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ゲームのGMと思った? 残念!異世界管理人でした!!  作者: 黒野されな
3章 より良い生活を目指して
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信仰の使い方 / 今度こそ街へ行こう

村長宅での宴会の翌日、私はちょっとした発見をした。


「……なんか、信仰ががっつり減っている…」


細かい数字は記憶していないが昨日の段階で5300ポイントくらい有ったのは覚えている。

そして今朝は4540ポイント…。


さて、昨日やった事柄を思い出してみよう。

1、アダム村にてエミエと契約した。

2、公爵邸に行って元奴隷を連れてアダム村へ行った

3、宴会した。

4、ハチにたらふく食わせた。

5、亜人の村へ救済に行った。


どれもいつもやっている事だが、昨日は宴会で大盤振る舞いしたのが特に気にかかる。

今のポイントが4540という事をメモしておいて…。


テーブルにどさどさとお菓子、酒、弁当をこれでもかというほど出していく。

既にテーブルの上は山になっており、いくつかのお菓子やパンなどが雪崩として床に落ちている。

普段の食事10回分以上に相当する食料であり、どれも日本で馴染みのあるものばかり。


さぁ、ポイントを確認しよう。


"信仰P  4428"


はい、ビンゴですね。

今までは 消費ポイント < 日々の増加量 だったので気づかなかったがこれは特定の行動によって信仰ポイントが使われると見ていいだろう。

その後、少しだけ今までやってきたことを振り返り、何で減って、何で減らないかという事を検証した結果が次のようになった。


『転移』       1P

その他の魔法     0P

装備の取り出し    0P

道具の取り出し    0P

食料の取り出し    0P

日本の品物取り出し  1P

建築…建物により変動 30P~500P以上


こんな感じ。

特に建築に関しては最初に建てる時のみにポイントを使い、出し入れ自由となっていた。

ちなみに建築が500P以上となっているのは検証途中で消費が大きすぎて信仰不足になると思ったからだ。

現在検証できているのはレンガ造り3階建ての一軒家まで、この先に数多く控えている要塞やら城なんていくら使うのか知れたもんじゃない。

そしてこの世界に存在する物に関しては信仰ポイントの消費が無いというのは発見だ。

そうなれば『転移』はこの世界の物ではない…? 

また、魔法は試したが各種の装備に刻まれた強大なスキルや召喚など…確認しなければならない事項はどんどん増えていく。


そして検証後の信仰ポイントが…3433P、毎日約200Pという事は10日間は派手に使わなければ元通りだ。


そして…とりあえずしなければならないのは…!!


テーブルに山のように出した食料の保管だ…。






食料の山から適当に朝食として見繕いながら今日の予定を立てる。

近々に迫った課題といえば情報収集ぐらいだろうか…そうだ、新しく鍛冶小屋とレシピを教える事も追加しておかなければ。

レシピにしても私が翻訳して出してもこちらで手に入る食材に合うものがなければ作れないだろう。

鍛冶小屋にしたって同じだ…ビルドを釣った手前、どの程度の設備にしなきゃいけないか調べなきゃならない。

ということはずっと先延ばしにしていたオースの街への潜入ミッションを行う時が来たということだ。


「ハチー出かけるぞー!」


"ぬ、仕事か?"


食後のランニングをしていたハチが人化しながらこちらに歩いてきた。


「どうだ?運動の成果が見えるだろう?」


どこで覚えたのか中学生の体躯でボディビルのようなポージングを決めるが元より細めのそれなりに引き締まった肉付きだったのであまり差異を感じなかった。


「あー…うん、ヤセタネ…」


「うむ!そうだろうな!あれだけ走ったのだから成果が出ないほうがおかしいのだ!」


運動自体は悪い事では無いし、ハチは主食よりお菓子を好んで食べるタイプだ。

ここで少しおだてて運動する習慣を付けておかないとより一層悪化する可能性もある。


「ただここで気を抜くとまたすぐに肉が付いてしまうからお菓子は適量、運動も適量で頑張っていこうな。」


「うむ、美味しくお菓子を食うためなら多少の運動など苦ではないぞ!」


豚もおだてりゃなんとやら…では街に向かいましょうか。





― ― ― ― ― ― ― 




目を開けるとおなじみアダム村の応急修理中の教会。


転移先のセーブ設定が未だに分からないが少なくともオースの街には飛べていない。

やはり街に入るか何かしらのイベントが無いと駄目なんだろうなぁ…。


驚かせるつもりもないのでさっさとハチの背に乗って行こう。

今日は曇天だが雨が降るほどで無さそうだ。

どうせ飛ぶなら晴天の方が――と思うがそれは次の機会だ。


ものの10分足らずで森が切れ、小高い丘の上にオースの街が見えてくる。


「ハチ、南門に向かってくれ。」


"承知した"



