ホワイトイヴ
―― あっ・・・ ――
それは12月に珍しい雪が降ってきた。
――雪か・・・ しかもイブに。珍しいね。 この状況で、ロマンティックだな――
そんな一輝さんをみるとやはりどこか寂しそうだ。
―― 一輝さん?私は本当は家でぬいぐるみと過ごすはずだったんですよ?
ここに連れてきてもらえてすごく幸せです。
でも、一輝さんはどこか寂しそうです… 何かあったんですか?――
下を向いている一輝さんを私は下から覗き込んだ。
そんな視線に気づいたのか、観念したのかは分からないけども話をしてくれた。
――好きな仕事なのに行き詰まっていてね。
でも、柚姫ちゃんと逢って話していると安心するんだ――
そういえば、一輝さんが何の仕事をしているのかしらなかった。
聞くこともなく・・・興味がなかったわけではない。
―― 一輝さんの職業は・・・?――
一輝さんは私の頭を撫でながら、今はまだ話せない。
しいて言うならば、人を幸せにする仕事かなと・・・。
私は深く聞くつもりはなかったが、一つ聞きたいことがあった。
―― 一輝さん?今日はイブですよ?彼女と過ごさなくて良いんですか? ――
その質問に驚きを隠せない様子であった。
―― 彼女・・・? ――
私は首を縦に振る。
――はい。ぬいぐるみをあげる空いてが居るって言ってたから、彼女ですよね?
あ・・・ でも私もぬいぐるみのプレゼント貰った・・・――
馬鹿な質問をしてるんだ・・・と後悔した。
一輝さんはため息をつきながら
――いまはそっとしておこう。伝わるまでまだ時間は十分あるからね――
私は上手く整理が出来なかった。