心の中のもやもや
自分の気持ちを抑えて彼に並ぼうと必死なんだ…悲しいだろうな。
すると雅さんが腕に絡み付いてきた。
『美月に何されるか怖かったー!』
私は思わず雅さんを目を細めて眺めていた。
なんだ…この子犬みたいな男は…!!!
同じ歳で同じ音楽関係でも精神的な強さとか違うのか…片思いは辛いな。
私はくるっと雅さんを見て頭を撫でた。
『雅さん、帰りましょ?お待たせしました』
『ハニーの為だから気にしないで!帰ろうかね』
車の中で今日あった事を色々話をした。
周りに変な事を言われた事。いきなり唄わされた事。ダンスが全然出来なかった事。
本当は凹んでいるはずなのに雅さんと話をしていると笑いが起き楽しい帰宅時間を楽しんだ。
雅さんは横目で私に話す。
『やっぱり、ハニーが居ると嬉しいな…』
私は笑ったけど、心の中では美月さんにも同じ事を言うんだろうか?
美月さんの気持ちを知りつつ何故避けたがるのかな…
私は笑いながら横目で雅さんを見て考えた。
美月さんに同じ事いうのかな…?
相手の気持ちを知りながら何故避けたがるのかな…やっぱり二人の間で何かがあったのか?
家に着きリビングに行くと真人さんが私を待っていた。
手招きしていたので直人さんの前に座ると頭を下げられた。
―― へ? ――
『今週の日曜日に親に挨拶に行く事になったからよろしく。大丈夫?家では彼女のつもりでお願いします』
そんな…頭下げなくても良いのに。
笑顔でそれ位良いですよ!と言いながら水を飲んだ。
っは!ダンスをするって事はダイエットにもなるんだわ…!いいじゃない!
んなつまらない事を考えていると、仁美さんがリビングに私の洗濯物を置いておいたと叫んでいる。
取りに行くと下着が一番上に置いてあった。
―― っは!男がそこにいるのに!!! ――
急いで取りに行くと雅さんがブラを取った。
『雅さんの変態!!!!!!』
彼は笑いながら面白がっている。
すぐに返してくれたが…階段の下に移動して…上の皆に聞こえるように叫んだ。
『ハニーってバストDなんだ!!!!!!』
はあああああ?!
この変態雅~!っと殴ろうと近づくと逃げたので追いかけた。
―― ハニー? そんなに怒らないでよー! ――
『セクハラですよ!!!!』
追いかけっこは私の負け。もう疲れた。
部屋に戻りベットに倒れこむ。
…美月さんの事、ちゃんと話さないと。
あんなに一途に想っているのに拒否するなんて…見てられない。
むしろ応援したいと思った。
夕飯を食べながら同じAクラスに美月さんが居る事を告げると皆が驚いていた。
『あいつ、Aクラスまで上がってきたのか…凄いな』
皆は言っているのに対して、雅さんはというと…
『そうか? 運が良かっただけじゃないのか?』と冷たく言い放つ。
…?
一輝さんも私に対してこんな感じだ…。
もしかして、照れてるの?
一輝さんを例として…私に向き合えなんて言えるんだろうか?
ううん、言えるわけがない。
でも、私は一輝さんに嫌われてるんだし…二人は性格も違う。
話すだけ話すか!
私は食後に珈琲を煎れた。
『雅さん?ちょっとお話があるんですけど、珈琲煎れたので屋上にでも行きませんか?』
至って真面目な目で雅さんを見つめた。彼は私の目を見て首を傾げている。
『ハニー?真剣な顔してどうしたの?屋上は寒いから部屋にしない?』
雅さんが話終わる前に一輝さんが話を割った。
『真剣な話なんだろ、行けよ雅』
おう、一輝さんも言ってくれるな~。
仁美さんはといえば、何を勘違いしているのか。
何かワクワクしている。まさか、私が雅さんに告白するとでも…?
『先に屋上に行きますね』