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黒猫のひとりごと(196話辺りからあとのお話)

 しおりちゃんには、名前をつける習慣がない。


 だから、黒猫のぬいぐるみであるわたしにも、ティッシュカバーであるワニさんにも名前がない。でも、しおりちゃんは毎晩一緒に寝てくれて、ときどきキスをしてくれるから、名前がなくても幸せで、毎日が楽しい。


 ずっとしおりちゃんといたいと思うけれど、不満がないわけじゃない。


 お昼はだいがくっていうところにしおりちゃんが行くから、ワニさんと二人きりになってしまうし、本棚で本の番をしなきゃいけないからちょっとつまらない。早くしおりちゃんに帰ってきてほしいと思うけれど、早く帰ってきてもせんだいさんがお部屋にくるともっとつまらなくなってしまう。


 だって、しおりちゃんはせんだいさんと一緒にいると、わたしに話しかけてくれなくなる。


 だけど、せんだいさんはわたしをしおりちゃんに会わせてくれた人だから、しおりちゃんとお話したり、しおりちゃんとキスすることを許してあげている。


 でも、だけど。

 せんだいさんがいても、しおりちゃんがわたしとお話してくれたらいいのにと思う。


 そうしたらつまらなくなくなるのに、しおりちゃんはそうしてくれない。


 にんげんって難しい。

 わたしにはわからないことだらけだ。


 わたしは本棚から、せんだいさんを見る。

 しおりちゃんよりも髪が長くて少し茶色くて、お洒落なせんだいさんは、今日もしおりちゃんの隣にいる。そして、楽しそうに、機嫌が悪そうなしおりちゃんに話しかけている。


 しおりちゃんはいつもそうだ。

 せんだいさんと一緒にいると、少し不機嫌で口数が少ない。でも、せんだいさんにたくさんキスをされているし、せんだいさんにたくさんキスをしている。


 二人は仲が良いのか悪いのかよくわからない。

 本当ににんげんって難しい。

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