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ゲームのGMと思った? 残念!異世界管理人でした!!  作者: 黒野されな
2章 戻れない『日常』と正すべき『日常』
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これからの事を少し考える。

これからの事。


一晩寝て…実際は寝ていないがまとまらないなりに考えをまとめた。

もう元の世界には戻れない。


正直な所そんなに落ち込んだり、悲観している訳ではない。

確かに帰れないというのはショックだし、家族に別れの言葉を告げられないのは若干であるが悲しいがそこまでの事ではない。

ドライな人間と言われたことはあるがそれは自分でも分かっている。

私は3人兄弟の末っ子であり、家の事は兄貴らに任せておけばいい。

彼女が居たわけでもなし、親しい友人らは社会人になってからは疎遠になる一方だ。

趣味は精々休みの日に映画やゲームで時間を潰す程度。


それに誰しも一度は思ったことがあるだろう『ゲームの世界に入ってみたい』と。

実際には現実…ではあるが、ファンタジーの世界の話が世に溢れている日本人からすれば十二分にゲームの世界と言えるだろう。

こちらの世界のほうがよほど映画の世界だろう。


RPG定番の強くなる、という事が無いのはちょっと…というかかなり不足ではあるがこの際目を瞑る。

何せ、死んでしまったらどうなるか分からないのだから。


それに生きる為にはこちらでもサラリーマンとして『信仰』の営業もしなければならないらしい。

私には将来を悲観して足を止めている時間は無い。


『信仰』を稼ぎ、多くを救い、それを糧に更に多くを救う。


社長…いや、もう社長と呼ぶのは止めよう。

向こうの世界の管理人ヨシュアが言うには『好きに』生きて良い。

まずは弱きを助けつつ、『信仰』を安定して稼げるようにしよう。

そうしている間にこちらの世界の事も分かってくるだろう。


私はベッドから立ち上がり、気合を入れ頬を両手で叩く。

パァン!と気持ちのいい音が響く。


「吹っ切れた!いや、吹っ切った!!」


こういうのは言葉に出すのが重要だ。

私は…いや、俺はやるぞ!


「とりあえずは安定した生活だ!」


誰もいないこと良いことに朝っぱらから叫ぶ。

管理者の間は高高度に浮かんだ神殿…だ。

誰も見える者も、訪問する者も今のところは無し。


とりあえずはシャワーでも…と思ったが管理者の間には何もない。

そうだ、ここは自分のアパートではない。


無いなら出せばいいのではないか?

幸いなことにアイテムボックスにはありとあらゆるこの世界で通用するアイテムが揃っている。


あまり大きくても手が行き届かないので一軒家…いや、ログハウスで良いのではないか?

アパートも6畳1間のトイレ、風呂付だった。

一番近いイメージのログハウスをアイテムボックスから選択し置き場所を指定して出現させる。

パッと光ったと思ったら目の前に丸太をふんだんに使ったログハウスが現れる。


「おー、避暑地の別荘…というよりは豪華な山小屋…かな?」


丸太を重ね、四方を塞ぎ屋根を載せた住居。

中に入ると大きなテーブル一つに椅子4つ、奥にベッド2つ、台所に…洋式トイレに小さめの風呂。

食器やら調理器具も一通り揃っている。

何処から引いているのか分からないがちゃんと水もお湯も出たし、電気も付いた。

ファンタジーログハウスってことで。


「うん、1人暮らしなら十分すぎるほどだ。」


どうせならあの救済メール受信用の端末も室内に持ってこよう。

デスクワークは屋内で…というか屋外でやる輩はいるのか?




― ― ― ― ― ― ― ― 




昨夜は村で埃まみれになったり、そのままベッドで一晩ごろごろしていたが体に汚れ、汗等があるようには感じなかった…この体は代謝がないのだろうか?

それでもシャワーを浴びないと何とも気持ちが悪いのでさっそくシャワールームを試してみる。

ぽぽぽーんと真っ裸になり、シャワールームへ突貫!


今更…本当に今更ではあるが、鏡で自分のアバター…この世界での私の体を初めて見た。

イメージするならローマ彫刻、今風に言うなら細マッチョだろうか。

身長は170cm程度、顔は男女どちらでも通用するような中性的な顔立ちで髪はさらさらの銀髪が肩甲骨付近まで伸びている。

それに…股間には顔に似合わない凶悪な息子が付いている。


「…これ…元の俺より全然デカい…」


これでノーマルなら戦闘状態はどのくらいになるのだろうか…

向こうの世界では使うことは…まぁ、あまり言及はしないが『それほど』使う機会は無かった。

こちらで使う機会はあるのだろうか?



