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優しい心
一輝さんは急に立ち上がり
コンビニで暖かい飲み物を買ってくると言って向かっていった。
ふと後ろ姿を眺めていると一輝さんのバックが目に入った。
そこから一冊のノートが頭を出している。
なんだろうと思いながら開いてみた。
そこには沢山の詩が書かれていた。
それに綺麗な字・・・
一つ一つの言葉に意味があり、切ない詩も楽しい詩も・・・
読み始めると本の世界に引き込まれていた。
私は夢中になって読んでいる。
一輝さんは、私が何気なくノートを読んでいることに気づき後ろの椅子で様子を伺っている。
何ページ読んだのかわからない。
でも分かったのは、一輝さんの心は優しいという事だった。
ふと我に返り、一輝さんの返りが遅いことに気づいた。
周りと見渡すと後ろで私の様子を笑顔で見ている一輝さんが居る。
――やっと気づいた? どう? 感想聞かせて?――
読んでしまった事を悪く感じた。
――すいません、つい手が伸びてしまって・・・一輝さんは詩人ですか?――
私の答えに飲み物を吹き出しそうになっている・・・
なんかおかしい事いったかな・・・
ただ一言、そうかもね・・と。