高度を落としつつ、隠蔽系で姿を消しながら街道上の身を隠せそうな林に降りる。

さて、前回と同じく旅人っぽい身なりに着替えて…よし、どこからどう見ても小奇麗な旅人だ。


「変装はこれで良しっと…ハチ設定は覚えているか?」


「問題なく、『父さん』。」


私たち2人は何食わぬ顔で街道を進む。

実際、今の段階では含むところもないので何食わぬ――というのもおかしな感じではあるが。



オースは大陸のかなり北部に位置しているらしく夏はかなり快適というが冬は北部ならではの厳しさがある…と宴会で村長らと新しく連れてきた住民が喋っていたのを覚えている。

季節を区別する単語が出ることからこの世界も四季があることが推察でき、今は気温から察するに夏から秋に掛けて、まだ半袖が恋しいと思える頃合いだ。


という事は冬に向けもっと寒さが厳しくなる。

そうれば待っているのは降雪だ。

オースは北部だから北海道をイメージすればいいのだろうか…さすがに村にいきなり除雪機などの未知の文明を入れることは出来ないが燃料になる薪ぐらいは差し入れようか。



私たちの他に街道を進む者は無く、遠目に見える門番達は暇そうに欠伸をしている。

緊張感が足りないのでは…と思うが仕方のない事だろう。

門番というのは常に侵入に対し警戒するのが仕事だ。

目に見える警戒対象が存在しない以上、常に気を張るのはただの徒労だ。

…『目に見える』だけが警戒対象ではないがな…。

隠れて入ろうと思えば可能だろうが、それをしないのはいくつかの理由がある。


まず1つ目は余計な問題を起こさない為だ。

仮に身分の証明やいつ街に入ったか、などを問われた際に矛盾していれば捕まることもあるだろう。

2つ目に経験を積むためだ。

これからいろんな街に入ることがあるだろう、多少の際はあるにしろどんな事を聞かれるか、入場料などは取られるのか等々を知る必要があるからだ。

3つ目…。

たまには観光気分でのんびりしたいじゃないか。


という締まらない理由だが、リフレッシュは重要だ。

特にこの疲れを感じない体では精神的な疲労のほうが影響しやすい。

その為、息抜きという行為はあながち無視できないのだ。



そうこうしている間に門番もこちらを視認したようで、佇まいを直している。

以前に来たときは商人が順番待ちの列を作っていて近づけなかったが中々近くで見ると堅牢な門に見える。

ただ、閉じた扉ではなく角材が組み合わされた柵を落とすタイプになっていた。


「ハーイ、そこの旅人さんこっちにきてねー。」


私を呼び止めたのはまだ年若く、非常に軽い感じの男だった。


「ようそこ、オースへ。おにーさん…でいいのかな? 目的は観光? 職探し? 商人…には見えないけど…。」


「そうですね…今は定住の地を探して旅をしています。職探しというのが一番近いかもしれませんね。」


「ほいほいっと、じゃああっちの詰め所で書類に記載をしてもらおっかな。こちらにどーぞー。キース、しばらくよろしくねー」


「あいよ。」


門の横に建てられた詰め所…という名の5畳ほどの小さな小屋に案内された。

中には簡素なテーブルと机のみという最低限の設備だけ。


「んじゃ、この書類に必要な事を書いてねー」


はい、とインクと羽ペンに羊皮紙だろうか、少々ごわごわした茶色の紙…のようなものが渡された。

内容は名前やら目的やら滞在日数など基本的な事項のようだ。

…元がこっちの言葉で記載された書類ならいけるか?

幸いなことに羽ペンを持って書きたい事を思い浮かべると手がスムーズに動いてくれた。


私とハチの分を書いて書類と入場料の銀貨1枚(2人分)を手渡す。


「……今、判子押すから待っててねー」


と、一言残し門番が外に出て行った。

判子を押すのに外?

キースと呼ばれていたもう1人の門番が判子を持っているのだろうか?




待たされて10分くらい…いくら何でも遅くない?


"…主よ、囲まれておるぞ?"


は?

ハチの念話に驚き『範囲索敵』を展開すると…小屋の周りに反応が約20…どれもこの街の兵士のようだ。


ドアが開かれ、見るからに一般の兵士ではない強面の中年が姿を現した。

身なりも他の兵士よりは良い装備をしていることから隊長やそれなりの役職であることも読み取れた。


「…お前がアダムか?」


「はぁ…そうですが…?」


「…拘束させてもらう。」


その言葉と同時にこの狭い小屋に3人も4人も入ってくる。

いや、狭い!狭いって!

そして私とハチに掛けられる手錠。


「大人しくしていれば悪いようにはしない。連れていけ!」


一応、この街で犯罪を犯したことは無い…だって入ってないしね。

私を連行している兵士のレベルも大したことは無いし力づくで突破も可能だ。

しかし、当初の目的は街に入っての情報収取だ…ここで事を荒立てて入れなくなるのは非常にまずい。

誤解もそのうち解けるだろうしね。


"ハチ、とりあえずそのまま抵抗するなよ"


"面倒な…"


いざとなれば『転移』で逃げることも出来るし、隠蔽魔法で姿を消すことも出来る。

今はおとなしく流れに身を任せよう。



ドナドナドナドナド~ナ~

無実の子羊は売られて行くよ~

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