第21話:天然パーマの手助け
第21話:天然パーマの手助け
スタンガンを出してくるのはさすがに想定外だ。
どうする……。
さすがにもう回避はできないか
──そう思った瞬間だった。
バタンッ!
背後の扉が勢いよく開く。
「七国遊人! これを使え!!!」
振り向くと、天然パーマの男がこちらに向かって何かを投げてきた。
それは手袋に似た装甲のようなもの。
誰だ? なぜ僕の名前を……?
いや、今は考えている場合じゃない。この状況を切り抜けることが先だ。
装甲を掴んだ瞬間、直感でわかった。
布ではない。金属の硬さ──手に嵌める“武装”だ。
そして投げてきた男は敵じゃない。勘だが確信できる。
なぜなら──
「僕の勘は当たる!」
「一体何を……!?」
礎斎さんが足早に迫ってくる。
急いで装甲を身につけた瞬間、機械音声が流れた。
《カセットリード フウライノガレン キドウ》
……フウライノガレン?どこかで聞いたことがある。だが今は考えている暇はない。
装甲の甲の部分にはカセットのようなものが差し込まれていた。
「左手を彼女に向けろ!」
背後の男の声に従い、左手を礎斎さんへ。
次の瞬間──装甲から強烈な風が放たれ、彼女の身体を宙へ吹き飛ばした。
ドンッ。
床に叩きつけられる音。スタンガンは手から離れ、転がって遠くへ消えた。
……風の力?フウライ、風雷……。意味はまだわからない。けれど、今はそれで十分だった。
「あなたの負けです。」
礎斎さんの前へ歩み寄る。
「……何なのそれ。反則じゃない」
「えぇ、僕もそう思いますよ」
装甲のことや、扉の前に立つ天然パーマの男の正体は後で聞くとして──。
今はこの件をきちんと終わらせなければならない。
「プレゼント事件についてですが……。あなたは悪いことをしたつもりはない。ただ、僕に知られたくない事情があった。」
「そんなこと、あなたにわかるわけ──」
「だいたい予想はつきます。勘が良いものでね。」
僕は続ける。
「能力を使って事件を起こし、自分で解決する。そうすることで周囲にアピールしていた……違いますか?」
「どうしてそう言い切れるの?」
「事件はあなたの出勤日に限られていました。ぬいぐるみを盗む、記録を改竄する。勤務中なら自分で処理しやすい。でも、そんな行動を取る理由として思い当たるメリットは、自分の評価を高めるためくらいなんです。」
「なるほど……。」
「実際、僕も情報を集めました」
奏多から現場の声を聞いてもらい、それを教えてもらった。
「メリットがあったのは、プレゼントを受け取った“フレンズ”と、評価が極端に上がった、あなた自身だけでした。フレンズは偶然居合わせただけ。なら怪しいのは、あなたしかいない」
「……ほんとに勘がいいのね。」
「まぁ、それなりには。悪事じゃないのは理解しています。ただ、能力を利益のために使うのはやめてください。知られるほど危険を呼び込みます。」
僕は一拍置き、最後に尋ねた。
「それと……正式名称を教えていただけますか。あなたの能力の」
井原と同じなら、得た時に名前が浮かんだはず。
違うなら、井原だけが特別ということになる。
「『認知不可』。別名は『コグニエイブル』一定範囲にいる人やカメラといった“認識するもの”から、私の存在が認知されなくなる能力よ。」
「……なるほど。」
だから“範囲外”からの“念写”という特殊な手段なら姿を捉えることができたわけか。
「ありがとうございます。それでは」
そう言い残し、その場を離れた。
ピンチだと思われた事態は思わぬところからの手助けにより、回避することができたのだった。




