表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/32

第6話 企み

 《北海道》

 とある森林

 一台の黒いSUVが停車していた

 そして、二人の男性が、そのSUVのバックドアを開けて作業するのだった

「本当にするんですか…?」

 片方の男性が聞く

「当たり前だ…!

 その為に海外から武器も密輸したんだ…!」

 もう片方の男性は、自動小銃を取り出してながら言う

「でも奴ら、化け物ですよ…!」

「だとしてもだ…

 奴らの身体を調べたがってる者は沢山居る…

 日本は無理でも、海外には…!

 さあ、行くぞ!」

 大きなバックパックに、防弾防刃チョッキ、自動小銃を装備して、兄貴分らしき男性は言うのだった


 森林を進む二人の男性

「クマ対策とかはしてなくても良いんですか…?

 超生類ちょうせいるいじゃなくても、野生のヒグマとかに出会う可能性だって…」

 後輩らしき男性は聞く

「音を立ててみろ…!

 超生類ちょうせいるい達に存在がバレちまうだろ!

 俺達は超生類ちょうせいるいを捕獲するんだから…!」

 と兄貴分らしき男性は答える

「そうですけど…」

「怖いのなら、車に戻ってろ!

 足手まといだ…!」

 兄貴分らしき男性はそう言うのだった


 《同時刻》

 森林の奥深く

 戯れる二匹の子グマ

 すると

「遊ぶのはその辺にしときなさい…!

 人間達が来るかもしれないのだから…」

 と母グマらしき熊の超生類ちょうせいるいが言うのだった

 《タイプ:熊♀

 系統:ヒグマ

 名前:ララン(自称)》

「でもママ…

 こんな森の奥深くに人間達なんて来ないよ…!」

 子グマの一匹が地面にお尻を付けて、お座りの状態で言う

「それにいざとなれば、パパを呼べば良いんだし…!」

 ともう一匹の子グマも、同じように座って言うのだった

「確かにそうだけど…」

 ラランはそう呟く


「じゃあ、もう少し遊ぶ…!」

 と言って、二匹の子グマはまた戯れ出す

「ダメ!

 止めなさい…!」

 そう言って、ラランは子グマ達の首根っこを掴み、二匹を引き離すのだった

「…ムッ!」

「プゥ…!」

 子グマ達は拗ねた顔を見せる

「世の中、何があるか分からないの…!

 私達、超生類ちょうせいるいが誕生したみたいにね…

 警戒しとくのに、越したことはないのよ…!」

 とラランは言う

「…!?」

 次の瞬間、ラランの鼻が何かの匂いに反応する

「貴方達だけで巣穴に戻りなさい…!」

 ラランは真剣な表情になって、言うのだった


 《同時刻》

 超生類ちょうせいるいを捕まえる為に、森林に入っていた二人の男性達

「クソッ!

 一体どこに居るんだよ、超生類ちょうせいるい…!」

 兄貴分らしき男性はそう言い、飲んでいたペットボトルを地面に捨てるのだった

「これだけ探して居ないのなら、この森には居ませんよ…

 もう帰りましょう…!」

 後輩らしき男性は言う

「お前、まだビビっ…」

 と兄貴分らしき男性が、そう言おうとした瞬間であった

「!?」

 男性達は、何かの気配を背後で感じ取る

 そこに居たのは、今にも襲い掛かろうと、右腕を振り上げたラランの姿であった


 そして、ラランの右腕が勢いよく振り下ろされる

『グサッ!!』

 飛び散る鮮血

 兄貴分らしき男性は引っ掻かれた勢いで、後方へと吹き飛ばされ、転がる

 一方、後輩らしき男性は胸元から腹の辺りまでを斜めに引き裂かれるのだった

『バタン…』

 倒れる後輩らしき男性

 大量に流れ出す血液


「クソが…

 突然、現れやがって…!」

 兄貴分らしき男性は、身体を起こしながら言う

「遠くから人間臭い、匂いがしたからね…

 それに、これ以上先には行かせられない…!」

 とラランは言うのだった

「本当に言葉を喋るんだな…!

