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〔第1章 始まりはここから〕 第1話 異世界迷い込み?

 冷静になって考えれば、俺がこの奇妙な世界へ迷い込んだのは偶然じゃないのかもしれない。


 よく相対性理論やら何やらで、「時間のねじれで、どこかに穴が開いて、それにはまって…」なんて言うけど、そんな小難しい理論じゃなくて、俺が今ここにいるのは、何か理由があって、神様か何かが俺に試練を与えているんじゃないのか、とかっていろいろ考えてみるけど。


 でも、それでも俺が置かれている状況は、絶対におかしい。


 何なんだ、ここは……。



 周りは見渡す限りの草原。


 モンゴルか……?


 いや、俺は飛行機に乗った覚えはない。そもそも、パスポートなんざ持ってないんだ。


 じゃあ、日本国内って線も……。


 いやいやいや、俺の地元にこんな場所はない。絶対に。


 そういや、俺はさっきまで何をしていた?


 学校から帰っている途中だったはずだ。


 実莉みのりとコンビニで別れて……。


 で、アイス食いながら帰ってた。


 で?


 なんで、俺は今ここにいる?


 何だ、何だ、よくある異世界迷い込み系?


 バカか、俺は。


 あれはあくまで空想の世界だろうがっ!


 そんなこと、あるわけがない。


 あ、そうだ。夢だ。これは夢なんだ!


 だから、俺はこんな見覚えのない草原に……。


 いや、でも待てよ。


 俺は学校から帰っていたんだ。


 まだベッドに入った記憶はない。そもそも家に帰っていない。


 なにより、こんなに理性の働く夢があるか?


 今までの夢なんて……。


 いやいや、今はそんなこと、どうでもいい。


 とにかくこの状況を把握しなければ。



 立ち上がる。


 周りにあるものは、草のみ。


 それ以外のものは何一つない。


 上を見上げる。雲ひとつない、気持ちいい快晴だ。


 こんなに綺麗な空を見るのは、いつぶりだろう。


 ガキの頃はよく、田舎のじいちゃんの家へ遊びに行っていた。


 その空は、こんな感じだったかな。


 そこは、本当にど田舎で、コンビニもなけりゃ、近くにスーパーも、ゲーセンもなかった。


 でも、夕焼けが、特別綺麗だった。


 俺が想像していたオレンジ色の夕焼けは、そこにはなく、太陽が山へと姿を消すその瞬間、あたり一面、真っ赤に染まる。


 本当に真っ赤だった。


 こういう色を「くれない」というんだよ、とじいちゃんが教えてくれた。


 けれど、中学に入ってからは、めっきり行かなくなった。


 今更、ど田舎に行ってもすることはないし、したいこともない。


 たまに、じいちゃんが俺の家に顔を見せにくるくらいで、もう5年近く、あの夕焼けを拝んだことはない。


 「東京は、空がくもっとる。こんなじゃけん、たいそうな夕焼けも、見れんのじゃ」


 じいちゃんが初めてこっちに来た時、そう呟いて帰った。


 確かに、夕焼けは超高層ビル群に阻まれて、くっきりと丸くはない。


 だけど、ビルとビルの間から、オレンジ色の光が、顔をのぞかせるんだ。「紅」じゃないけど、それも綺麗なんだ。



 さわさわと、草が揺れ、かすれる音がする。


 不意に、昔、じいちゃんが話してくれた物語が脳裏に浮かんだ。



  この村にはの、古い古い、言い伝えがあるんじゃ。わしも、じいさんから聞いたんじゃが。


  はるか昔、この村は、「ヨウコ」と呼ばれていたんじゃ。


  昔はの、妖怪やもののけのことを「妖琥ようこ」と呼んでおった。


  この村には、その妖琥がわんさか出るっちゅう噂があって、それで「ヨウコ」と言われとったんや。


  何人もの勇気ある者が、そこへ出向いたが、何人なんぴとたりとも戻ってこんかったそうじゃ。


  人々はヨウコを恐れ、次第にだーれも、近づかんようになった。


  けどな、噂も七十五日。みーんな、ヨウコのことなんざ、さっぱり忘れてしもたんや。


  よく言うじゃろ?「災いは忘れた頃に、やってくる」て。


  ある日、近くの村で祭りをやっとたんじゃ。


  豊作を祈る祭りでの。村のみんなが、広場に集まっとった。


  そしたら、いきなり、篝火かがりびが一斉に消えたんじゃ。


  雨も降っておらんに。


  途端に、次々に人が倒れていくんじゃ。


  何の前触れもなく、ばたり、ばたりと。


  次の日、隣村の村長が見たのは、広場一面に転がった亡骸だそうだ。


  すべて、肉は食いちぎられたように無くなり、骨だけだったそうじゃ。


  隣村の人々は、妖琥ようこの祟りだと、噂した。


  その噂は、はるか遠くの地まで伝わったんじゃ。


  そうしている間にも、祭りがあるたんびに、周辺の村々は襲われていきよった。


  次第に、村は祭りをせんようになった。


  この村に夏祭りやら秋祭りがないのもそのせいじゃて言われちょる。


  みんな、毎日妖琥に怯えながら生きとった。


  けどな――。



 そこでぷつりと、何かが切れたかのように、先が思い出せなくなってしまった。


 それにしても……小2の頃に聞いた話を覚えてるなんて、俺の記憶力も捨てたもんじゃないな。


 ……って、感心してる場合じゃねぇ!


 そもそも、じいちゃんの話は今は全くもって関係ない。


 何で、こんな時に思い出すんだ。



 それより、何とかして今のこのわけの分らないところから脱出しなければ。


 ここはどこだ?


 何が起きた?


 どうして俺はこんなバカでかい草原なんかにいる?


 やっぱり、異世界迷い込み?


 じゃあ、それならなぜ俺なんだ?


 別に山田とか鈴木とかでもいいじゃないか。


 それとも、俺がここにいるのは何か因果があるからなのか?


 異世界ならば、ここはスタート地点なのか?


 ここが、俺のすべての始まりなのか……?    

はい。どーも。

最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。

こんな、半端な小説をっ……。

本当に嬉しい限りです。

これからもちょいちょい覗いてください~。

では。

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