おはようと次の目標
爽やかな青空、窓から入る陽光、温かい布団の抱擁に微睡ながらもう少し…もう少しと理性を押し込める。
「いい加減に起きろ!我は腹が減ったぞ!!」
ここに口を出してくる奴が居なければまだ惰眠を貪って居られただろう。
しかし、私は『寝ていた』のだ。
その事実が私を微睡の沼から引きずり上げる。
「…そうか…寝られたのか…」
仰向けになり、寝られた幸福感とよく寝たという充実感に身を浸す。
「丸々1日も寝おって…飯か菓子を出せ!はらへったー!!!」
!?
寝過ごして遅刻確定を確信した時のような衝撃。
誰しも一度は経験がある…かもしれない。
ヤバイと感じ血の気が引くような感覚だ。
といっても今の私に遅刻という概念は無いのだが、それでも丸々1日も寝ていたというのはもはや気絶というレベルでは無かろうか。
こちらの世界に生まれたあの日からカウントして…約4日ほどだろうか。
人間では3日貫徹…3日間丸々寝なければ幻覚や妄想が発生すると以前調べたことがあった。
耐性により疲れない、眠らないとなっていてもこれは『感じない』だけでは無いか…?
今回の爆睡は今までの疲労の反動と仮説を立て、これからは一定期間毎に蓄積された疲れを解放させないといずれどこかで爆発しかねない。
「めしー!菓子ー!!」
あー、うるさい。
ハチにから揚げ弁当とお菓子を出して黙らせる。
朝かからあげ弁当は多少重いだろうがドラゴンなら大丈夫だろう(偏見
…私も朝食にしよう、今日はホットドッグにパンケーキ、ミネラルウォーター。
っと、疲れの爆発も怖いがファンタジー世界での耐性無しで死んでしまうのも怖いから戻しておかないとな…今後のフラグじゃないよ?
食後のコーヒーブレイク中に昨日…正確には2日前思いついた策をハチに相談してみる。
「この世界に言語っていくつもあるのか?」
「ほぼ1つだぞ、違うのは悪魔族とかそもそも言葉を持たない種族くらいだな」
「じゃあ何とかなりそうだな…あとは魔法による制約を付けれるかどうかと言う所だな」
私が思いついたのは『契約書』…コーウェル公とのやり取りをまとめた誓約書を見てハッとした。
今までいちいち身分を証明しつつ救ってから報酬として祈ってもらうという事を何度も繰り返していた為、正直うんざりしていた。
その点、それを文字に起こして納得してもらえれば身分をいちいち説明せずに済む。
日本では契約は法律により守られるが、この世界には魔法や呪いというものがある…それを流用して多少強制力のある契約書を作れないか、と考えたのだ。
何故もっと速く思いつかなかったのか…
…今までこっちで活字に触れる機会がほぼなかったじゃないか。
現時点での不足しているものは、
1、契約内容を文面に起こす、法に詳しい人。
2、契約書に魔法か呪いを付与する魔法等に詳しい人と実行可能な人
3、契約不履行時の罰の考案
4、契約書の量産
5、可能性として言語を持たない種族への契約書の考案
このぐらいだろうか…。
「う~ん…ちょっと草案を起こしてみるか…」
結論、駄目だった。
何がダメって自分で書くと全て日本語になってしまってハチに「何だその落書きは」とまで言われてしまった…。
ならば…
「ハチ、ちょっと私が喋ることを紙に書いてくれないか?」
「自慢じゃないが、我は意思疎通は出来るが読み書きは出来んぞ。」
ほんとに自慢じゃないよ。
これは本格的に文官と言われるような書類仕事が出来る人が欲しい。
文面に出来る人はコーウェル公に頼んでみよう、魔法防具のプレゼントもしなきゃいけないし。
魔法とか呪いについては…エミエに聞けば何とかなるかな?
もしダメでも詳しい人を紹介してもらうとかやり様はある。
考案や量産もコーウェル公かエミエ、またはその伝で相談してみようか。
…こう見ると問題はそこそこあったものの良い人材、良縁に恵まれたと見ても良いのではないか?
私はより良い管理者生活の第一歩、作業の効率化に挑む。
『ユーガッメール』
その前にお仕事だ。
今日のご依頼はは何でしょうかね。
救助が1件に討伐が2件…。
「ハチ、仕事の時間だ!」
「うむ、手伝ってやるからお菓子を所望するぞ」
いつの間にやら弁当とお菓子を平らげ、まだ食べる気なのか…
おほん…俺たちの管理者生活はまだ始まったばかりだ!
打ち切りエンドではありませんよ?
超短めですがこれにて2部完!
3部は月曜日にスタート予定です。
よろしければまたおつきあいください。