 それに、意味深な事まで…

 しかもお前、女か…!?

 これは余計に、捕獲しないとな…!!」

 兄貴分らしき男性はそう叫び、自動小銃を構え

『ババババ!!』

 連続で発砲した

 だが、ラランはその銃撃を身に受け止めながら、間合いを詰めるのだった


 そして、その勢いのまま、再び右腕を振り上げて、引っ掻きに掛かる

 しかし、右腕は空を切った

 男性はラランの懐に潜り込み、ラランの背後へと回り込んで、躱したのだ

 だが、ラランもそれを見て、左手を逆手にして、旋回するように左腕を横に掻き払う

「…クッ!」

 掻き払った左腕が男性の背中を引っ掻く

 そして、男性は引っ掻かれた勢いで、再び吹き飛ばされるのだった

『ドタドタ…』

 地面を転がる男性


 《同時刻》

「パパ!

 パパ!」

 四足歩行で慌てて帰ってきた子グマの一匹が、巣穴の洞窟に向かって叫んだ

 すると、洞窟の奥から

「どうした…?

 そんなに慌てて…」

 大人の熊の超生類ちょうせいるいが姿を現す

 《タイプ:熊♂

 系統:ヒグマ

 名前:ドズ(自称)

 備考:ラランの夫》

「ママが!

 ママが…!」

 と子グマは言うのだったが

「ラランが…?

 それも気になるが…

 アズ、ラタはどうした…?」

 とドズは聞く

「…?」

 アズは振り返ったが、そこに、もう一匹の子グマの姿は無かったのだ


 《同時刻》

 再び、ラランと男性が居る場所

「ハアハア…

 超生類ちょうせいるいが…!」

 ゆっくりと身体を起こす男性

超生類ちょうせいるいの皮膚の厚さを舐めないで…!」

 ラランは言う

 だが、そんな時であった

「ママ…!」

 木の陰から、子グマのラタが姿を現す

「…!

 ラタ!?」

 ラランは驚く

超生類ちょうせいるいの子供…!?

 …!!」

 男性は驚きを見せたが、次の瞬間、その子グマに対して銃口を向けるのだった


 しかし

『ザザザ!!』

 ラランが滑り込みながら、ラタと銃口との間に割って入る

「遣らせない…!!」

 ラランはそう言う

 だが

『バンッ!』

 銃声が森林に響く


 しかし、撃たれたのは、自動小銃では無く、左手に握り締めた別の銃であった

 その銃から放たれた弾丸はラランに命中する

 だが、その銃の弾丸はただの弾では無かった

 銃口からケーブルらしき物が伸びていて、弾丸と繋がっているのだった

 すると、次の瞬間

『バチバチ!!』

「!?」

 そのケーブルを通して、ラランに強力な電流が流れた

『ドンッ…!』

 地面にうつ伏せに倒れるラランの身体

「…ママ!」

 ラタが心配そうに叫ぶのだった


「手間を取られやがって…!」

 ラランに近付きながら、男性はそう言う

「ママから離れろ…!」

 とラタが襲い掛かるが

『ボンッ!!』

 男性は右足で、ラタを蹴り飛ばすのだった

 勢いよく地面を転がるラタ

「ラタ…」

 ラランは動けない状態で、その光景を見詰めるしか無かった

 そして

『カチッ…』

 男性はラランを見下ろすようにして、自動小銃の銃口をラランの眼球に突き立てるのだった

「皮膚は厚くても、眼球はどうだろうな…?」

 男性はそう呟く

『ババババ…!!』

 連続した銃撃音が、森林に響き渡るのだった


「ハアハア…」

 息を切らしたドズは、地面を見詰めていた

 そこには、飛び散った血痕や血溜まり、更には何かを引きずった跡はあったが、ラランの姿も、ラタの姿さえも無かったのだ

「パパ…」

 アズは、ドズを見上げて見詰める

 拳を握り締めるドズ

「人間共が…!!」

 ドズの表情は、怒りに満ち溢れているのだった

「!?」

 その表情を見たアズは、恐怖を覚えた


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