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私は魔導図書館の司書です。~手始めにドラゴンと戦って倒してもらいます。これも魔導司書の仕事なので~  作者: 黒銘菓
魔導司書の督促は比喩無しに命がけ

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マープルさんと督促に行こう8


 ぶっちゃけた話をすると、魔導書は物凄く高い。

 それはそうだ。モノによっては一点物の強力無比な魔法が使える魔法のアイテム。高価な素材や高度な魔法が施されているものもあり、安い訳がない。

 あまりこんなことを言ってはいけないのだろうけれど、これはもしかして……。

 「これはね、あくまで事例のお話だけれど。」

 そんな風に考えていたら、マープルさんが呟いてくれた。

 「15年くらい前のことだけど、『集団で図書館利用をしたいって』言って来て、一緒に利用者登録をした人達がいて、ちょくちょく図書館に来てくれてたことがあったの。

 けれどある日、その人達が一斉に高価な本を借りて、そのまま逃げちゃったことがあったのよ。」

 「……ちなみに、どれくらいですか?」

 「2級クラスが50冊くらいだったかしら?中にはとっても危ない魔導書もあって、」

 「……えぇ……」

 50冊。それは、大ニュースになってもおかしくない。それはそれは一大事だ。

 簡単に隠せる大規模兵器が50個紛失したと思えば、その一大事度合いは、お察しだ。

 「けれど、こんな住所は存在しないって、偽物だって気付いて対応した司書さんが偽物にすり替えておいて、事なきを得たわ。

 勿論、偽物でも図書館の物を盗ってしまったから、あとでとっても厳しいお仕置きをされちゃったんだけどね。」

 「お仕置きですか……」

 一人、火を噴く強面の先輩が頭に浮かんだ。多分、その人だろう。その、お仕置きをした人は……。

 気の毒に……きっと竜に追い駆けられるような目にあったんだろう。

 「さぁ、話はこれでおしまい。

 今のはあくまで過去あったお話。一先輩魔導司書が、移動中に後輩魔導司書にした昔のお話、ね?」

 そう言ってウインクした。

 空の上、誰も聞かれていない状態だからと配慮してわざわざこんな話をしてくれた。

 つまり、この件ももしかしたら……。

 「今度も危ないと思ったら自分優先で逃げること。約束、出来るかしら?」

 「わかりました。」

 なんとなく知ってはいたけれど、思った10倍以上に物騒な仕事だな。




 《魔法都市オランドル 北壁付近》

 大都市には色々な場所がある。図書館がある様な官公庁が固まったエリア、住宅街が固まったエリア、スーパーみたいなお店が固まったエリア……。

 北壁付近はどんな場所か?

 ズバリ『シンプルに治安が悪いエリア』だ。

 どれくらいかと聞かれると、学校や親から『危ないから行くな!』と言われ、行ったら怒られるレベル。

 そこで見掛ける様なら一発不良認定されるくらいには治安が悪い。

 「ふふ、学生時代は絶対に行っちゃダメって言われてたから、こうしてお仕事で行くと悪いことを堂々とやってるみたいでドキドキするわね。」

 動きの全てが色っぽいのに時々少女の様な表情を見せてくれる、ズルい。

 「そうですね。」

 けれど、それにドキドキしている場合じゃない。

 北壁のところは繁華街になっていて、人混みの間を抜けて昼からお酒の匂いと下水の硫黄みたいな匂いが混じって漂ってきた。

 治安が悪そうには見えない。普通の繁華街みたいだ。

 だけど……

 「おっと、ゴメンよ。」

 ぶつかってくる人がいた。

 「いいえ、大丈夫ですよ。」

 ポケットに入れていたお財布を確認すると、失くなっていた。

 「はぁ、『戻って来て』。」

 お財布に仕込んであった魔法を発動する。

 ポケットの中にお財布が戻ってきた。

 これでもう5度目だ。

 「さ、行きましょう。」

 マープルさんは華麗なステップでスリを全部避けてパタパタ飛ぶ紙の鳥を追いかけていった。

 何かスポーツでもやってたのかな?


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