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私を取り巻く天使達  作者: mint
Crystal Roseとの共同生活
29/65

バレバレの秘密の話



朝食を食べ終わり…庭に出て太陽の光を浴びる。



体を伸ばしながら太陽を見たらくしゃみが出た。



――くしゅんっ――



――ハハッ――



何処からか笑い声が聞こる。

右も左も後ろも見たけど誰もいない・・・

気のせいなのかな…?

気を取り直して、両手を広げて空を見上げた。



――アッーーーーーー!――



屋上から此方を眺めているみやびさんと目が合った。 


『今の笑い声は…雅さん…?』



雅さんは笑いながら男らしいくしゃみだと言う。

どうやら雅さんはふざけるのが好きらしい。



『馬鹿にしないでください?これでもいちを女で…グラマーなんだから!』



まるで見下されたような、屋上と庭の会話・・・

雅さんは呆れ笑いしている。



『グラマーに見えていたら…メンバーの誰かがすぐに襲ってるはずだよ』



そうですね…

貴方達の居る世界には素敵な女性が沢山いらっしゃいますよね…

そりゃ目も肥えますね…

嫌味を言い返そうとすると雅さんは真剣な眼差しで私を見つめている。



『17歳で上京って…中途半端な年だな。………何かあったから状況してきたんだろ?』



昔の事はあんまり話したくなかった。

それに話す相手も居なかったし…

でも…みやびさんには話しても良い気がする。

聞きたいか聞いてみた。

…話してごらん。そんな優しい声を掛けられた。



『息が詰まっていたんですよ。家族の中に居ても存在を認めてもらえなくて…私も…CRYSTAL ROSEクリスタルローズの皆さんみたいに大きな夢があったんですよ』――



雅さんは興味があるようだ・・・。



『せっかくだし吐き出しなよ。一人で過去を抱えても思い出して辛くなるだろ?椅子あるから、こっちで話そうよ』



そんな誘いをスルーして私はストレッチをしながら話した。



『私は将来…作詞家になりたかったんです。カメラマンにも…詩なんか山程書きましたよ。今でも家にはあります…大事な宝物です。それに…写真のコンクールで優勝したんですよ。凄いでしょ!』



笑顔で両手を広げて雅さんの居る屋上を見上げた。



雅さんは息苦しそうになんで諦めた?と小さく…そして低い声で話す。

私は庭にある椅子に腰を掛けた。



『夢を目指して上京してきたのは良かったんです。働きながらも詩も写真を撮る事も続けていました…でも、誰かに見てもらう機会も無く…その業界に縁も無かったし…腕がなかったのかな?』



笑いながら溜め息をつき、少し大きな声で話を続けた。



『正直に言うと…孤独に耐えられなくなったんです。大都会の雑踏にもみ消されたように…最後は涙を語ることしか出来なかったんです…』



私は悲しくなり下を向いた。



『ほら悲しい顔してる。まだまだ未練があるんじゃん!仁美さんもメンバーも知らない。俺しか知らないんだし再開したらいいんじゃ?此処にはCrystal Rose認められたら…俺らの曲になるかも!あ、そうすれば此処にずっと居られるじゃん!』



雅さんは面白い人だな…

必死に励まそうとしてくれているのか、はたまた本気で応援をしてくれているのか。



『一輝さんが素人の歌詞を認めてくれるでしょうか?』



雅はバツの悪そうな顔をした。


『あいつは何時でもクールだからな。そればっかりはわからない…

   でも仲良いんだろ?赤い糸。あいつがあんな歌詞を書くなんて思わなかった』



そっか…

作詞は一輝さんでも、作曲は雅さんだったんだ。



『あの歌詞…いつ出来たんですか?雅さんなら知っているんじゃ?』



興味ある?と聞かれ、うんうんと首を縦に振った。



『あいつは詳しく語らないから俺もわからない。ただ衝動で書きたくなったんじゃなかな・・・・?』



その言葉で胸がズキズキ痛む。

『やっぱり衝動なんですかね…一輝さんは優しい心の持ち主ですよ。笑顔が素敵で…でも此処に来てから冷たくてどう接したら良いのか…』



『あいつも昔は明るかったんだぜ。俺はたまに見るあいつの笑顔が好きなんだ。柚姫ちゃんもそうだろ?』



いつのまにか一輝さんの話で楽しくなっていた。

『ギャップが良いですね。冷たく接しられると辛くなるけど…たまに見せてくれる笑顔が』――



私が話終える前に雅さんは話題を変えた。

『あいつの事、好きなのか?』



私はそんな事を聞かれるとは思わなかった。

なんて言えば良いんだろう・・・


『えっと・・・その・・・』





【・・・全部聞こえてるぞ・・・】





ん?全部聞こえてる?まだ何も言ってないんだけどな・・・



みやびさ~ん、何か言いました?聞き取れなくて』



そんな雅さんの顔が物凄く曇っている・・・

ん・・・・???

何か変な事言ったかな・・・


雅さんは私にではなく誰かに声を掛けている。



『おい一輝、いつから俺らの秘密の会話を聞いてたんだよ』



はぃ? えぇ?! 一輝さんに聞かれていたの?!





【・・・くしゃみから全部丸聞こえ・・・お前らは馬鹿か・・・?】





恐る恐る一輝さんの部屋の窓を確認した。

全開に開いておりカーテンがふわりふわりと風に吹かれている。

私と雅さんは苦笑いした。



『一輝さ~ん? 今日は良いお天気ですよ~?』



わざとらしく声と掛けた。

雅さんは手を合わせ口パクでごめんと言っている。





【・・・・ますます馬鹿だ】





私と雅さんは目を合わせ家の中へ戻った。


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