やはり体を洗うとすっきりとした心持になる。

命の洗濯とはよく言ったものだ。

バスローブに身を包み、インスタントだが、コーヒーセットを用意して一息入れる。


「出勤と無縁の優雅な朝…ってのは一度は夢見た光景だよなぁ…」


コーヒーをすすりながらアイテムボックスの中を確認する。

中にはいろいろ…本当に様々なものが入っていた。

武器や防具はもちろんのこと、今飲んでるコーヒー、紅茶、緑茶やケーキやポテチ等の嗜好品からこのバスローブを含めた衣服、スリッパ…工具、家まで入っているのだからアイテムボックス=アウトレットモールというイメージを持ってもらえれば良いだろう。

さすがにアウトレットに城や船舶、魔法は売ってないだろうが。


あっちの世界のものがそのまま手に入るというのは非常にやり易い。

やりようによってはこの例えば香辛料…昔は黄金と交換されたというぐらいだ。

世界観から察するにこちらでも取引の対象になるかもしれない。

だが、金は無制限に持っているから売りたい訳ではない。


では何と取引するのか。

信用と情報、これに尽きる。


只より高い物はない。

高価な、または希少なものを餌に恩を売ったり、情報を得るのには使えるだろう。


メロンパン、あんぱんをブラックコーヒーで流し込みつつ今後の計画を練る。

まずこの世界の情報を集めるのが先決だ。

幸いなことに世界マップはあるが、個別の国家や町、地名…これらが空白の地図だ。

救済の時にはメールで場所が分かったから転移が出来たが、何も知らないところにそのまま転移するというのは出来ないらしい。

ということで転移できる場所の増加が最初の目標だ。

具体的な策としては、最初に行ったリリアナらの村、エルフを助けた密林、ゴブリンの巣…これらを起点に行動範囲を増やすべきだ。


その中でも…リリアナらの村の村長、ゲイツが「近くのオースの町まで5日」とか言っていたような事を思い出す。

馬車やら徒歩で、という単語も出ていることから交通事情は馬が上位に来るレベルでそれ以上の交通手段はあまり発展していないと考えるのが妥当だろう。

仮に空を飛ぶ魔法であったり、馬の代わりに召喚獣的なものを使えればかなりの短縮に繋がるはず。

今日はまだ救済メールは入っていない、ならば今のうちに少しでも行動範囲を広げるべく行動を開始しよう!


『ユーガッメール』


…出鼻をくじかれた。


"追伸3"


「どんだけ言い忘れあるんだよ!」


もちろん誰も突っ込んでくれない。



― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 



件名:追伸3



いやー、本当に申し訳ない。


もう1個忘れてた、てへぺろ♪…もう古い?


もうそちらでは一晩経ったと思うからもう分かると思うけど寝られなかったでしょ?

当たり前というか仕方がないんだよねぇ。

一応説明すると、いろんな耐性の中に『睡眠無効』であったり『疲労無効』ってのがあってね。

その名前の通り、疲れや眠気に襲われないっていう社畜スキルなんだ。


だからボクは24時間働ける!(ドヤァ…


それはさておき…このメールを開くと同時に改編プログラムが動くことになってるんだ。


メニューの設定の所に『耐性解除』っていうのと『神域管理』っていう項目を追加したから後で見てね。


前者は文字通り完璧な管理者の耐性を解除するための項目さ。

眠ったり疲れたり、麻痺したり毒になったり…いわゆる弱体化だね。

眠りたいならこれを使ってくれ。


もう1つが『神域管理』。

これは管理者の間とかって言ってたけど正式名称なわけでないからテキトーに付けただけの項目名だよ。

いつも昼だと寝るのも何か嫌じゃない?

たまには曇りとか雨とか雪とか月とか見たいじゃない!

ってことでそこでいじってね。


それじゃね~ノシ




― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 



うん、言いたいことはそこそこあるが寝られるようになったことは感謝しよう。

それに管理者の間の天気や時間を変えられるようになったのも非常に助かる。


ただ、読むたびにダダ滑りな文章だけはちょっと勘弁してほしい。


しかし…この耐性解除は一歩間違うとかなり危ないことになりそうだ。

寝て、起きて、耐性を戻さずに例えば戦闘を行って…というのが予想できてしまう。

忘れないような工夫を考えなければ…。


出鼻をくじかれたが…行動範囲を広げるべくオースの町とやらに向かってみよう!

書いてみて

   初めてわかる

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