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AUPへようこそ  作者: 谷中シノン


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第15話:謎のギフト

第15話:謎のギフト

 

 2024年7月29日(月) 天候:雨

 来園人数予測:61,000人


───遊戯世界:ゲーミングフィールド内───


 プレイ広場『Let's プレイ!』では、追加料金を払うことでさまざまなゲームを楽しむことができ、日々多くの来園者で賑わっている。


 ここでは『ボトルバーン』『スマイルビンゴ』『ダストシュート』『ローリングシューティング』『コインピース』『ストーンクラッシュ』などのゲームがあり、クリアすれば決められたぬいぐるみを景品としてもらえる。


 しかし、そんな盛り上がるプレイ広場で、ある不思議な事件が発生していた。


───ゲーミングフィールド・オフエリア事務所───


 ある社員が無線を手に、ワースタからの報告に応答していた。


 社員の名前は礎斎零華。

 現場から連日寄せられる報告に、困惑の表情を隠せない。


 「またですか!?了解。とりあえず景品はそのまま持って帰ってもらって大丈夫です」


 フレンズからの問い合わせも多く、対応に追われる日々。


 「これで合計15件目です。同一人物によるものと見て間違いないですね。」


 事務所を訪れていた本部の人間に礎斎は報告する。


 「犯人と言うのも少し違う気がするけどねぇ。」

 「確かに……難しいところですね。」

 「ゲーム現場の景品の数はどうなっているんだ?」

 「記録を管理していますが、数自体に異常はありませんでした。」


 「なるほど。不可解だな。でも、ここまで起きていても、フレンズやワースタを含め、誰一人その人物を目撃していないのは不思議で仕方ない。」


 AUPでは、数日前から各エリアで、目に見えない人物が景品を置いていくという事件が発生していた。


 事の始まりは7月11日木曜日。

 プレイ広場でゲームを楽しんでいたカップルのフレンズが、惜しくも景品を取れずに悔しがっていた。ところが、荷物を持ち帰ろうとしたところ、足元の荷物の上に、今まさにクリアして得ようとしていた景品のぬいぐるみが置かれていた。


 二人も置かれた覚えはなく、見覚えもなかったが、他に持ち主はおらず、ゲームの残数にも問題はなかったため、そのまま受け取った。


 目撃者は誰もおらず、ワースタも現場で確認はできなかった。


 この日を境に、プレイ広場での「プレゼント事件」は頻発するようになった。


 プレゼントを受け取った人を「被害者」と呼ぶのは適切か微妙だ。

 喜んで持ち帰る人もいれば、逆に気味が悪いとしてワースタに届ける人もいた。その場合は、落とし物として正式に報告を受けることになった。


 ある家族には、子ども二人のベビーカーにお揃いのぬいぐるみが置かれていたり、一人で来ていたフレンズの鞄にこっそり入れられていたりもしていた。


 報告は日に日に増え、7月29日現在で合計15件に達していた。


 プレゼントを受け取った人たちは、不可思議な体験を語っていた。


 「何かが通った気配を感じたら、急に足元に置かれていた」

 「誰かとすれ違ったと思って振り返ったら、物が後ろにあった」

 「しゃがんでいた時にふわっとした風を感じたと思ったら、背中に落ちてきた」


 誰が、どんな目的でやっているのかは不明だ。

 しかし、ここまで頻発するとなると見過ごすわけにはいかず、上層部も原因解明に動き出した。


 社員の礎斎零華は、1件目の事件からずっと対応してきたため、偶然とはいえその行動の早さや判断力が本部からも一目置かれる存在となっていた。


 そんな中、報告対応に追われる社員たちの会話を、壁の陰からこっそり聞いている人物がいた。


 天然パーマの髪に眼鏡が似合う男性で、胸には「物真」と書かれた名札を付けている。


 彼は小さく呟いた。

 「試す時がきたかな。これは。」


 礎斎零華がオフィスから出てくると、彼は自然に話しかけた。

 「すみません、礎斎さん。少しだけボールペンをお借りしても良いですか?どこかに落としてしまったみたいで。今日の作業割り当てをメモしたくて。」


 「えぇ、いいわよ。はい。」


 「ありがとうございます。」


 メモを書き終えると、すぐにボールペンを返した。



 この男性の名は物真 探流。


 彼もまた、後に七国遊人たちに影響を与える人物の一人だが、その話はもう少し後のことになる。

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