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私を取り巻く天使達  作者: mint
柚姫のすたーと
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汚された

私は四人に馴れ初めについて聞いた。

雅さんがナレーションの様に話しだした。


『元々は直人の人目惚れ。ハニーの働くお店に通っていた。それで、いつの間にか仲良くなって、クリスマスイヴに直人はデートに誘うんだ。二人でイルミネーションを見たり、観覧車に乗ったり楽しんだそうだ。それからお互い惹かれあい、ハニーも作詞家を目指しているから一緒に住むことになった…』


あのー… 

物凄く、私と一輝さんの出逢いとそっくりなんですけど…

わざわざネタがなくても私の思い出をネタにしなくったって良いんじゃん。


ふと、二人で撮った写真を思い出した。

大切な思い出を…さらけ出され踏みにじられた感覚に陥った。

私はふと立ち上がり…一輝さんの前に立って頬を叩いた。



―― ビシッ ――



『最低!』



皆は驚いていたけど、私と一輝さんは特に驚きはしなかった。そりゃ、自分達の出逢いなのだから…。諦めて私はソファーに座り続きを話しだした。

勿論、直人さんの腕に手を組み肩に頭を乗せ…感情を込めて話をした。



『直人さんは…私をイルミネーションで見つけたんです。以前にイルミネーションの中に居る君を見つけたけど、あまりにも綺麗で声をかけれなかったと…。それで私の雑貨屋で欲しがっていたプレゼントをくれたんです。イブの日は約束もしてなかったから、きっと私が来るのをずっと待っていてくれたんでしょう。そこで他愛もない会話をしてデートに行くんです。私は観覧車に乗りたいと提案したら、お台場に連れてってくれました。でも人が多くて、観覧車の中では横には座れなかった。他のカップルが話してる様に私も直人さんと話をしたかったけど出来なかったんです。その後は二人で海を眺めて話をしたりして、ふとみた直人さんが海と都会のイルミネーションに重なってとても素敵に思えたんです。そんな感じで恋に堕ちる』



私は直人さんの肩から首をあげてどうでしょう?と皆に聞いた。

彼以外は笑っていた。直人さんに限っては、そんなストーリを聞いたら恋に堕ちそうだと。私の心はかき乱されていた。苦笑いで答えるしかない…雅さんは小説かけるんじゃないか?と笑っている。

私は仕返しとばかりに彼を睨んだ。その後も直人さんに彼女が居るから、挨拶に連れて行くと話をしたら?と楽しく会話をした。




帰りの支度をしながら心の中で考えた。

…初めに思い出を踏みにじったのは彼…でも私も彼の思い出を踏みにじった。

もう…分かんない。

仕返しをしただけ…汚されたから汚してやっただけ…

急に悲しくなり、どっと涙が溢れてきた。皆は驚いてどうしたの?と聞いてきてくれるが、自分も一輝さんを傷つけたんだ…



皆には心配を掛けさせたくない。


『初めての事ばかりで、しかも社長の前で唄って緊張が今溶けただけです』



すっと幸樹さんが耳元で一言囁いた。


【これ以上、傷つくなって言ったよな】


幸樹さんにはバレてる…

一輝さんが先に車に乗って待っていた。誰も何も言わずに家に向かって出発した。

車の中では、先ほどの件が作り物だと思っているであろう雅さんが話しかけてくる。



『ハニー?明日、送るっていったけど何時からレッスンなの?』



私はふと雅さんに聞き返した。


『雅さん、会社までは電車でどう行ったらいいんですかね?時間は何れ位かかりますか?』


雅さんは私に泣きついてきた。…この人は一体なんなんだ?


『車で送るって約束じゃーん!会社には電車で一時間も掛かるんだから!』


流れる外の景色を見ながらふと口から言葉が出た。

直人さん…上手くいきますかね?

幸樹さんが助手席から此方を向いた。


『あんな思い出作り話にもならない。でも?両人がそれをネタにするんだったらいいんじゃないかな?』


『ね?』と一輝さんを見ているが私には一輝さんを見る勇気はなかった。

雅さんがどうゆうこと?と説明を求めているが、幸樹さんは冷たくなんでもないよと言い返していた。




『仲間を助けられるなら、私は大丈夫です。その人の為に使えるのですから…。雅さん?明日から私、頑張りますよ?』



雅さんをみると頬を膨らませている。そりゃ聞きたいよね…でも教えられないんだ。ごめんね…

私は頬を膨らませて真似をした。息ができなくなり、笑ってしまった。

彼は皆に向かってなのか?俺はどうせ鈍感だよ!とイジけている。




『それが良いところじゃないですか?場を明るくさせれるし、名言もくれる。一人の人間の人生を変えてしまったんですよ?それって凄い才能じゃないですか』



別に励まそうと思った訳ではない、心で思っていた事を伝えただけ。

すると不貞腐れていた顔がッパ!と明るくなり髪の毛がグチャグチャになるくらい撫でられた。



『ハニーはやっぱり純粋なんだー!』



私はふと笑顔になり


『さっきまでは純粋でした。でも私も傷つけました』


雅さんは首を傾げているものだから、頬を膨らませて笑わせた。


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