに待ってますよ」


多少、ほんの少しだけ千鳥足になりながら去っていくジュース…私はその胃袋と肝臓に戦慄を覚えたのだった。


マスターには申し訳ないので金貨を1枚カウンターに忍ばせておいた。


その後、


「アダム様、酒臭いっす」

「うむ、酒気がぷんぷんするぞ」


酔わなくても酒の匂いは身に染みるらしい、一つ覚えた。





― ― ― ― ― ― ― ―





「お、リーダーおかえり。朝帰りとは…昨夜の相手はどこの美女?」


「ばっかやろう…ギルマスが言ってたアダムって奴の情報収集を兼ねて飲んできたんだよ…」


「…本人と朝まで?」


「おう…お陰で二日酔いと寝不足で頭ぐらんぐらんしてらぁ…」


「またすごい酒豪が居たもんだね…で、成果は?」


「…あれはダメだ」


「ダメ?」


「何度か奇襲を仕掛けようとイメージしたけど1度目は腕を飛ばされた。2度目は頭を掴まれ叩きつけられるイメージ。3度目は心臓を一突き…もうちびりそうで吐きそうだった」


「へぇ…そりゃすごい」


「酔った後ならいけるか?と思った自分が馬鹿だった…時間稼ぎしながらだらだらやってたが…結局朝まで飲んでも顔色1つ変えやしねぇ…それに…」


「それに?」


「酔った、疲れた、眠いって演技してるような余裕まであった…ほんとに手を出しちゃやべぇバケモンだわ…個人的には"銀"よりも敵にしたくねぇわ」


「酒豪の件は置いといてもリーダーが"銀"より…って感想はやばいね…うん、やっぱりギルマスの言うように下手なちょっかい出さないうちに友好路線で行こうよ」


「……っ…ダメだ…」


「…ダメ?」


「………ウッ…」


「え、ちょ、まさか!?」


「オロロロロロロロロ」


「ギャァァァァァァ!!!」




その日、オースの片隅にある宿で鶏よりも早く絶叫が響き冒険者たちの目を覚まさせたのはあまり話題にもならなかった。





― ― ― ― ― ― ― ―




 マルダには今日から数日は休養日として過ごしてくれ、と伝えたら「自分もアダム様の従者っすからお供します!」と鼻息を荒くして同行を迫ってきた。

まずお前を従者認定したつもりはないんだがなぁ…。


「すまないが今は連れて行くことが出来ない。今後は連れて行けると思うから数日は大人しく待っていてくれ。」


「むー…分かりました……じゃあ何処に行くかだけでも教えてくださいよ!」


「それぐらいなら構わんか、まずオースの北部にあるという村と王都…あとは……」


「え?どっちも片道だけで数日以上掛かりますけど…?」


 あー…失敗失敗、転移にしろハチによる移動にしろこっちでは常識外だったんだ。


「手段は秘密だが、方法はいくつかあるんだ。誰にも内緒だぞ?」


「…そっか、アダム様ですもんね!」


 それで納得されるのもどうかと思うが下手に詮索されるよりはマシだな。

 アダム村に行きビルドとの約束、鍛冶小屋を建てることを第一目標、エミエの様子を見ることを第二目標とするか。

 オースでマルダと別れ、北部にある森まで歩き人気が無くなった所で村へ転移した。






 転移した先はいつもの………!?

 いつもの教会じゃない!?

 穴が開いていない天井に新品のように光沢を放つ長椅子に重厚な祭壇、ステンドグラスも陽光を浴びて七色の光を建物内に満たしている。

 自分はどこに来たのだ?と思うが祭壇の裏に多少赤みを帯びた銀の光を放つ神像を確認することでやはりいつもの場所か…と落ち着けた。


「いつの間に修理を…」


「こじんまりとしているが立派な教会だな、主を称えるものとしては少々豪華さが足りんのではないか?」


「村の負担もあるからな、礼拝に問題ないレベルなら豪勢なものはいらないよ」


 そういえばハチをここに連れてきたのは初めてだった気がする。

 既に日は高く、村民は汗を流しながら畑や家畜の世話に精を出している。

 道中で拝まれるのも既に日常となっているが未だに慣れない…とりあえず軽く手を振って対応しておこう。


「お邪魔するよ」


 そういって私が建築したコテージに入ると中にはコーウェル公爵より借り受けたメイド3人が掃除を行っていた。

 私を目にするやバババッと整列し「「「お帰りなさいませ、アダム様」」」とまるでメイド喫茶のような…いや、本物のメイドだけどね?

