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ブルーオーシャン(新たな市場)

男性の装いで一人空港のウェイティングラウンジで機内夕食前のアペリティフとフルーツを食べていたモネは、ワイングラスを何杯も空けているフードで顔を隠したグレイのスポーツウエアの人物のことが、見るともなく何度も目に入ってきた。


時差のない夜のフライトは食事と睡眠であっという間に到着なので本来はスポーツウエアがベストだろう。


搭乗ゲートを入って座席に着くとモネの席にさっきの人物が座っていた。


モネはCAに座席番号を告げ確認してもらうよう促したところ、窓側とアイル側を間違えたそうでそのままモネはアイル側で良いとした。


’ごめんなさい、もう、いろいろと空けたりしまいこんだり使い始めたりしちゃってて…‘

‘良いですよ、寝るだけですしね’


180センチはあるかと思ったので男だと思っていたら、高いソールの付いたスニーカーを履いた素っぴんの愛想の良い女性だった。


その人物は食事の間、機内で観られる映画について隣のモネにあれこれ話をしてきただけであとはずっと自分のラップトップに何かを打ち込んでいた。


チャンギ空港にはキクモモの兄のユタカがモネを迎えにきていた。


ユタカはモネのコンサルに従い割烹のイメージの座席数が少ない高級日本料理店をなん店舗かシンガポールと車で渡れる対岸のマレーシアで開業して順調に経営していた。


モネの指示どおりに、店にはそれぞれ平仮名で京都の地名をつけ、日本人料理人を高給厚待遇で置いている。


先日ユタカからシンガポール有名老舗ホテルから新店舗出店の誘いを受けたので直ぐにきて欲しいと呼ばれたモネは、5日間の滞在で契約についてそのホテルの支配人や担当者らと会うことになっていた。


ユタカにはケンゾーや彼の親しい料理人のことも耳に入れ、新店舗の内装イメージや広すぎないこと、既に入っている和食や寿司レストランと共存可能なメニューにすること、などを決めていった。


ケンゾーが急に興味を持ち始めた司法試験を無事にパスすれば彼の希望どおりシンガポールでの顧問就任も予定できる。


モネはシンガポールでは念入りな美貌のドラーグクインとして人に合い、相手の反応から人柄を観察しながら仕事を進めていった。


小さい街京都では目立ち過ぎるドラーグクインも、シンガポールでは東京より自然に許容されるので久し振りに大胆なドレスにもてを出したモネはあちこちで声をかけられるほど美しかった。


ユタカとアフタヌーンティーのために寄った高級ホテルで思いきって女性用化粧室に入ってみたモネは、妻に下唇のヒアルロン酸注射を薦められていたのを思い出して、やってもらったらかなりセクシーになっちゃってヤバイなぁ、と小さく呟くイタズラそうな笑顔が映る鏡を見て言った。


’ワタシのこの姿は誰かのためになるんだっけ…?‘

















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