イルミネーションのお台場
お台場までに一時間の間、私と一輝さんの距離が少し近くなったように感じた。
所々の名所をおしえてくれているうちにベイブリッジが見えてきた。
――わぁ・・・ 凄く綺麗・・・ こんな綺麗なベイブリッジを見たのは初めて・・・――
どこからともなく出てきた私の言葉にクスクスと笑い声が聞こえてくる。
――お台場に着いたら、もっときれいな夜景が見えるよ――
私の胸は躍る。
私は楽しみで一杯の笑顔を一輝さんに送った。
今日は来てよかった。
そして幸せだ。
駐車場に着き、一輝さんが口を開いた。
――目的地に着いたよ。行こうか?――
初めての場所だから少し緊張していた。
車を降りると一輝さんが私の後ろを指差している。
――ほら、観覧車だよ――
私は急いで後ろを振り向いた。そこには猫をイメージしたイルミネーションの観覧車があった。
驚きと感動で口を開けて見ていると後ろから声がする。
――乗る前から、そんなに騒いだら疲れるよ?それに乗るのが目的なんだからさ?――
でも、私は凄く嬉しく想い一輝さんの両手を握り嬉しいし楽しいと伝えると一輝さんは微笑んでくれた。ふと、手を握っていた事に気づき恥ずかしくなって手を話した。
一輝さんは落ち着いて行こうと先に歩き出した。
私は呆れられたのかと想い・・・後を追う。
お台場には色々な施設があった。
某テレビ局も綺麗にライトアップされており思わず携帯で写真を撮る。
一輝さんは私が後ろに居ないのに気づいたのか遠くから声をかけてきた。
――本当に楽しそうだね。 まだまだこれからだよ――
観覧車のある場所はカップルや友達同士が多く、人で溢れかえっていた。
係の人が大きな声で観覧車の待ち時間が1時間と叫んでいる。
人の波が激しく一輝さんと私の距離もどんどん遠くなっていく。
――あっ・・・――
一輝さんが私の手を掴んでくれた。思わず一輝さんに身を寄せる
――1時間か・・・どうする? それに隣に居ないと迷子になる――
あ・・・気づいたら体が触れている。また胸がドキドキ・・・
でも観覧車を観ただけで満足してしまったし・・・ 戸惑って返事が出来なかった。
一輝さんはそんな私に気を使ってくれたのか・・・?
――今混んでるから、先にゲームセンター行こうか?――
私は頷いて近くにあるゲームセンターに向かった。
入ると広い施設なのが分かった。
しかし、イブだからなのだろうか人は多かった。
一輝さんは私にどのゲームが好きなのか聞いてきたが、元々ゲームセンターに行く機会がなかった。
聞こえるかどうかの声でよくわからないと伝えると
少し顔を近づけて近くから回っていこうと歩き出した。
そこにあったのはUFOキャッチャーだ。
一輝さんは楽しそうに欲しいものがあるか聞いてくる。
そんなに簡単に取れるものなのかな・・・?
――そんな簡単に取れるものなんですか?――
――うん。俺もぬいぐるみ好きだし、あげる人が居るからよくやるんだ――
その言葉に胸が痛む。
小声であげる相手が居るんだ・・・と呟いてしまった。