表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/59

魔女の力の源は


 静かな夜の聖堂に、星の光が差し込む。



 フェリア中央教会の聖女ミラノ=アート。

 少し片耳の上で結いあげた茶髪が、丈の長い聖衣にさらりと流れる。


 毎日ひとりでやっている深夜の礼拝が、聖女としての一日の締めだ。

 

 ――そのはずだった。



 

「み~つけた!」

「きゃ! な、なに……?!」

 

 どん、とぶつかってきた背中の体温に振り向くと、小さな女の子が、満面の笑顔で上着を握りしめていた。

 滑らかな黒髪だが、その毛先は間違って染料に浸してしまったのかのような、赤色だ。


「はじめまして、ミラノ=アート。わたしはヒカゲ=ディシール。よろしくね!」


 閉門時間を過ぎてる教会に出現した、6歳位の女の子。

 (ゆゆゆゆうれい?!)

 でも私の上着をぎゅっと握った小さな手には、あたたかい重みがある。

 

「え、えっと、保護宿舎の子かな……?」

 教会の敷地内には身寄りのない子供達を保護している宿舎がある。

 そこから迷い込んできたんだろうか?


「ん? あはは~、びっくりした? 何を祈ってたの?」

 漆黒の可愛い瞳が、覗き込んでくる。


「えっと、皆がもっと幸せになりますようにって――――」

「うん、そのための力を、願ったんだよね。ミラノ=アート」


 

 なんだか、ふわふわする。

 セト先生が魔女の姿になってどこかへ消えてしまった時も、こんなふうに、頭がぼうっとした。

 

 ざあ、と中庭から緑の匂いが香る。

 もうすぐ冬なのに――――。


 

「さあ立って、ミラノ」

 

 小さな手に引かれてふわりと立つと、夜の聖堂にいた筈なのに、なんだか周りが明るい。

 

「あなたは、誰……?」

「言ったでしょ。ヒカゲ=ディシール。世界中から嫌われてる私の弟子の幸せまで想ってくれるあなたの、願いを叶える為に来たんだよ」


 ニッコリ笑んで、ものすごい事をいわれた気がする。


「え、な、弟子……?!」

「そ。世界を支配する魔女は、わたしのかわいい弟子。力の使い方を教えただけなのに、ここまで面白いことになるなんて思わなかったよ」

 

 ぎゅっと私の冷えた手を握ってくる、小さな手。

 初めて会ったのに、どうしてか――安心する。


「あの、じゃあ、あの人の力の源って……」

「力は、世界中にみちてるよ。何をつかんで、どう使うのか。たったそれだけの、すごく大きな違いなの。ミラノが魔物を消す力は、魔物の本質の魂を浄化するもの。それはあの子にも出来ない、すごい事なんだよ」


 ぱぁ、と目の前が白くなる。

 眩しくて暖かい光。

 魔物を消す力を使う時に滲む光と似てるけど、それよりもっと、確かな、力。




「行こう。あなたの、願いのために」

 




面白い/続きが読みたい、と感じて頂けましたら、

ページ下の【☆☆☆☆☆】から評価をお願いします!

ブックマーク、感想なども頂けると、とても嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女 魔女 奴隷 勇者 天使 歴史 ヒストリカル 破棄 魔法 超能力 天才 隠された能力 友愛 溺愛 ハッピーエンド バッドエンド 悪役 主人公 無双 ギャグ? 注意 滅亡 R15 身分差 報われる系 チート メタ発言 天才 残酷な描写あり 本屋 ファンタジー 理不尽 ダークヒーロー 秘密 政治 社会 幽霊 軍人 冒険 蛇 龍 竜 罠 謎解き 宇宙
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