ワタシのどこがワルいの?
紅葉の黄色と赤が混ざって綺麗な秋になった頃、カエデは大学の課題もうまくこなし、同棲している裕福な留学生ワンと京都だけでなく大阪や名古屋、東京の特別なホテルや予約の取れない料亭割烹、レストラン等に顔を覚えられるほど頻回に通いつめ、どこから見てもスマートな身のこなしになっていた。
ワンは自分の事業展開のためにも頭の良い控えめな言動を好む日本人の妻は悪くないと考え、
カエデはワン家の日本人とは比較にならない程の圧倒的な財力と権益に群がる人々を見てワンの妻の立場も悪くないし、まあ毛嫌いするような男でもないな、と考え、
卒業後に派手に結婚式をあげる予定で婚約をした。
モネは久しぶりに東京での仕事依頼を受けることにして、その打ち合わせに念入りに美しくしたドラーグクインで出かけた。
その案件は東京タワー周辺を中国資金で環境に配慮した食と衣をテーマにした巨大屋外モール事業のコンサルティングで、モネは契約金2億円でスカウトされた。
ところが、ひと月ほどして、女装のオカマは信用できないと中国サイドで最終却下となったことが知らされ、違約金三千万円が振り込まれただけでスカウトされたモネは完全にはずされてしまった。
モネの妻は麻布のシティーホテルの一室にいた。
‘唇のヒアルロン酸の量は少し少なかったかな’
’ポルノじゃあるまいし、ぷっくり過ぎはダサいわよ‘
‘君は学生の頃からその辺のセンス良いもんな’
’ねぇ鼻唇溝をみてくれない?また深くなってきたわ、注入3回目だけど軽いタイプは駄目なのかしら?‘
‘おでこのボトックスはしばらくは無しでいけそうだな’
‘あら、それは?’
’ああ、ゴルゴラインが消えないと貧相だよな‘
‘溶けにくいのを注入してあげるわ’
’きみ、右のオッパイ、少し乳首の位置が下がってきてない?‘
‘いいわよ、夫は気にしない人だから’
’彼はまだ女装してるの?‘
‘たまにね’
’初めて見たときは心臓が止まるかと思ったよ、あまりに美しくてさ‘
‘彼は30代後半の今も色気ダダ漏れセクシーよ’
’20代はやばかったよ眩しいような美貌でさ、男に見つめられてマジでイキそうになったのは初めてだったよ。あれは罪だよ、しかも京大なんてさ‘
‘で、奥さんは、こーゆーの許容してる感じ?’
’うちのは一般人だから医者の妻ってのがお気に入りなんで、何があっても別れないよ‘
‘ナースも何人いってるのよ’
’彼女達は割りきってるさ、君もそうだろ‘
‘なんだかゴルゴラインで老けたわね、今度膨らませたげるわ’
’君はまだまだ年のわりには綺麗だな‘
‘夫は20歳くらいの子ととシてるはずよ、頑張らないと’
’余裕だろ、君は美容外科のプロなんだし‘
’年下の美しい夫というプレッシャーがあるからね‘
‘じゃ、先に行くわ。銀座に寄るんでさ’
’またね‘