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ゲームのGMと思った? 残念!異世界管理人でした!!  作者: 黒野されな
3章 より良い生活を目指して
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ちょっとお話しましょうか+スクロール作成

私がイヴという名前を使ったのはヴァルキリーシリーズという装備をしていたからであり、別に女性になっていたという訳ではない。

誤解を招くような恰好をしていたことはこちらの非だが、私は自身で女性だとは言っていない(キリッ

と、こんな他愛もない話をする為に来たんじゃない。


「今日の本題なのですが…」


チラッとメリーベル嬢を見ると公爵は意をくんでくれた様で「ここからは込み入った話だ」と静かに退室を促してくれた。


「それではアダム様、次の機会にまたお話させてください♪」


「ええ、楽しみにしています。」



公爵は目頭を押さえ、呻くように一言。


「アダム様は…娘をどう思われますか? 妻に似て器量も良く…」


「え?」


「あ…いえ、何でも…聞かなかった事にしていただければ…」


「はぁ……あー、今日来た本題はですね…」




かくかくしかじか

まるまるうまうま




「『約定のスクロール』を制作したいと…」


「スクロール自体はこちらで用意しますので文面の考案と記入をお願いしたいのです。」


「…失礼ですが、込める魔法によっては術者も選ばなければなりませんが、何を込めるのでしょう?」


「『沈黙』を予定しています。もし、見つからない場合は私が込めます。」


「文面の草案などは?」


「諸事情によりありません、私の発言をもとに起こしてもらえれば…」


「なるほど」と、公爵は呼び鈴を鳴らし執事を呼ぶ。

既に書類作成の道具を携えているとかこの人らどんだけー…

「どうぞ」と促されたので考えていた内容をべらべらと喋る。


内容は主にこんな感じ。

1、私が貴方を救う代わりに神像に対する祈りを求める。

2、祈りは最低2日に1度として、これを守ることを相手に求める。

3、この約定を2度忘れると『沈黙』が発動する。

4、『沈黙』は祈りによって解消される。

5、祈りはその生涯を終えるまで続く。

6、個人の信仰を捨てさせるものでは無い。


一応最低限の条件や解除方法、有効期限と他の神様への信仰を捨てなくていいよ…ってこんな喋り言葉の文言が綺麗な契約書になるはず…はい、知ってた。

この家の執事は超有能だってね。


「さすが公爵家の執事さん、見事なものです。」


「お褒め頂き、恐縮です。」


「文面は問題ないと思いますのでこのまま量産をお願いします。とりあえず100部程。」


「畏まりました、2時間ほど頂ければご用意致します。」


アイテムボックスから白紙の『約定のスクロール』をばさっと出す。

これ、コピー機があれば楽だろうなぁ…。


「それではコーウェルさん、報酬としていかほどお支払いすればよろいいですか?」


「いやいやいや…妻と娘を救ってもらったお礼も満足に出来ていない上にあの指輪…これ以上は受け取れません。」


「コーウェルさん、世の中は持ちつ持たれつ、支え合いだと私は考えています。私はあの元奴隷達の家と食料が必要だった…それに対し指輪を対価と考えた。

指輪が貴方にとってはどれほどの価値がある物なのかは分かりません。もしかしたら不足なのでは…と今でも思う所はあります。」


コーウェルさんは静かに耳を傾けてくれている。

執事はいつの間にかスクロールと一緒に姿を消していた。


「価値というのはすぐにひっくり返るものです。例えば耐え難い空腹ならリンゴ1個に金貨1枚を付ける人も中にはいるかもしれません。

例えば…ですが私が誰かを助け、報酬としてもらったのが花一輪でも私は喜んで受け取りますし、これで十分と納得もするでしょう。」


とりあえず思いついた事をまくしたててみる。

支え合いだ、とか言いつつ報酬の話とか破綻してない?


「失われた魔法の指輪…一度限りとはいえその効果を知れば王族に貴族…金に糸目は付けないでしょう。それが邸宅の一部の借用と金貨数枚の食費で釣り合うとは…何とも正に神の価値観ですかな。」


はっはっはと笑いつつ指に嵌めた『転移の指輪』を見る。


「神かどうかはともかく、私にとってはその指輪にそれほどの価値は無いのですよ。」


「分かりました…それではスクロールの報酬として後日、娘とお茶でもしていただけますかな?」


はっはっは…これは1本とられた。




公爵は執務の続きという事で1時間ほど前に退席した。

応接室に時計があるわけではないがきっかり最初から2時間後にノックされる。

もう優秀さに驚かないぞ。


「お待たせ致しました。記入済みのスクロール100部でございます。」


お礼と一緒に100枚の束を受け取る。

後はこれに『沈黙』の魔法を込めるだけだ。

心ばかりのお礼としてお菓子の詰め合わせを渡しておく。


「メリーベル嬢によろしく伝えてください。あ、お菓子はみんなで分けてくださいね。」


「承知致しました。」


最後まで恭しく対応してくれた。





― ― ― ― ― ― 




我が家に帰ると出迎えてくれたのは間延びした声。


「帰ったか…飯を頼むぞ~」


あの公爵には超有能な執事、私には食欲の化身…日頃の行い?地道な積み重ね?

快適な生活の為に執事を雇う事を目標に入れよう!


…管理してもらうような予定は今のところ無いけどね。


「ハァ……出しておくからテキトーに食べなさい。」


私はこれから100枚のスクロールとの死闘があるんだから…




チャララッチャッチャチャ(3分クッ〇ング

はい、今日作りますのは『約定のスクロール:祈りは沈黙の香り』で~す。

用意するものはこちら!


約定のスクロール   : 1枚

『沈黙』の魔法    : 適量


以上で~す。

それではさっそく始めましょう。


1枚のスクロールを机に置いて、『沈黙』の魔法を選択してスクロールを選択しましょう。

そしたら魔法を使用します。


すると…?


はい、スクロールがぼやっと発光しましたね?


これで完成です!


ではまた来週~





1枚作るのに約20秒…効率を全く落とさずにやって2000秒…始めなきゃ終わらない。

さっさと取り掛かろう。


『沈黙』『沈黙』『沈黙』『沈黙』『沈黙』『沈黙』『沈黙』『沈黙』…



「…モグモグ…随分と非効率なことをしておるな?」ゲプッ


「…代わってくれるのか?」


「そんな面倒な事はしたくもない、範囲指定を付ければよかろうに。」


たはー…それもそうだ。

何故私はもっと楽に仕事をしようとしなかったんだ…。


ここで念を押しておくが『楽に仕事をする』と『手を抜く』は別の事なのではき違えないように。


例)10キロの重りを10個運ばなければなりません。期限:1時間

手で1個ずつ運び1時間掛けるのは『手を抜く』、台車等を使い30分掛けずに終わらせるのが『楽に仕事をする』だ。

『楽に仕事をする』ってのは自分が今やっている事をいかに改善して安全に、効率的に、低コストで終わらせるかという事だ。

何でもかんでも汗をかかなきゃ仕事じゃない!とかいう人は頭脳労働、書類労働の苦労を少しは知ればいいと思う。


おっと、話が脱線してしまいましたね。


「"範囲指定追加+沈黙"」


あら、残っていた束が一瞬で終わりましたよ。

やっぱり勉強でも仕事でも効率化という言葉は常に付きまとうからね。

今までの仕事が効率化されて時間が空いたからといって新しい仕事をねじ込まないでくださいお願いします…。


あ、評価やブックマークはいつでもお待ちしております。


次の更新は3/5の予定です。

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