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唐突だが、俺は今物凄いことに出くわしている。
周りを見れば木木木木木木木の木だらけ、まさにここは森だ。
自分の服装を見てみる、うん……寝間着だ。
俺は頭を抱えた…………ベッドの上で…
時間は遡り数時間前
俺はまさに普通と言う言葉を体現したような人間だ。顔はブサイク…と言うわけでもないし、ましてやイケメンでもない。運動神経も良くも悪くもなく普通だ。成績も同じく普通、まさに普通という言葉は俺の為にあるんじゃないだろうか?と思うほどの普通さが俺『藤堂 蓮』だ。
だからと言って別段それが嫌だとは思わない、逆に普通っていいんじゃね?と思うほどだ。
まぁ、そんな俺にも1つくらいは人と違うものがあり、それが原因でこの時は凄く悩んでいた……
それは俺に関してではなく俺の周りに対してなのだが、俺には二人の幼馴染みが居る、一人は『霧崎 魁斗』と言って隠れイケメンながら俺と同じ『普通』を装っている変わり者だ。
もう一人は『橘 美玲』と言って超絶美少女なのだが……こいつが今俺が悩んでいる原因だ。
まぁようするに俺は美玲が好きな訳なんだが、学校一のイケメンで魁斗の友達でもある『一ノ宮 勇真』って奴がどうやら美玲の事が気になるらしい。
それを今日、魁斗から聞かされて俺は今猛烈に悩んでいるのだ。
まぁ、答えは決まっているのだが、俺は明日……美玲に告白する。
告白しないで後悔するよりも、して後悔する方を選ぶ……後悔すること前提の考え方に今落ち込んでいるが。
しかし、そうと決まれば落ち込んでいる時間はない!!
「告白は明日にするのだ、今からでも色々と考えていかないとな」
などと、ベッドに潜りながら考えて居ると次第に睡魔が襲ってきて、俺の意識は遠退いていく。
これが、俺があの世界での最期の記憶だ。
不思議な夢を見た
辺り一面灰色の世界の中に俺とそいつは立っていた
【我の■■れよ】
全身にモヤがかかって見えない。
【我が■■■え、我■■き■て】
所々でノイズが走り聞き取れないが、その声には妙な懐かしさが湧いてくる。
【我■始■りの■■り】
男とも女ともわからない、だがその声は綺麗に透き通っていた。
【■は■わ■の■なり】
しかし、その声は次第に1つの感情を現しているのがわかってくる。
【■は…………】
その感情は…………
【■■■■■■】
激しい憎悪だ
「……はっ!!」
俺は慌てて飛び起きた。
強く握り閉めていた手は白く変色していて、体は小刻みに震え冷や汗が流れる。
「なんだったんだ?今のは……」
夢の内容は覚えていない、ただ1つわかることは今俺は激しく恐怖している。
とにかく、まずは心を落ち着かせる為に数回深呼吸して周りを見れば、そこは森の中だった……