女の意地
ベットにうつ伏せになっていると誰かが私の背中に座った。
――うう…重い…――
『写真の中で自分が好きな写真はどれだ?』
誰ともわからないが取り敢えず言われた通りに答える。
『黒い薔薇がついたワンピースです!あれ素敵です。あれに合わせて靴も買ったし!あの写真の髪型も化粧もばっちし!』
私は自分の晴れ姿を思い出して話をした。
『…なら、あれに合うバックが必要だな』
振り向くと一輝さんと目が合った。
『あの…一輝さん…?』
私の背中に座りながら見下されている。
『なに?』
『…重いんですけど…』
一輝さんは私の背中に座っているのを忘れていたようだ。
横に座り私も横に起き上がる。
『下着姿の写真は仁美さんが無理やりって言っていたから…今回は許そう』
私は頭を上げる事が出来なかった。
『意外に似合っていた』
思わず顔を見合わせる。
――へ?――
下…ワンピースだよと頭を撫でられた。
久しぶりに頭撫でてくれたと言いながら喜ぶ。
真剣な表情の一輝さんに私は何も言えず…
『問題はこれだ』
私の手を掴んだ。
『痛いっ』
『あ、すまない…柚姫が口をわらないと誰かに文句言えないんだよな』
私は優子さんの一件は言わないつもりだ。
『大事な手に痣つくって…』
『馴れない靴で滑ったんですよ。馬鹿ですよね…』
あはは…と苦笑いするしかった。
一輝さんは私の肩に手を回し耳元で馬鹿柚姫!と言った。
『女にも意地があるんです』
これでもか?と一輝さんはキスをして部屋を出て行った。
あの女の事で一輝さんに泣きつきたくない。それに二人して深い関係ってなによ!
私を馬鹿にしているの?腹が立って泣きたくなる。
寂しく、クマの置物が私をみている…
あなたの御主人様は何を考えているの?と話しかけるが、勿論返事なんかない。
聞こえないだけかな?
そんな事を考えていたら…昔の様にノートに詩を沢山書いていた。
ただ最後に
『相手が誰だろうと、憎むのは悪、好きになるのは善』
気付いたらノートを抱えてベットで眠っていた。