LGBTアライは戦争勝者の世界分割と支配への反論なのかもよ
シンガポールは数年前まではLGBTQに厳しい態度が主流だったので、モネはある意味覚悟してドラーグクインの姿で食事をしてみたのだが、
いまやピンクドット参加者も数万人になっているし、LGBT迫害はしょせん過去のイギリス占領下の法律だと捉える若い世代も増えてきていて、シンガポールでは着飾ったモネに対する態度は日本と変わらない空気感だと知ることが出来た。
実のところ元々美形のモネはゲイやクイアーではなく、‘体現することで理解者と言えるLGBTアライを示している’のであって、
ドラーグクインの時に知らない老人達から変態呼ばわりされる現実と向き合って意味を知りたかったのだ。
ところが、さすがにイスラム教徒が主流であるマレーシア側では、美しく上品にしていたモネも高級ホテル以外では嫌な視線や罵倒らしき言葉を浴びてしまった。
珍しく興奮気味にモネが話しかけてきたので、さすがにユタカも驚いた。
’マイノリティー迫害は支配者サイドがやりやすいように決めたことなんだ。ヒトは教育を受けるにつれて知識を得て、当然、支配者都合には反論していくことになるんだよ‘
‘モネさん、こんなとこでわざわざドラーグクインやらなくてもよくないですか?’
’弱い無知な者たちはいじめている側にいれば安心と思って調子に乗るんだ、それはもう万国共通だよ!‘
’モネさん綺麗だから取り巻いて罵倒だけですけど、あいつら、こっちが貧しそうで汚かったら石投げるとか殴ってきますよ、きっと‘
‘ベースの宗教が違うから、ワタシが遠慮すべきだろうけどね…’
’バリ島なら全然自由そうです‘
‘日本は、関わりたくないです、て感じが主流かな’
’モネさんゲイでもないのに‘
‘ケンゾーが辛い思いをするのは嫌なんだよ’
’ケンゾーさんこっちに来られるんですか?‘
‘ん…まだ数年は避けるべきかもしれないね…’
モネもイタズラにドラーグクインをして他人を刺激するのは、支配される側同士の諍いに過ぎず正当な反論とは違うのかもしれないと思ってしまった。
デイフライトの帰国便に搭乗する際のモネは、品良くメイクはしていたが男性の装いになっていた。