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ナルキッソスの生き方

アツシは中学の時、いつもそばにいた子を自分が引きこもりにしてしまったことを忘れることが出来ない。


その子はアツシの側にいることを最優先にする日常を送り、いつもアツシの機嫌を取りアツシの言葉通りに動きアツシの言動を忠実に真似た。


他人の言動を繰り返すことのみのその子は自分の頭で考えること無く一人ではまるで何もできなかったので、しまいにはアツシは「退屈だ」とその子を見捨てたので、その子は悲しみのあまり心を失い引きこもりになり、二度と家から出てくることはなかった。


アツシは、自分は生涯誰からも愛されず自分からも他人を愛せないような気がしている。


というのも、ある日アツシが池の水面を進む小さな虫を追いかけて水面を見ると、中にとても美しい少年がいて、もちろんそれは成長とともに日々ますます美男子になっているアツシ本人だったので、それ以来、ただ自分だけを愛するギリシャ神話のナルキッソスと同化して静かに生きていこうと考えたりしていたからだ。


ナルキッソスの名前は、精神疾患分析用語ナルシズム(narcissism)という言葉の語源なのだが…。


アツシは以前、駅のエスカレーターで怒鳴られた母子を慰めたニューハーフ風の女装男性が忘れられない。


しっかりと見たその顔面は非の打ち所の無い完璧な美しさで、身体が大きく脚も腕もがっちりしている上に野太い声でなければ恋する男だらけになりそうなほどだった。


10m程向こうから大柄で派手な美女がハイヒールで闊歩してくるのをジッと見つめる緊張感満載のアツシに、そのドラーグクインはすぐに気づいて歩く方向をアツシに向けて笑顔で進んできた。


’ワタシを見ているの?いいわよ、ワタシは見られるのが好きよ‘



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