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私を取り巻く天使達  作者: mint
夢に向かって
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結婚前夜の花嫁の気分

初めて聴く生の声、一輝さんの歌声ってこんなに綺麗だっただろうか?ガラスの向こうでは真剣に唄う彼…さっき人を馬鹿にしていたとは思えない。何を考えて私の詩を唄っているのだろうか?歌詞を見ずにガラス越しの彼をずっと眺めていた。

幾度も同じ箇所を繰り返し納得のいくまで唄い続けている。本当に唄うのが好きなんだ…他の皆を見てもそう…楽器が好きなんだ。私が詩を書くように素直な気持ちで向き合っている。この人達は馬鹿にしてはイケナイ程の努力をしてきたんだと痛感した瞬間でもあった。ガラス越しの彼らとは5メートル程の距離なのに努力の差では天と地だ。



彼を見つめていると目が合う。考え事をしていたからなのか?視線が合ってもそのまま彼を見続けていた。

…というより自分が作詞した物に聞こえず圧倒される。




――坂上さん? いかがですか――




そんな声が中から聞こえてくる。

私は急に恥ずかしくなり紙で顔を隠した。

中で雅さんが笑っているのが聞こえる。

あー敵わないわ…と笑顔で頷くと皆笑っていた。

休憩になり雅さんが隣に座ってきた。



『ハニー?詩と曲に歌が重なるとこんなに素敵な物になるんだ。これが色んな人の心に届けば凄く嬉しいし、いつも曲が出来る時は鳥肌が立つ思いだよ!』



やっぱり音楽好きなんだ…

一輝さんが水を飲みながら私の前にきた。




―― アッ!! ――




『一輝さん?この次にやる曲。どうゆう事ですか?私の部屋にあったはずですよ?!』

あっさりと返事が返ってきた。



『床に落ちていた』



『本人に知らせるべきじゃ?』



『知らせても同じ結果だ 』



肩を落として溜め息をついた。

ふと幸喜さんが笑った。


『この詩嬉しいよ。こんなに喜んでくれるとは思わなかった』



雅さんも笑顔だ。私はその笑顔だけで許せてしまった。しかし真人さんは何か悩んでいる様子でみんな気付いていたようだった。



休憩が終わりレコーディング再開。

一輝さんが歌詞を見ながら一人で唄っている。ガラス越しの向こうの声がマイクを通して聞こえてくる。

俺らに書いたと想うと歌いにくいなと言いながら始まった。

午前中の歌と全く違った幸せな歌詞… 何回か唄った後に一輝さんは首を傾げた。



『柚姫?この詩はどうゆう感覚で書いたんだ?』



うーん… 

幸せに満ちて書いたんだし… 

私は紙にペンを走らせガラス越しの四人に見えるように貼り付けた。






【結婚式前夜の花嫁の感覚!!】






四人は初めポカーンとしていたが全員笑っている。



『…とりあえず、幸せな前日ってことだな?』



総まとめにされてもな~

結婚式前夜の花嫁の気分だよ~?

本当に幸せなんだからさ~

でも彼はきっと唄うだろう… そんな気がした。



出来上がった曲はCDで頂いた。

家に帰ったら仁美さんと一緒に聴く事にしよう。レコーディングに参加しているスタッフさんは皆プロで忙しいはずなのに新人の私には優しく接してくれた。



『これからの活躍を楽しみにしているよ!』



スタッフさんはルームから出ていき、部屋にはメンバーだけが残った。

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