 ハチは「何だこの大きさは…あの家より大きいではないか!」と若干おこのご様子…帰ったら「改築だ」とか言いませんように。


「すまないが、ビルドはどこにいるか分かるか?」


「はい!ビルド様は納屋の修理、ゴート様、キルト様は森に獣狩りへ、ミルレート様は村長様のお宅で家事の勉強をされております!」


「ありがとう、後ここの暮らしで不便な事があれば教えて欲しいんだが…」


「はい!お肉!お肉が食べた「おバカ…」


 ハキハキと答えてくれていたドリィの頭をアインがスパーンと叩いた。


「アインちゃん痛いよ~」


「アダム様…大変失礼いたしました。お詫びと言っては何ですがツヴィーが今宵の夜伽の相手をする…ということでご容赦頂けませんでしょうか。」


「え!?私!!?」


 唐突な振りで目を白黒させたツヴィーがアワアワしているのが微笑ましい。

 ボケ・ボケ兼ツッコミ・弄られ役?で上手い事まとまった3人ならではのコンビネーションだろう。


「ハハハ…夜伽は不要だが、本音の不平不満は聞きたいな」


 本当はちょっと…ほんのちょっとだけ残念だけどね。

 完全耐性のせいか性欲もそれほど無く発散したいとは余り思っていない。

 また少ししたら完全耐性の開放し、溜まった疲れやら睡眠も処理しなければならないがその際にムラッとしたら…色街かどっかを探すのもアリだな。


「不満というほどでは無いと思われますが、いくつかございます。また村民の方々からも嘆願のような希望は出ております。 本日のお帰りの際にでも寄って頂ければまとめてお渡しできるかと。」


「分かった、帰りに寄るからよろしく頼む」


「畏まりました。行ってらっしゃいませアダム様」





 さて、ビルドは納屋の修理ということだが小さい村とはいえ納屋の数は10戸はあるので手っ取り早く『範囲索敵』で行くのがスマートだな。

 当人は……見~っけた。



 納屋の脇で角材を切り、鉋を掛けて削り具合を確認し再度の鉋の調整…私は建築に関してはまるで素人だが動きに無駄がない事だけは分かる。

 鉋の具合に満足したのかシャーッ、シャーッという木肌を滑らかに滑る音が聞こえてくる。

 削る度に出てくる昆虫の薄羽のような、1枚の羽衣のような元木片はビルドの力量の高さを示すものだろう。


「精が出るな」


 声を掛けると濃い髭の顔をこちらに向けて視線だけが動く。


「お! アダム様じゃねぇか。俺に用事か?」


「今のうちに約束を果たそうと思ってな」


「ってことは俺っちの工房か!?」


「あぁ、出来合いの工房だから細かい要望には応えられないと思うが、とりあえずは見てくれ」


「あー…見たいのは山々だが今はこっちが優先なんじゃ。済まんが見るのは後で構わんか?」


「構わないとも、では私は先に村長に許可をもらって来るか」


「すまんな!大急ぎで仕上げてから向かうでよ!」


 ふんふんふふふ~ん♪と鼻歌とリズミカルに鉋の滑る音が後から聞こえてくるのだからきっと楽しみにしてくれていたんだな。





 村長に「工房を建てたい。しかし騒音が問題になりそうだ」と伝えると「夜通しで無ければ問題ない」との事だった。

 敷地に関しても境界も曖昧な村の中だから広場のど真ん中とか入り口を塞ぐとか…まぁ、非常識な配置で無ければどこでもどうぞ、と快諾してくれた。

 そうであれば、設置場所は決まったようなものだろう。


 元奴隷達が住むコテージ…元奴隷も新住民も移住者も何か呼び名としてはすっきりとしないな…後で名前を考えてもらおうか。

 まぁ、そのコテージの裏20メートルは既に森になるので他の村民の邪魔になることは無い、ということでここに設置しましょうか。

 建築で呼び出せる鍛冶関係には鍛冶小屋、鍛冶屋、鍛冶工廠と複数あるが素人目には「規模が違うだけ…?」ぐらいにしか差異は分からない。

 情報を見る限り鍛冶小屋は10畳くらいの広さに炉が置かれ、あれこれと道具が設置されており、鍛冶屋は倍の広さ、工廠はさらに倍の倍…ここでは大きすぎるレベルだ。

 今回はまず様子を見る為なので鍛冶小屋で充分だろうな。


「ポイントも馬鹿にならんし…これ消費ポイント見えないのが怖いんだよなぁ」


「ん?ポイント?何の話だ?」


「独り言だから気にしないでいいぞ」


 「何だ詰まらん…」とハチは戦いも無ければ菓子も無い事に早くも飽き飽きしているようだ。

 ポイントは最近はあまり使っていなかったので8000ポイントほど溜まっている。

 さすがに3階庭付き一戸建て以上にポイントを消費することは無い!…と思いたい。


「建築…鍛冶小屋を召喚ッ!」


 偶には声に出して見たくなるのだ。

更新がまばらなうえに途切れ途切れで申し訳ございませぬ。

多忙につき今週中にもう1話上げれるか…?という所です。


気長にお待ちいただければと思いますm(_ _)m

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