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私を取り巻く天使達  作者: mint
出逢い
4/65

えぇ・・?!

人生初のドキドキ…




彼がフフっと笑ったのに気づき我に返った。

下を向いていると彼は私の顔を覗き込み質問をしてきた。


――お店に通ってたの… 気がつかなかったの?――


ちょっと顔が近いよ… 

気づかなかったのは事実です… 首を縦に振る。

彼はため息を付きながら笑っている。


――随分前から通っていたんだけどな。雑貨は好きだったし柚姫ちゃんの笑顔が可愛くってね――


中々、頭の中で整理が出来ない。

私は遊ばれているのかしら…?

でもクマのぬいぐるみを貰ったし… 優しいし面白い人…。

少し時間が経ってからか、彼は私の前に立ちふと彼を見上げると手を差し出してきた。


――良かったら、今夜一緒に何処かにいかない?――


突然の誘いでどう反応していいのか分からないのを察したのか…

彼は笑顔で私の手を引っ張って歩き出した。

私は必死に着いていくのがやっとで歩調が中々合わない。

彼はどんどん私に質問をしてくる。


――何処か行きたい場所はある…?――


私はこれが現実なのか夢なのか未だに分からない。

そんな時は頬をつねってみよう。


――イタっ やっぱり現実なんだ・・・――


やっぱり現実だった。

そんな私を観て彼は大笑いしている。

彼は人波をかき分けながら俺もつねろうか?と笑った。

人に頬を触られるなんて恥ずかしい・・・まして気になる男性だし…

今までに手を掴まれることもなかった…反射的に大きな声を出してしまった。


――大丈夫です!――


彼はふと立ち止まり、私の顔色を伺っているのがわかる。

――もしかして、嫌だった…?――


嫌じゃなくて、初めてだらけでどうしたら良いのか分からない・・・

そんなこと言っていいんですか…?


――あのっ… 違うんです。 デートするの初めてなので…――


彼は急に心配そうに道の脇に私を連れて行ってくれた。

掴んだ手はそのまま… ただ優しい暖かい握り方だった。


――初めてだなんて知らなかった。驚かせてごめんね… 俺でいいのかな…――


私はどう答えたらいいのかわからず…

頭を下げてこう答えてみた。


――私で宜しければよろしくお願いします…――


ふと男性を見上げると、また笑っている・・・。

私は答え方がおかしかったのか… 首をかしげると男性は安心したようにしている。


――プロポーズの返事みたいだ。 一輝かずき教えてなかったね。27だ――


プ・・・・プロポーズ?!?!?!!?!?

更に頬が染まるのが自分でわかる・・・


――ご存知の通り、坂上柚姫さかがみゆずきです。25歳です――

一輝さんは少し照れ笑いをしていた。

ふと一輝さんは私の耳元に顔を近づけ…


――まるでお見合いみたいだな――

私は遊ばれているのかどうなのか・・・下を向いてしまった。

一輝さんも下を向いている・・・。


――何処に行きたいんだっけ・・・?――


私は初めてのデート。

…テレビ?

…漫画?

…真似をすれば良いのかな?

明るく観覧車に乗りたいと告げた。

一輝さんは考えている様子だった。


――それなら、お台場に行こうか?あそこなら海の近くで観覧車あるし、ゲームセンターもある。

それに綺麗なイルミネーションもね――


私は嬉しくて頷いた。

一輝さんは車を持ってくると言うと此処で待つように言われた。

去り際に一輝さんは私の頭を優しく撫でて人波に消えていった。

私はまだ心の準備がで出来ていなかった。

まさか、突然気になる彼とデートをするなんて…


次第に街の雑踏も聞こえなくなっていた。

困ったな・・・ 聞こえるのは自分のドキドキしている鼓動だけ・・・

私は心で自分に問いかけながら脱力して歩いていた。

どんどん早くなる自分の鼓動が信じられないから… 頬が熱い。

両手を頬に当てると冷たい手でヒンヤリとする。

あんなにお店で話していたとはいえ… さっきまで名前を知らなかった彼。


突然の言葉にプレゼント… それに私をあの場所で待っていてくれた。

驚きの連続である。 

25年間生きてきて驚きのイヴだわ…と小声で呟いていた。

その時、車のクラクション音が耳に入ってきた。車は近くで止まりドアの閉まる音がした。


音の方向をぼんやり見ると一輝さんが人波を分けて私の所にきた。

心配そうな顔をしている・・・

 あぁ私はあそこで待っていてと言われていたんだった。

両方の肩に手を置く一輝さん… でも不安な心が安心していくのが分かった。


――柚姫ちゃん、どうしたの? 消えちゃったかと思ったよ…――


横をすれ違う人達は私達を横目で見ながら過ぎ去っていく。

――これは・・・ 一輝さん?心の準備が出来てなくて… 夢?――


ふと一輝さんは笑い、私を優しく助手席に乗せてくれた。

車に入ると外の雑踏が遠くに聞こえる。

本当にデートで良いの?という一輝さんの声が聞こえコクリと頷いた。


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