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恋を諦めよう…
■ 諦めよう ■
…遊ばれていたのかと思いながらお店の裏口に出た。
そういえば今日は顔を出してくれてない…
空回りする気持ちの中でふと携帯が鳴っていた事を思い出した。
一輝さんからのメールだ。
話を聞いたばかりでメールを開くのが怖かった。
何が書いてあるんだろう…
勇気を出してメールを開いてみた。
――柚姫ちゃん昨日は有難う。よく眠れたかな? 俺は寝すぎたよ。
久々に幸せな時間を過ごせて安心したのかも。
今日は夕方から仕事だよ。お互い仕事がんばろうね 一輝――
私は手が震えていた。
有名な歌手さんで…しかも性格悪い…?
でもメールの一輝さんはこんなに優しい。
ついでに携帯で「一輝 歌手」で検索してみた。
すると検索ができなかった。
…なんでだろう?
あんなに優しい詩を書く人…性格が悪いわけが無い。
女優さんにぬいぐるみをあげているのかな?
また胸が締め付けられる… 嫉妬?
――その時店長さんが現れ、顔色悪いよ?体調悪いの?今日、早退したら?――
そんな声が聞こえず聞き直した。
店長の言葉にコクリを頷き早退することにした。