出逢わなければ
出逢わなければよかったのかな
そうすればこんな
何かに取り憑かれたように
考え続けることも
知らずにいられたのかな
頭の中がそれだけでいっぱいで
しなきゃならないことも手につかないくらい
これだけを 考え続けるなんて
出逢わなければよかったのかな
まるで 麻薬のように
溺れてしまっているのがわかる
出逢わなければ
手に取ってしまわなければ
こんな思いをせずにすんだだろうに
口元が緩む
おかしくなりそうだ
出逢わなければ よかったのに
こんなふうに
頭を 心を 耳を 目を 口を
支配されてしまうくらいなら
甘美な毒に 縋り付いてしまうくらいなら
それなしじゃ生きられないなんて
そんなことを考えるくらいなら
出逢わなければよかった
だけど
出逢わなければよかったと
そう思ってしまうことを
否定してしまうくらいなら
出逢えてよかった
そう言えるくらいに
魅力的なものだ
『出逢わなければ』のご高覧、ありがとうございました。
この詩を書いたのは、二〇一七年四月十日のこと――のようです。今日が九月二十一日ですから、約半年ほど放置していたことになりますね。例によって、投稿しようかどうしようかを悩んでいた所為ですが。
この詩は、某フィギュアスケートアニメを見ていて書いたものです。最初は、そのアニメを見るつもりなんてありませんでした。けれど、声優総選挙か何かの番組で一瞬取り上げられているのを見て、姉とも相談して(“相談”というほど話し合ってはいなかったはずですが)、「まぁ、まずは見てみようか」なんて軽い気持ちで、近所の大手レンタルビデオショップでDVDを借りたのです。そしたらまぁ、ハマってしまって、スマートフォンにオープニングとエンディングの両方入れるわ、サウンドトラックのCD買うわ、グッズは買うわ――な状態になりまして。制作会社の思うつぼな気がします。
そのアニメの第八話まで一度見てから、数ヶ月の空白期間を挟んで、この夏休みを利用して第一話から見直し、最近ようやく最終第十二話まで見ることができました。この詩を書いたのは、第八話まで一度見た時期です。あの頃、この作品に夢中で、本当にこれだけしか考えられないくらいでした。それが、全話見終わった今は何といいましょうか……終わってしまったという虚脱感みたいなのが、私の中にあります。それだけ、今も夢中なのかもしれません。
出逢ってしまったという、どこか後悔に似た思いは今もあります。それでも、この作品に出逢えたことを、喜んでいる私もいるのです。矛盾している思いでしょうが、どちらも私の気持ちです。
長くなりましたがこのへんで。
ご高覧、ありがとうございました。